ラフテーはトンポーローか?-ラフテーの由来(4) [ 沖縄と食]
ラフテーの語源は中国語のようだ、ということからラフテーの由来を考えてきた。
語源の中国語は「臘火腿」や「臘腿」のようだ、という考えを「ラフテーの由来(1)」で示した。
ここで止まればいいのだけれど、しかしもしもそうだとするなら、実はここから大きな問題が発生する。
ラフテーがもしもハムと関連する料理だとするなら、ラフテーの由来を次のように考えなければならなくなるのだ。そしてこれがラフテーのルーツに関する私の仮説だ。
沖縄にハムを煮込んだ料理が伝わりそれがラフテーと呼ばれた。次に生肉を煮込む料理、いわゆるトンポーローがそれと入れ替わりラフテーと呼ばれるようになった。
そう考えるならば、
1.ハムを煮込んだ料理があったんだろうか
2.そしてそれはいかに、なぜ、その後にいわゆるトンポーローと入れ替わったんだろうか。
これら2つの疑問に答えないといけない。
それで、1の疑問「ハムを煮込んだ料理があったんだろうか」を考えてみた。
この点については「ラフテーの由来(2)」で次のように書いた。
「実は、中国料理では「火腿」も「臘肉」も、何かといっしょに炒め物にするのが普通で、煮込み料理にも使う場合でも何かといっしょに煮込んで相手に味を付けるために使われる。それ自体の肉(ハム)を食べる料理はないようなのだ。ハム自体を食べるというのは中華料理のハムの調理方法としては変則的だ。それを煮込んだ料理があるとすると、かなり独特な料理法だったことになる。」
料理としては、”ハムを煮込んだ料理”なんてないのだ。
とたんに行き詰まってしまった。
ままよ。
じゃあ、こう考えよう。それ単独では料理ではないが、煮込んだハムがあって、それをラフテーと呼んだのだ、と。
それで「ラフテーの由来(2)」では、「爛火腿(ランフオトゥイ)」説を語源として紹介した。
「爛」は中国料理の調理法のひとつで、煮込んで「とろけさせる」というもの。ハムをとろとろに煮込んだ料理ということで、ハムを煮込んでとろけさせたもの、ということだ。
こういう料理があるのかどうかはわからないが、そういうものがあってそれを「ラフテー」と呼んだ、ということはありえよう。
2つめの疑問「そしてそれはいかに、なぜ、その後にいわゆるトンポーローと入れ替わったんだろうか。」はどうだろう。
これに答える前に、次の2つの疑問も出てくる。
A:現在のラフテーのルーツは本当にトンポーローなのだろうか?
そこでまずトンポーローの調理法を調べてみた。
トンポーローにはバリエーションがあることがわかり、「トンポーロー(2)」で紹介した。また「魯肉」で紹介した台湾の「紅焼魯肉」もその1つだ。
トンポーローもいろいろあるのだ。そうならば、
B:それらのうち沖縄に伝わったのはどれだろう。
ところが実は、私にはラフテーの正しい調理法がよくわからない。
蒸すのが正統のような記事もあるけど、蒸さないのが普通のラフテーのようだ。(違っていたらゴメン)
そうだとすると、黄州の「東坡肉」、その紅焼法が現在のラフテーのルーツということになる。
しかしそのトンポーローにはタケノコとホウレンソウが添えられてなければならない。しかしラフテーにはそれらは添えられない。
それならば、台湾の「紅焼魯肉」が直接のルーツかもしれない。
どちらにせよこれらが現在のラフテーのルーツなのだろう。
そこで改めて2つめの疑問。「そしてそれはいかに、なぜ、その後にいわゆるトンポーローと入れ替わったんだろうか。」
現在、沖縄の代表的な料理であるラフテーの経歴について知らねばならない。(続く)
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