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ラフテーは「臘火腿」か?-ラフテーの由来(1) [ 沖縄と食]

有名な沖縄料理の「ラフテー」(豚の角煮)は中国語由来らしい。しかしその中国語源について調べると、おかしな説明が多いようだ。よくわからないのだが、こんなふうに考える。

まず語源の中国語はなにか。


最も信頼できそうなのが次の説明だ。ただしすごく慎重な説明だ。きっとうまく説明できていない、という自覚があるからだろう。
「ラフテー」については、「臘火腿」・「らほとうい」が中国語で一番近いとされ、外間氏は「『臘』は干した肉の食物の製法の一種で、『火腿』はハムのことであるが、この種の言葉が、沖縄方言の中で意味が変わって利用されてきた言葉かもしれない」と書いているそうだ。(「沖縄タイムズ」2001年5月9日より。原資料は、外間政幸「沖縄方言と中国語借用語」(「せあらとみ第3号 琉球の歴史と文化」、1989年3月発行))

 

調べた限りでは中国語に「臘火腿」という言葉はない。「臘火腿」とはどういう意味になるかというと・・・・

まず「火腿」(ホートイ)は引用にもあるように中国ハムのことだ。豚の腿(もも)肉を塩漬けにしてハムにしたものだが、本来の「火腿」は発酵室に吊るして発酵・熟成させる。するとピンク色になるので「火腿」と呼ばれる。火を通すわけではない。こうして本来の「火腿」は発酵・熟成させるわけで、だから単なる「ハム」とは同じものではないようだ。

ちょっと横道にそれるけど、じゃあハムはというと・・。
もも肉を固まりのまま塩漬けにしたのが日本語でいう「ハム」だ。なぜもも肉なのかというと、ハム(ham)とはそもそも豚のもも肉のことなのだ。当然、生のもも肉もhamと言う。だから「boneless ham」はボンレスハムじゃなくて生の「骨なしもも肉」のことになる。じゃあもも肉以外を塩漬けにするとどうなるかというと、それは「ベーコン」という。ベーコンは、もともとは冬の間豚肉を保存するために枝肉のまま塩漬けにしたもののことを言う。ベーコンは普通はバラ肉の部分だけど、肩の肉のところだとショルダーベーコンになる。ハムもベーコンもともに塩漬け肉で、違いは部位の違いってことだ。

というわけで本来の「火腿」は、発酵熟成させるから、単なる塩漬け肉の「ハム」ではなくて、「中国ハム」ということになる。

さて話を戻して、問題は「臘+火腿」の「臘」だ。
辞書では「臘」は薫製のことだという説明があったりするが、薫製でなくとも、塩漬けにして干した肉のことを「臘肉」という。

「臘」とは冬至の後の第3の戌(いぬ)の日に猟をして神をまつることをいう。それで旧暦12月を臘月という。その肉を塩漬けにして保存したのが始まりで、豚の肉を塩漬けにしたものを「臘肉」という。まさにベーコンのことだ。ちなみに「臘腸」というのは腸詰のこと。

さてでは「臘+火腿」は何になるのか?中国ハムという意味の「火腿」の前にわざわざ塩漬けの意味の「臘」をつける必要はないだろう。あるいは「火腿」の「薫製」という意味なのだろうか?どうも変だ。

ところが「臘腿」という単語があるようで、これだと発酵熟成させた「火腿」じゃなくて、腿肉の塩漬け、要するに普通のハムということになるのだろう。
ラフテーの語源は、「臘火腿」じゃなくて「臘腿」なのじゃないだろうかと思う。臘は北京語では「ラ」だけど、「ラフ」と言ったかもしれない。(中国語の方言)


 
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ポストオシム

ラフテーについていろいろなことを調べることができました。
ありがと~
by ポストオシム (2006-07-03 14:26) 

とんちゃん

>ポストオシムさん
訪問ありがとう。
ブログはしばらく中断しています。煮詰まった感じです。
by とんちゃん (2006-07-08 04:22) 

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