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コザと「ゆがふ」の由来 [ 沖縄と食]

たぶん9月のことだと思うけど、NHKのテレビに、あの「ちゅらさん」で沖縄料理店のマスターをしていた人が出て、沖縄のことを語っていました。
店の名前を覚えていますか?
実はこれが本題なんだけど・・・。

その前に、マスターをやっていた人のことから。
名前は藤木勇人さん。
「ちゅらさん」の方言指導もしていた人で、元りんけんバンドのメンバーでもありました。
  本人のHPもあります。

その藤木さんの話の主題は、沖縄の「テーゲー」についてでした。

もしかすると、教育テレビの「日本語なるほど塾」だったのかな?

 

 

 

「テーゲー」の例として、今は沖縄市になっている「コザ」という地名について話していました。
もともとコザなどという地名がないのに、米軍が間違ってつけた名前だ、というのです。
コザの中心部である胡屋(ごや)をKoya(こや)と読み誤り、しかもその字が下手だったのでKoza(コザ)と読み誤われた、というものです。「z」と「y」とは、筆記体だとよく似ていますからね。

この話は有名なのかな?
沖縄市のサイトの「沖縄市民俗学」にも説明がありました。


「コザの名付け親は米軍ですが、越来村がなぜコザと呼ばれるようになったかについては諸説があります。米軍が「胡屋」(ごや)を「胡差」(こざ)と見誤ったという説、 KoyaをKozaとスペリングを間違えたという説、美里村古謝(コジャまたはコザ)に由来するという説などがあります。また、コザが漢字ではなくカタカナ表記になったのは、国際都市のイメージを鮮明にしたいという住民の思いがあったからだといわれています。」

 

間違ってつけられた名前でも、それをみんなで使うようになった、そこが沖縄の「テーゲー」なところだ、と藤木さんは云っていました。

話は変わって、藤木さん扮する兼城昌秀店長が経営する沖縄料理店の名前を覚えていますか?

ゆがふ」といいます。
これまた不思議な名前です。

これは「ミルクユガフ」から来ているそうです。もっと分かりませんね。
ミルクユガフとは「弥勒世果報」。沖縄では「弥勒」をミルクといいます。
その弥勒の世が「弥勒世」(ミルクユ)、その「果報」(カフ)です。

本来の沖縄語では母音が a、i、u の3音しかなく、e は i に、o は u になってしまう。
だから「弥勒」がミロク(miroku)からがミルク(miruku)になるんです。
「世」もヨ(yo)ではなくユ(yu)に、「果報」もカホウ(kahou)ではなくカフ(kahu)なるんです。


「弥勒」は仏教の教えでは、ブッダ(釈迦)が入滅した56億7千万年後の未来に姿をあらわす未来仏ということになっていますが、沖縄の弥勒(ミルク)はこれとは違っていて、海の彼方からやってくる神です。そしてその弥勒が訪れた豊穣の世が「弥勒世」(ミルクユ)です。
沖縄の「弥勒世」とは、そうした過去にあった理想的な豊穣の世の中という意味です。

「果報」は以前にやったことの結果として報われる、よい運のことです。だから「弥勒世果報」はミロクによってもたらされる理想的な豊穣ということでしょう。
「弥勒世果報」は単に「世果報」とも言われます。「世果報」が「ゆがふ」です。

そういうことで、「ゆがふ」には奥深い意味があります。豊かな気持ちになろう、そんな想いが込められた店名なんですね。

『歌謡(うた)つれづれ』024にその「ゆがふ」の説明があります。しかもそこには、「ゆがふ」の店内から、入り口に向かって左側の柱の上の方に、白いお面があるというのです。そしてそのお面が「ミルク(弥勒)」のお面だと指摘しています。(ディープな指摘だ。)

だから「弥勒世果報」(みるくゆがふ)をちゃーんと考えてセットを作ってあるんだっていうわけ。なるほどね~。

ちなみに藤木さんのHPの名前も「ゆがふ」です。


 
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