いなばのタイカレー大研究 [うまい食品]
静岡市に本社があるツナ缶メーカー「いなば食品」のタイカレー缶が旨いのです。
ツナカレー2種(グリーン、レッド)とチキンカレー3種(グリーン、レッド、イエロー)の全5種を食べてみました。
本格タイカレーに迫る旨です。
ツナカレーの実食はここ:http://onhome.blog.so-net.ne.jp/2013-01-14
チキンカレーは昨日の記事です。
いなば食品は2011年9月に「ツナとタイカレー」のグリーンとレッドを発売しました。
その後「チキンとタイカレー」のイエローを販売、それからグリーンとレッドを販売したようです。
さらには「とりそぼろとバジル」、「トムヤムチキン」も販売されています。
今回は、タイカレー5種について、その内容を比較検討してみます。
題して「いなばのタイカレー大研究」。(笑)
まずは「ツナとタイカレー」から。
白い缶の「ツナとタイカレー」。
これは「グリーンカレー」なのですが、【やや辛め】と書いてあるだけで、グリーンカレーであることは、表面には書いてありません。
ツナ「の」タイカレーじゃなくって、ツナ「と」タイカレーという商品名なのも不思議なところです。
【本場タイで製造】【ツナたっぷり】と書かれています。
では、缶に書いてある原材料名などを確認です。
【品名】かつおフレーク入りグリーンカレー
ここで、驚きです!
ツナというから「マグロ」のカレーだと思っていたら、なんと「カツオ」のカレーなのです。
このことは、後でまた述べましょう。
で、ほらね、しっかり「グリーンカレー」と書いてあります。
【原材料名】
かつお、ココナッツミルク、グリーンカレーペースト(唐辛子、にんにく、レモングラス、ガランガル、食塩、シャロット、クミン、こぶみかんの葉)、大豆油、砂糖、唐辛子、食塩、バジル、こぶみかんの葉、増粘剤(グァーガム)、クエン酸
グリーンカレーペーストにカツオやココナッツミルク、香辛料などを加えています。
【原産国名】タイ
【内容量】125g
「香辛料のハーブの葉はお好みにより加えたり、また、取り除いてお召し上がりくださ。」と書いてあります。
「ツナとタイカレー」の「レッド」。
真っ赤な缶です。
【本場タイで製造】【ツナたっぷり】は同じです。
【品名】かつおフレーク入りレッドカレー
【原材料名】
かつお、ココナッツミルク、レッドカレーペースト(にんにく、唐辛子、レモングラス、食塩、ガランガル、こぶみかんの葉、シャロット、ムング豆)、砂糖、大豆油、唐辛子、こぶみかんの葉、増粘剤(加工デンプン)、クエン酸
【原産国名】タイ
【内容量】125g
レッドカレーペーストを使っています。
「香辛料のハーブの葉はお好みにより加えたり、また、取り除いてお召し上がりくださ。」と書いてあります。
次は「チキンとタイカレー」シリーズ。
次は「チキンとタイカレー」の「イエロー」。
イエローだから黄色い缶です。
【本場タイで製造】とはありますが、「チキンたっぷり」とは書いてありません。
【品名】鶏肉入りイエローカレー
【原材料名】
鶏肉、ココナッツミルク、カレーペースト(にんにく、唐辛子、レモングラス、食塩、シャロット、ガランガル、カレーパウダー、こぶみかんの葉、こしょう、クミン)、大豆油、唐辛子、砂糖、食塩、こぶみかんの葉、増粘剤(加工デンプン)、調味料(アミノ酸)、クエン酸
【原産国名】タイ
【内容量】125g
「唐辛子はお好みにより、取り除いてお召し上がりくださ。」と書いてあります。
「チキンとタイカレー」の「レッド」。
こっちのレッドは赤じゃなくってオレンジ色です。
この色の方が、中に入っているカレーの色に近いですね。
【本場タイで製造】に加えて【化学調味料不使用】とあります。
【品名】鶏肉入りレッドカレー
【原材料名】
鶏肉、ココナッツミルク、レッドカレーペースト(にんにく、唐辛子、レモングラス、食塩、ガランガル、こぶみかんの葉、シャロット、ムング豆)、砂糖、大豆油、唐辛子、こぶみかんの葉、食塩、増粘剤(加工デンプン)、クエン酸
【原産国名】タイ
【内容量】125g
「香辛料のハーブの葉はお好みにより加えたり、また、取り除いてお召し上がりくださ。」と書いてあります。
「チキンとタイカレー」の「グリーン」。
こっちのグリーンカレーは、「グリーン」と明記しているし、缶の色も緑色。
わかりやすいぞ。
【本場タイで製造】に加えて【化学調味料不使用】とあります。
【品名】鶏肉入りグリーンカレー
【原材料名】
鶏肉、ココナッツミルク、グリーンカレーペースト(唐辛子、にんにく、レモングラス、ガランガル、食塩、シャロット、クミン、こぶみかんの葉)、大豆油、砂糖、唐辛子、食塩、バジル、こぶみかんの葉、増粘多糖類、クエン酸
グリーンカレーペーストにカツオやココナッツミルクなどを加えているんです。
【原産国名】タイ
【内容量】125g
「香辛料のハーブの葉はお好みにより加えたり、また、取り除いてお召し上がりくださ。」と書いてあります。
おまけ。
カレーじゃないけど、ついでに「トムヤムチキン」。
オレンジ色の缶です。
【本場タイで製造】【タイのピリ辛スープ】とあります。
【品名】トムヤムチキン
【原材料名】
鶏肉、ふくろたけ、ココナッツミルク、トムヤムペースト(唐辛子、にんにく、シャロット、レモングラス、ガランガル、大豆油、食塩、砂糖、こぶみかんの葉、クエン酸、調味料(アミノ酸))、唐辛子、香奈(パクチーファラン)、食塩
【原産国名】タイ
【内容量】125g
「ピリ辛味なので小さいお子様や辛いものが苦手な方はご注意ください。」
「香辛料のハーブの葉はお好みにより加えたり、また、取り除いてお召し上がりくださ。」とあります。
もひとつついでに、「とりそぼろとバジル」
【タイガパオ】、【本場タイで製造】とあります。
【品名】鶏肉味付ピリ辛味(バジル入り)
【原材料名】
鶏肉、にんにく、大豆油、しょう油(大豆、小麦を含む)、砂糖、唐辛子、バジル、食塩、増粘剤(加工デンプン)、調味料(アミノ酸)
【原産国名】タイ
【内容量】125g
「ピリ辛味なので小さいお子様や辛いものが苦手な方はご注意ください。」とあります。
どれもタイが原産国で、内容量は125g。
では、商品名と原材料をじっくり比べてみましょう。
表にまとめてみました。
ラベル | 品名 | 原材料名 | ペースト | その他 |
ツナとタイカレー・レッド | かつおフレーク入りレッドカレー | かつお | レッドカレーペースト にんにく、唐辛子 | ツナたっぷり 香辛料のハーブの葉は・・ |
チキンとタイカレー・レッド | 鶏肉入りレッドカレー | 鶏肉 | レッドカレーペースト にんにく、唐辛子 | 化学調味料不使用 香辛料のハーブの葉は・・ |
ツナとタイカレー | かつおフレーク入りグリーンカレー | かつお | グリーンカレーペースト 唐辛子、にんにく | ツナたっぷり 香辛料のハーブの葉は・・ |
チキンとタイカレー・グリーン | 鶏肉入りグリーンカレー | 鶏肉 | グリーンカレーペースト 唐辛子、にんにく | 化学調味料不使用 香辛料のハーブの葉は・・
|
チキンとタイカレー・イエロー | 鶏肉入りイエローカレー | 鶏肉 | カレーペースト にんにく、唐辛子 | 唐辛子はお好みにより・・ |
トムヤムチキン | トムヤムチキン | 鶏肉 | トムヤムペースト 唐辛子、にんにく | ピリ辛味なので… 香辛料のハーブの葉は・・ |
とりそぼろとバジル | 鶏肉味付ピリ辛味(バジル入り) | 鶏肉 | - | ピリ辛味なので… |
1.ライトツナは、マグロではなくカツオである。
これはちょっと驚きですね。ツナ=マグロと思っているもんね。
いなばのHPには、こんな表が掲載されています。
ツナ缶の基礎知識:http://www.inaba-foods.jp/support/beginner
「ライトツナ」にはカツオが入っているんです。
業界では今やこれは常識みたいで、他社のHPでも同様です。
それはそれとして、ツナはずいぶんと大きい塊で入っているのに驚かされます。
タイの現地スタッフが手作業でほぐしているために大きいのだそうです。
2.カレーは、タイの「カレーペースト」を使っている。
カレーは業務用「カレーペースト」に具や調味料を混ぜているんですね。
タイでもカレーペーストからカレーをつくるようですが、そのペーストがタイ式の本格タイカレーなのでしょう。
それに、カツオまたは鶏肉の具、さらにアレンジのための香辛料等を加えているのでしょう。
そのカレーペーストの名称は、グリーンカレーは「グリーンカレーペースト」、レッドカレーは「レッドカレーペースト」、そしてイエローカレーはただの「カレーペースト」です。
3.カレーペーストの原材料は、それぞれ微妙に違う。
味のベースであるカレーペーストの内容を比べてみましょう。
レッドカレーペースト
原材料は、「ツナ」も「チキン」も同じです。
内容は、量が多い順に、①にんにく、②唐辛子、③レモングラス、④食塩、⑤ガランガル、⑥こぶみかんの葉、⑦シャロット、⑧ムング豆。
見慣れない名前の香辛料が並んでいます。
「唐辛子」は乾燥させた赤唐辛子です。
”グリーンカレーは、フレッシュな青唐辛子(プリックチーファー・キョウ)を使うのに対し、レッドカレーでは、乾燥した赤唐辛子(プリック・ヘーン)」を使う。”という違いがあるそうです
出典:エスニカンさんの「タイ料理「レッドカレー」の「レッド(赤)」はどこから(なに)?」
http://blog.livedoor.jp/ma888tsu/archives/51845491.html
そして「レモングラス」。
「ガランガル」はショウガの一種で、和名「なんきょう」。ショウガより辛味が少なくて甘味が強いらしい。
「こぶみかん」はライムの一種で、そのコブミカンの葉(バイマックルー)は爽やかな香りで、タイカレーに重要らしい。
「シャロット」は小型の香りの強い紫タマネギ。アカワケギ「ホムデーン」
「ムング豆」はモヤシの原料の緑豆のこと。
よくわからないけど(笑)、しっかり本場タイ式のペーストみたいです。
グリーンカレーペースト
原材料は、やはり「ツナ」も「チキン」も同じ。
内容は、①唐辛子、②にんにく、③レモングラス、④ガランガル、⑤食塩、⑥シャロット、⑦クミン、⑧ぶみかんの葉。
この「唐辛子」はフレッシュな青唐辛子でしょう。
レッドカレーと比べると、「にんにく」と「唐辛子」の順序が逆で、唐辛子の量が多い。
これだけでも、グリーンカレーペーストの方が辛いってことなのね。
しかし同じ「唐辛子」でも赤唐辛子と青唐辛子では辛さが違うから、グリーンの方がしっかり辛いわけです。
こぶみかんの葉より、シャロットが多い。
食塩よりガランガルが多い。
お馴染みのカレーの香りを出すクミンが入っている。
ムング豆がない。
要するに、青唐辛子が多くて辛い、ガランガル、シャロット、クミンを増やして、香りを強めてあるってことみたい。
イエローカレーペースト
これは「ツナ」はなくて「チキン」だけ。
内容は、①にんにく、②唐辛子、③レモングラス、④食塩、⑤シャロット、⑥ガランガル、⑦カレーパウダー、⑧こぶみかんの葉、⑨こしょう、⑩クミン。
レッドカレーペーストと比べると。
①にんにく、②唐辛子、③レモングラス、④食塩までは同じ。
でも、シャロットが多い。
そして「カレーパウダー」が入っている。
コショウとクミンも入っている。
イエローカレー独特の黄色味はターメリック由来だから、「カレーパウダー」にはターメリックが入っているんでしょう。
クミンは、馴染みのある、あの「カレーの香り」の素です。
日本人に馴染みのあるカレーに近いです。
4.カレーペーストに香辛料を加えアレンジしている。
カレーペーストをベースに、さらに香辛料が加えられて「いなば」流のアレンジがされています。
加えている調味料などを列挙します。
レッドカレー
ツナ:①砂糖、②大豆油、③唐辛子、④こぶみかんの葉、⑤増粘剤(加工デンプン)、⑥クエン酸
チキン:①砂糖、②大豆油、③唐辛子、④こぶみかんの葉、⑤食塩、⑥増粘剤(加工デンプン)、⑦クエン酸
ツナもチキンもほぼ同じ。
ただしチキンには「食塩」が入っている。
チキンのレッドカレーは、ツナより塩辛いと感じたのは、このせいかもな。
「砂糖」がトップで入っているのかぁ。
砂糖は、辛さをマイルドに感じさせるんですよね。
「唐辛子」は赤唐辛子でしょう。
「増粘剤(加工デンプン)」はトロミの原料です。
辛さを増しつつ、砂糖でマイルドにし、さらにトロミを出しているようです。
グリーンカレー
ツナ:①大豆油、②砂糖、③唐辛子、④食塩、⑤バジル、⑥こぶみかんの葉、⑦増粘剤(グァーガム)、⑧クエン酸
チキン:①大豆油、②砂糖、③唐辛子、④食塩、⑤バジル、⑥こぶみかんの葉、⑦増粘多糖類、⑧クエン酸
ツナとチキンは同じ(増粘剤が違うのかな?)。
入っているものは、レッドカレーとほぼ同じです。
「唐辛子」は、実食したところでは、赤唐辛子が入っていました。
そして「こぶみかんの葉」は、葉っぱが1枚そのまま入っているんです。
「砂糖」が少ない。辛さをガツンと感じさせるようにしているのかな。
「バジル」が入っている。
「増粘剤(グァーガム)」は「グア豆」から出来る食品添加物ですって。
辛さを増して、砂糖を控えてマイルド度を控えているようです。
イエローカレー
①大豆油、②唐辛子、③砂糖、④食塩、⑤こぶみかんの葉、⑥増粘剤(加工デンプン)、⑦調味料(アミノ酸)、⑧クエン酸
「砂糖」を控えて「唐辛子」を多くしている。
「化学調味料」も加えて、このあたりは、微妙な味の調整があるんだろうな。
辛さを増して、化学調味料も加えて、ここは日本風の辛いカレーを意識しているのかも。
5.使ってないものがある。
タイカレーには一般に使われているのに、いなばのタイカレーには使われていないものがあります。
「ナンプラー」と「パクチー」です。
パクチーは、トムヤムチキンには「香菜(パクチーファラン)」があって、しっかり使われているけど、カレーには使われていないのです。
どちらもその独特の香りが、日本人には馴染みにくいところがあるでしょう。
好きな人は好きだけど、嫌いな人はかなり苦手。
この2つを入れないと、多くの日本人には受け入れやすくなると思います。
でも本場タイカレーに馴染んだ人にはもの足りない。
本格派指向の方は、自分で加えましょう。
ともあれどの香辛料までは使うけど、どれは使わないか。
ここのところをかなり研究して、選択した結果、本式のタイカレーに迫っている、ということなんだろうな。
6.化学調味料不使用は?
チキンとタイカレーのレッドカレーとグリーンカレーには缶の表に「化学調味料不使用」と書かれてあります。
「化学調味料」が入ってないんですね。
でもチキンのイエローカレーには「調味料(アミノ酸)」が入っているから、「化学調味料不使用」とは書いていない。
ツナのレッドカレーとグリーンカレーもチキンと原材料はほとんど同じで、化学調味料不使用のはず。
だからツナにも「化学調味料不使用」と書いてもいいみたいなんだけどなぁ。
後から販売したチキンのレッドとグリーンの缶にだけ、そう印刷するようになったのかもね。
まとめ
いなばのタイカレーは、タイ本場の「カレーペースト」をベースとして、さらにタイカレー独特の香辛料をプラスしている。それで、かなり本格タイカレーになっているようです。
そのアレンジのしかたは、唐辛子で辛さを加えたり、砂糖で辛さをマイルドにしたり、カレーの種類によって微妙な調整をしています。
しかしナンプラーやパクチーなど、日本人に馴染みにくい香辛料は控えられていて、日本人にも食べやすいように調理されている。
そんなわけで、日本人の味覚にも受入可能な、しかしタイ式カレーに限りなく近いカレーになっているようです。
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