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沖縄の豚と山羊 [ 沖縄と食]

ラフテーの由来をみつけてみようと思いながら沖縄の豚のことを調べていたら、アグーという沖縄の在来豚についても興味がわいてきました。

「興味」って、要するに、食べてみたい!っていうことですが・・・。

オキナワなんでも事典絶滅しかけていたそのアグーの保存に力を入れた人がいたそうです。名護市の博物館長をした島袋正敏さんです。その人が『沖縄の豚と山羊』(1989年)という本を出している、というので探しました。

 

 

 

この本は、amazon.comにも出ていなくて品切れみたいなので、古本屋に注文しました。
『おきなわキーワードコラムブック』を注文した「あまみ庵」にメールを送ったら、在庫がないそうで、ご親切にも沖縄の「ブックスじのん」を紹介してくれました。(ご丁寧にありがとうございます。)

この本は、ひるぎ社という沖縄の出版社が出している「おきなわ文庫」の中の1冊です。
「おきなわ文庫」については、また改めて紹介しましょう。

『沖縄の豚と山羊』は、沖縄の食肉文化について書いた本です。
沖縄の伝統的食肉の中心は豚と羊です。(ビーフステーキはアメリカ世で出来た文化です。)
豚と食肉文化、羊と食肉文化がこの本のテーマなんです。

とはいえ文化論を語っているのではなくて、豚や羊がどのように飼われ、どう食べられているかが語られています。ところがその中でちょっと変わっているのは、豚や羊のと殺や解体方法を詳しく書いていることでしょう。

島袋氏は、沖縄の食肉文化の大きな特徴を「共食」だととらえています。
相手を食べる「ともぐい」じゃなく、みんなでいっしょに食べるってことです。
沖縄における食肉は、人々が神々の前で、あるいは神々と食を共にすることに特徴があって、食肉の場はムラの人々が一同に会する場だ、ということです。
しかも単に肉を食べるだけではなく、肉となる生き物を屠(ほふ)ることからそれは始まるわけです。
だから、屠殺・解体処理は食肉の重要な一部として、本書でも詳しく書かれているというわけなんでしょう。

しかも写真入りですからリアルです。

もう1つ。この本を読んだ目的は、沖縄の豚の歴史を知りたかったことなのですが、アグーについてはどうしてか詳しく書かれていません。

しかし豚の歴史で面白いことを知りました。「フール」、豚便所のことです。

沖縄には「フール」とか「ウヮーフール」かいう豚便所があります(ウヮーは豚のこと)。
もちろん今は使っていなく、戦前には使っていたようです。
豚小屋と一緒にトイレを作り、人間が糞をすると豚がそれを食べるという仕組みです。
残念ながら現物は見ていませんが。

これが沖縄の養豚ではかつては一般的で、豚が中国から導入されたときにその飼養方法として福建省から伝わったものだろう、と私は思っていたのですが、どうも違うようです。

珊瑚石灰石を使った石組みの本格的なフールはエーキヤーという豪族のものだったようですが、簡易石組みのものや大正の終わり頃からはコンクリート製のものが多くあったことは確かなようです。
しかしそうした小屋は、豚の導入と同時ではなかった、とあります(根拠は不明)。
そして近世後期頃までは、屋根のついた豚小屋はなく、木囲いの半放飼(放し飼い)型の飼育だったろうとのことです。人は適当なところに放便し(!)、それを豚が食べていたのだろう、ということです。

この本の最後には沖縄畜産史年表がまとめられています。
沖縄の島豚のルーツとなる中国からの豚の持ち込みは、1385年(察度36年)という説と1392年(察度43年)という説があるようのです、その両方が紹介されています。

この年表には、それ以前の1350年(察度1年)に「豚はこの頃中国から・・・導入された」とあって、あたかもこの年前後に豚が中国からもたらされたように書いてあります。しかしそれは間違いです。
中山の察度王が中国・明の太祖の招諭招聘を受けて弟の泰期を遣わして貢物を献上したのは、1372年ですから、1350年に中国から豚が来るはずはありません。1350(察度1)年は、察度が王位についた年です。その察度王の時代に中国から豚が来たという意味です。

最後にこの年表には、ラフテーとの関係で面白い記述がありました。
1880年に沖縄貯蔵食品製造株式会社が、「ラフタイポーク」の製造を開始したと書かれています。
この会社はどういう会社なのか、「ラフタイポーク」とは何か、またまた疑問が増えてしましました。


 
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