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おきなわ文庫 [ 沖縄と食]

沖縄の豚と山羊
「おきなわ文庫」という新書版の本が沖縄にはあります。
『沖縄の豚と山羊』もその1冊です。
定価900円の新書版の本で、沖縄に関する様々なテーマに関する研究が取り扱われているものです。
那覇空港でも買える本です。

しかしAmazon.conで検索しても、「おきなわ文庫」は出てきません。

紀伊国屋書店BookWebだと、探すことができます。
おきなわ文庫で85件、ひるぎ社で185件ありますが、入手不可か在庫無し(取り寄せ)になっています。

入手する場合は沖縄関係の古書店に注文するのがいいんじゃないかと思います。

わたしはそのシリーズの島袋正敏『沖縄の豚と山羊』(1989年)を読んで、池宮正治『沖縄ことばの散歩道』(1993年)、『沖縄ことばの散歩道・続』(1995年)をいま読んでいるところです。
やはり古書店からネットで入手しました。

その「おきなわ文庫」の最後のページには、1982年に書かれた「「おきなわ文庫」発刊によせて」という発行者の言葉があります。
そこには、沖縄に関する研究内容を平易、かつ廉価に提供することへの意気込みが書かれています。(全文は、沖縄病TOBIの「おきなわ文庫」にあります。)

「ひるぎ社」というのは、那覇にあった(株)南西印刷の出版部のことで、そこが「ひるぎ社」という名前で「おきなわ文庫」を刊行していたものです。
しかしその南西印刷が1997年に倒産してしまった。
そこで出版部門の編集長をしていた富川益郎氏が、その社名を譲りうけて独立し、現在も出版を続けているそうです。
新生「ひるぎ社」社員は、社長の妹さんと営業員の計3人という小さな出版社だそうです。
富川氏は、倒産時に78冊まで刊行されていた「おきなわ文庫」を続刊するために、社名を引き継いだとのことです。
年間4点ほどの新刊があるその「おきなわ文庫」がひるぎ社の目玉商品で、那覇空港では1か月間に500冊は売れるそうです。(この説明は「谷平吉の出版流通コラム」のサイトにある「あんばいこうの沖縄レポート」によります。)

富川氏が南西印刷社長だった西平守栄氏に出版部=ひるぎ社を任されたのは1980年。
学術的冊子「地域と文化」を発行しながら構想を練ったとのこと。
当時の編集委員は池宮正治、上江洲均、我部政男、宜保栄治郎、高良倉吉、仲地哲夫。
その冊子が沖縄関係の研究発表の場にもなり、やがて「おきなわ文庫」シリーズが1982年からスタートしたそうです。1998年までに87冊を出版したようです。(「沖縄人国記1998-石垣市・9(133)-」『琉球新報』Googleキャッシュより。)

元南西印刷社長の西平守栄氏は1996年11月に死去された。
しかし同年12月には「おきなわ文庫」シリーズをはじめ沖縄の出版文化の振興に貢献したとして、第17回沖縄タイムス出版文化賞の特別表彰が、元ひるぎ社社長としての故人に対して送られました。

「おきなわ文庫」とひるぎ社は、そうした功績を残した出版事業だったということです。
南西印刷の倒産はその翌年です。西平氏の努力で印刷会社と出版とが支えられていたってことでしょう。
その遺志が富川氏に引き継がれているということでしょうか。

最後に、ひるぎ社の「ひるぎ」ですが、これはマングローブのことです。
もとは沖縄の書物に載っていた言葉のようですが、「ヒルギ」(漂木)という和名になっています(ヒルギ科というのがあります。)。
漂木というのは、種子が水に浮いて移動するからでしょう。
ちなみにマングローブというのは南米の原住民が使っていた「マンガル」(海の森)という言葉がヨーロッパに伝わり、英語の森を表す「グローブ」がくっついてマングローブになったといわれ、樹林帯のことだそうです。

その「ひるぎ」の名をなぜ社名にしたかはわかりません。


 
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