松川浦と原釜地区@福島県相馬市 [3.11以後]
福島県相馬市に行きました。
相馬市は、福島県の浜通り北部にある市です。
海側に潟湖の「松川浦」があります。日本地理学会「津波被災マップ」:
http://map311.ecom-plat.jp/map/map/?mid=40&cid=3&gid=0
松川浦は、いくつかある川の河口の入り江が砂州(さす)でせきとめられてできた潟湖(せきこ)で、海水と真水が混合した汽水湖(きすいこ)。
潟湖には大小の島が点在し、砂州には松林がある風光明媚な観光地でした。
「海水浴場」と書いてあるところが原釜地区です。
3.11の津波は、地図の赤い部分に遡上しました。
津波で砂州にあった松林はほぼ消滅してしまった。
青い部分は集落があって、家屋の多くが流される被害を受けた範囲です。
原釜地区では多くの住宅が流されました。
原釜地区や松川浦の現在の様子、そのほんの一端を記事にします。
宿泊した亀屋旅館さんは、松川浦に面した赤い「+」のあるあたり。
亀屋旅館さんの被害は少なかったですけど、このあたりでも建物の被害はありました。2013年2月に宿泊した「旅館いさみや」さんもそうです。
http://onhome.blog.so-net.ne.jp/2013-02-20-1
しかし外海に面する北側の原釜地区は、青色が示すように建物流出の被害が甚大でした。
震源が福島県の北側であったために、津波が北寄りに襲ってきたせいです。
逆に亀屋旅館のあるところは津波が回り込んできた、という感じだそうです。
外海側の原釜地区は住宅流失の被害が甚大でした。
googleで見た現在の様子。
先の写真で青色の部分は、住宅が消失しています。
山手から海のある原釜方向を撮った写真。
すっかり建物が焼失して、更地になっています。
ここに住まわれていた方々は、多くが仮設住宅に住まわれていると思います。
旅館がある松川浦の岸壁。
地盤沈下のために岸壁が水面と同レベルにまで沈下しているし、電柱が斜めになったままです。
松川浦は汽水湖であるため湖内では海苔の養殖が行われています。
海苔の養殖施設も津波で破壊されたのですが、現在は養殖が再開されています。
養殖網の支柱は、従来は竹製だったのですが、キリンと日本財団の援助で「コンポーズ」というガラス繊維強化プラスチックの支柱になり、耐久性が格段に向上したそうです。
相馬双葉漁協松川浦支所:http://matsukawa-ura.sblo.jp/
キリン絆プロジェクト:http://kizuna-nipponfoundation.info/fukushima/
震災のあった2011年度は養殖そのものを行えず、2012年度から松川浦に残っていた種と渥美漁協からの種を育て、試験的に養殖を開始しました。
しかし放射性物質の影響から出荷を自粛し、2014年度も出荷自粛です。
せっかくの養殖なのに非常に残念です。
心配なのは、川の水とともに上流から放射性物質を吸着した泥が湖内に流入することです。
相馬市の災害公営住宅を通りかかったので、写真に納めてみました。
今年の3月に住宅が完成したようです。
木造平屋24戸、木造二階建22戸が造成されています。
木造二階建の住宅。
木造平屋。
かつて住んでいた住宅に比べるときっと手狭なのでしょうが、集合住宅ではなくこうした戸建ての住宅の方が落ち着いて暮らせるだろうと思います。
震災から3年が経過しましたけど、いまだプレハブの仮設住宅に住まわれている方々がほとんどです。
一日でも早く住まいを確保できるよう、住宅建設を進めてほしいです。
団地の脇にある公民館。
災害復興住宅団地の集会所ではなくて、この地域の公民館です。
【電源立地促進対策交付金施設】という看板が張ってあります。
「電源立地」すなわち原発近くの市町村へのアメで建てられた、というわけ。
相馬市は原発による避難指示解除準備区域等の指定はうけていませんが、しかし農地は汚染され、海は今も汚染され続けている。
そこに原発予算で建てられた公民館。なんとも恨めしい。
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