NPO法人相馬はらがま朝市クラブと報徳庵@相馬市 [3.11以後]
福島県相馬市の仮設店舗にあるNPO法人運営のレストランへ行きました。
【塚田地区仮設店舗】。
そこの奥の1階にあるお店。
「食う処 報徳庵」さん。
ここは「NPO法人相馬はらがま朝市クラブ」(理事長高橋永真)が2012年3月11日に開店したレストランです。
HP:http://www.ab.auone-net.jp/~haragama/
「はらがま」は昨日の記事にある原釜地区のこと。
昨日の記事にあったように、原釜地区は津波で壊滅的な被害を受け、住宅や漁港がすっかり消失してしまった。
原釜地区の多くの住民が仮設住宅に住んでいます。その中には仕事も奪われた方々も多い。
原釜漁港はヒラメなどの高級近海魚を水揚げしていましたが、港が津波で破壊され、さらに原発のせいで操業停止したため、水産業だけでなく水産加工業や流通業も操業できない状況になっています。
水産加工会社を営んでいた高橋さんが、2011年4月に宮城県名取市で再開された「ゆりあげ港朝市」を手伝ったことをきっかけに、地元で朝市を開催することを思い立ちます。
毎日のカップ麺、オニギリに飽き飽きし、「おいしい魚が食べたい」「魚を売ろう!何かをやろう!」と水産仲卸組合の仲間に呼びかけ、朝市を開催して仙台市場から仕入れた水産品や冷凍品を販売たそうです。
市長の協力で開催場所やテント、テーブル、椅子、約1000人分用の防災鍋等を借りることもできました。
朝市の名は、原釜を忘れないためにという思いで「はらがま朝市」という名をつけました。
震災後の2011年5月3日から、毎週土日に旧相馬中村城跡に隣接する「長友グランド」や「スポーツアリーナそうま」などで「相馬はらがま朝市」を開設しました。
「朝市」では全国からの支援物資を無償配布します。
また食品や野菜等の少量の支援物資を配布するため市価の1割程度の価格で販売する「有償配布」を行っています。
そして全国からの支援者による和太鼓演奏、歌謡ショー、ジャズ演奏等の催し物を開催しています。
このNPOが行っている重要な仕事はもう1つあります。
阪神淡路大震災では、仮設住宅に入居した被災者の「買い物難民」や「孤独死」「自殺死」が問題になりました。
それらを防止するために、リヤカー行商「海援隊」を組織して、相馬市内の仮設住宅毎日回って、野菜や飲料、日常雑貨を販売する事業も行っています。
これは単なる行商ではなく、仮設住宅1500戸を毎日訪問する「見回り」の活動です。
県の「絆づくり応援事業」を使って被災住民を雇用して、この取組を実施しています。
そんなNPOが2012年3月11日に開設したのがここ「食う処 報徳庵」さんです。
このレストランが開設されてからは、「朝市」はこのレストラン前で開催され、催し物はレストラン内や屋外で開催されています。
また同じく2012年3月11日に原釜地区に水産加工場「復光第一加工工場」を設置して、他県からの材料で加工品を製造をしています。
参考:http://bridgeforfukushima.org/community/comu_02.html
復興庁の事例集 http://www.reconstruction.go.jp/topics/post_197.html
ここで食事した様子やこのNPOが製造した水産加工品のことは記事にしました。
ランチの記事:http://onhome.blog.so-net.ne.jp/2014-02-22-4
水産加工品の記事:http://onhome.blog.so-net.ne.jp/2014-02-22-6
今回はここで開催されたイベントの様子をご紹介します。
お店は地元の方々の憩いの場になっています。
このお店の内装はかなりウッディーですが、これは前回紹介した小田原市の「報徳の森プロジェクト」の協力で小田原などの材を使っているそうです。
2012年3月11日の開店に合わせて、小田原や南足柄産の杉・ヒノキ・サワラ約4tをトラックで運搬して、ここを完成させたそうです。
そして工事をしたのは、阪神大震災の被災地である神戸市の大工さんだそうです。
そういう繋がりの中でこの場がつくられたそうです。
このお店には各地からいろんな方が訪問されるようで、今朝も関西からの大学生が訪問していました。
地元のおばあちゃんが学生さんと握手をして名残を惜しんでいます。
そんなサプライズの後、恒例のイベントがあったりします。
地元の歌手の方がカラオケで歌を披露しています。
立谷寛治さんの「寛治勝丸男船」。
歌を聞きながら、コーヒーをいただきました。
1杯、たったの100円です。
カウンターの上に色紙がいろいろ。
「美味しんぼ」の雁屋哲氏も来られています。
『美味しんぼ』の110巻と111巻(未刊)は「福島の真実篇」となっていて、110巻で「NPO法人相馬はらがま朝市クラブ」の活動が紹介されています。
マンガの中では2011年11月にスポーツアリーナそうまで開催されている朝市に、海原や山岡らが訪問していて、実際にそのときに雁屋氏が取材に訪問したのでしょう。
雁屋氏は2011年11月から2012年12月にかけて福島を訪問したそうで、氏はブログで「「美味しんぼ」を読んで頂ければ福島の真実を大括りにして掴む事が出来るとおもう。」と述べている。
雁屋哲の今日もまた:http://kariyatetsu.com/blog/1568.php
その雁屋氏の福島に関する考え方が、オーストラリアの情報を紹介している日本語ミニコミ紙「日豪プレス」(2014年1月13日 )に掲載されました。
【原発】福島の真実──『美味しんぼ』作者・雁屋哲氏に聞く
氏は、東北地方の海産物は今後「恐らく食べられなくなるでしょうね。どうしようもない、とんでもない被害ですよ。山の幸も川の魚も…」と絶望的な観測を述べ、また帰京後に鼻血が出たことを放射線の影響とも語っています。
それらのことが物議をかもしました。
しかしこの記事は「次号に続く」となっているのに続編がないため、記事後半にあるであろう結論部分が欠落していて、真意が伝わっていないように思います。
ではその真意とは・・。111巻が出てから考えたいと思います。
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