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「えびめし」と「インデイラ」の由来 [食文化]

前回、岡山市のB級グルメ「えびめし」を紹介しました。
その「えびめし」のルーツ(発祥店)について、今回はご紹介します。

wikipediaによると「一説によるとルーツは東京渋谷のカレー店「いんでいら」のメニュー」とあります。
しかし、これは「一説」じゃなくて事実です。

◆えびめし

「えびめし」発祥店は、1955年創業の「カレーハウスいんでいら」です。
渋谷区渋谷1-24-7の宮下パークビル1Fにあったお店です。
渋谷本店:http://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13001302/

◇渋谷の「カレーハウスいんでいら」とえびめし

「いんでいら」HPのアーカイブが見つかったので、そこから引用します。
引用先:http://archive.is/6aUL

”いんでいら”と”元祖えびめし”誕生の物語

貼り紙を見て、ブラリと立ち寄った老調理人

 戦後まもない昭和30年、渋谷駅前の交差点の一角のそばに間口一間ほどの小さなカレー屋として“いんでいら”は生まれました。味については特段の魅力があったわけではなく、いわば可もなく不可もない平凡な店。客席もまばらな出発でした。しかし、開業より3年、あるひとりのずんぐりとした白髪の老人が店頭の“調理人急募”の貼り紙を見て、ブラリと・・・。
 急募のわけとは、その直前店主が前の調理長に“お客様がさあ、ここのカレーは美味くないって、食べ残される方がね~”と話すやいなや、“よーがす。自分の調理に文句つけられては、やってなんかいられませんや。おい皆んな引き上げるぜ”と手下を連れて総引き上げるに及んだために開店休業状態になってしまったためでした。
 この時ブラリと現れた老調理人こそ、当店の伝説の長岡チーフその人であり、まさに“いんでいら”の味の創始者なのでした。“自分が好きな料理をつくらせてさえもらえれば、飯が食えるだけで充分でさぁ”と毎朝5時の始発から閉店間際まで黙々と調理場に立つ後姿に、つき従い尊敬のまなざしで教えを乞う若い調理人があとにつづきました。
 料理への愛情はカレーの味にも従前とは比較にならない美味しさとなって現れ、評判が評判を呼んで、小さいが美味しいカレーの店として生まれ変わるのに時を長くは要しませんでした。

店主の発想と長岡チーフの創造力がコラボ

 この長岡チーフと文人だった先代店主とのコンビは新しいメニュー作りにも創造力にとみ、“カレーライスコロッケ”なるものを発明したり、様々な工夫を試みておりました。発想は店主であり、実現は長岡チーフでありました。
そんな中でドライカレーでもない、チャーハンでもない、誰でも好きな海老の入ったソース焼きめしみたいなものができないかという店主のひらめきに一週間後に“オーナーこんなものでよーでがすか? と目の前に見せたのが今の“元祖えびめし”でした。  
それは、見た目はまっ黒な焼きめし。ところが見た目とは違い、ほろ甘い香ばしい香りがいっぱいで、どこか昔懐かしいその風味は、それまで誰もが見たことも食べたこともない不思議な食べ物でした。
この“元祖えびめし”の味の魅力にひきつけられて来客数もますます増え、カレーとともにいんでいらの看板商品になって行きました。
創業55年を迎えせていただきましても、たくさんのお客様に今もって“いんでいら”のカレーとえびめしをご愛顧いただいておりますことを、心よりありがたく感謝申し上げますと同時に、長岡チーフと先代の美味しいものへの探究心に敬意を表するものです。

「カレーハウスいんでいら」は、直営店やFC店がありました。
渋谷本店は2011年に閉店しました。
先ほど引用したHPの「いんでいら」の住所は東京都大田区千鳥1-3-6。
そこが工場のようで、店舗は大田区千鳥3-24-7に移転して営業しています。
ここは直営店なのでしょう。
いんでいら:http://tabelog.com/tokyo/A1317/A131714/13130958/

道玄坂下にいまもある「いんでいら」はFC店です。
現在、「CURRY HOUSE\いんでいら」の商標権は、渋谷の宮下パークビルにある大町興業株式会社が所有しています。

 

◇岡山の「いんでいら」とえびめし

岡山の「いんでいら」は、「株式会社いんでいら」の経営です。
株式会社いんでいら:http://www.indeira.net/

同社社長の出井達海氏が、渋谷の「カレーハウスいんでいら」で働いていて、1966年に岡山市奉還町に「いんでいら」を開業したのです。いわゆる暖簾分けですね。
その後、1968年に、とんちゃんが訪れた天満屋百貨店地下街の「いんでいら天満屋地下店」を開店しました。
そして、これらの店で提供された「えびめし」が岡山でヒットしたんです。
岡山の「いんでいら」も渋谷と同様にカレー店ですが、「株式会社いんでいら」は1994年からえびめし専門店の「えびめしや」も開業しています。

 

◆「いんでいら」の由来

「いんでいら」という名は、いかにもインドと関係がありそうな名前です。
実はこの名は、1949年に上野動物園へインドのネルー首相から贈られた象の名前なんです。

第二次世界大戦末期の1943年8月、上野動物園にいた猛獣類は脱走の恐れがあって危険であるとする軍の命令によって、ライオン、豹、虎、ニシキヘビなど14種類28頭が殺処分されたが、その中に2頭の象がいました。
そのため戦後の上野動物園には象がいなかった。
「上野に象がほしい」という子どもたちの希望を都がインド首相ネールに伝え、ついにインドから象が上野動物園にやってきたのです。

その象の名が「インディラ」
しかもこの名は、ネール首相は令嬢の「インディラ・ガンジー」からとられたものだったのです。(ちなみに「インド独立の父」マハトマ・ガンディーとは関係ありません。)
 象のインディラ物語:
 http://spijcr.mithila-museum.com/topics/zou/zou.html
 象インディラの来日:https://web.archive.org/web/20110926071822/http://doraku.asahi.com/earth/showashi/110830.html

こうして日本にやってきたインディラを見たいという手紙が寄せられたことから、1950年に5ヶ月間にわたる地方巡回へ出たそうです。
静岡県、山梨県甲府市、長野県松本市、長野市、新潟市、山形市、青森市、北海道札幌市、旭川市、函館市、秋田市、岩手県盛岡市、宮城県仙台市、福島市、宇都宮市、茨城県水戸市、群馬県前橋市を回り、のべ400万人が見学したそうです。
大変に有名になった象なのです。

1955年創業のカレーハウスは、その象の名を店名にしたというわけです。

その象のインディラは1983年8月、上野動物園で死亡し、その骨格標本は国立科学博物館に展示されているそうです。


 
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