庭園を眺めながら有形文化財の座敷でたべる重箱入り麺 水鶏庵@愛知県津島市 [ 東海]
愛知県の津島市に来ました。ここは初めての土地です。
お昼は津島市の名物を食べようと思って、「もろこ寿司」を計画していたんですけど、予約を取り忘れてしまった。
で、次善の策で来たのがここ。
そば屋の「水鶏庵」。
水鶏は「くいな」と読むんですね、知らなかった。
鈴さん、杉さんもいっしょです。
ここで蕎麦を食べるのかって?
そんな単純なんじゃないんです!
本日のお奨めは、冷やしたぬきそばセット750円。
やっぱりこれ? じゃないの!
幟を見てよ!
津島名物 お江戸重箱そば、うどん
水鶏名物 生麩 島津田楽
そんなものが、ここにあるんです。
達筆な店名が入った暖簾がかかっています。
暖簾をくぐると、普通のそば屋の店内です。
「予約している者です。」と伝えると、すぐ隣にある建物に行くよう案内されました。
「ご予約席」です。たった3人でも、そんなところに通されるんですね。
いよいよだ!と期待が高まります。
引き戸を開けると、縁側つきの部屋が見えてきます。
庭園が広がっています。
部屋からは、立派な庭園を見ることができます。
実は今いるこの建物は、国の指定文化財なんです。
庭から見るとこんな建物にいます。
ここは「機石荘」と呼ばれる座敷です。
この名を店名とするお店は、この後で伺います。
この場所は元々は、毛織物業を営んだ伊藤新左衞門(明治37年~平成9年(1904~97))の住宅と庭園です。
「機石荘」は庭園の北端に位置して、南に向かって建っていて、木造平屋建、東西棟の入母屋造桟瓦葺の建物です。八畳と六畳が東西に並び、三方に縁をめぐらされています。昭和17~18年(1942~43)頃に、名古屋市中区にあった料亭円山から移築されたもだそうです。
店名の「水鶏庵」は、庭園の反対側、南西隅に建つ茶席なんですけど、写真に撮るのを忘れました。(そっちが水鶏庵だってことを後で知ったんです。)
「機石荘」のHPによると、「水鶏」の名は、松尾芭蕉最後の行脚の際の句「水鶏鳴と人の云えばや佐屋泊」から銘をとったと言われているそうです。
こんな素晴らしい庭園を見ながら食事ができるんですから、予約をして行くのがベストです。しかも席だけ予約して、料理はその場で注文できます。
さてメニューですが。
やはり「津島名物重箱」かな。
ただしこれ、尾張津島に江戸中期から伝わるものをこの店が再現したものだそうで、この地域で今も食べられているものではないようです。
重箱のメニューは
お江戸重箱(一重) 480円
お江戸重箱定食 1500円
水鶏重箱 1500円
お江戸重箱定食は、「一重信長弁当」として野菜の煮物とごはん、小さな重箱に入った麺。水鶏重箱は、「水鶏重箱定食」として重箱に入った具の多い麺。
それに田楽か、天麩羅か、生麩天麩羅のどれかが選べて、ソバのみアイスのデザートが付く。
麺は、そば、うどん、きしめんのどれかで、温かいものと冷たいものが選べます。
鈴さんはお江戸重箱定食の冷たいそば、杉さんは水鶏重箱の冷たいそばと生麩天麩羅、私は水鶏重箱の冷たいそばと田楽にしました。
他のメニューは最後に載せます。
注文してからしばらく時間がかかります。
その間に庭園内をゆっくり見学でもしましょう。
鈴さんのお江戸重箱定食の冷たいそば。
そばには、揚げ、カマボコ、長ネギの具が載っています。
丸い器の上段に、湯葉、生麩、シイタケなどの煮物と出汁巻き卵が入っています。
下段に、シソをふりかけたご飯。
もずく。
そして生麩の田楽。
津島は昔から麩の産地で、津島麩は丸い餅型でなのが特徴だそうです。
生麩は、ただの生麩じゃなくて、左からそば、よもぎ、あわを練り込んだもの。それを素揚げして味噌を載せ、木の芽を添えている。
しかも味噌は、八丁味噌、こうじ味噌、白味噌等5種類の味噌をブレンドし、すったクルミが入っているそうです。
ずいぶんと手が込んだ田楽です。この店のオリジナルらしい。
私は水鶏重箱の冷たいそばと田楽。
背の高い秋田杉の朱塗りの重箱にそばが入っています。
そばの上に具が一杯あって、はうどんが見えない(笑)。
地鶏、かまぼこ、エビ、津島麩、生湯葉、出汁巻き卵、絹さや、しいたけ、ほうれん草、ネギなんかが載っています。
具の1つ1つが、美味しくつくられていて、ずいぶんと贅沢な具です。
そばは、石臼挽きのそば粉で打った太い田舎そば。しっかりしたコシで、実に私の好みです。汁はしっかりした出汁で、薄口醤油のやや濃いめ。旨いです。
杉さんは水鶏重箱の冷たいそばと生麩天麩羅。生麩の天婦羅は、田楽と同じく、そば、よもぎ、あわの3種です。
最後にデザートの「そばの実アイス」。
そばの香りが口いっぱいに広がる。もうまさに「そばの実」のアイスです。
香ばしさが素晴らしく美味しい。
美しい庭園を眺めながら、手のかかった実に美味しい料理をいただきました。
素朴ではあるけど(具は豪華かな?)、想像以上に素晴らしいものでした。
かなりCP高いよ。
店を出て、道路に面した敷地の正面に向かってみます。
こちらが本来の門。
伊藤慶規さん。この方が、水鶏庵の店主です。
この建物と庭園を造った伊藤新左衞門の子息なんでしょう。
大きな門を入ると右手に洋館の母屋、左手に庭園への門があります。
最後にメニューをアップします。
追加で、田楽、天麩羅、生麩天麩羅とそばの実アイスを460円で追加できます。
水鶏定食は重箱に入っていない。
水鶏会席料理もあります。
各種味噌煮込みや丼物。
石臼挽きのそば。
うどん。
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