酒も肴もリーズナブルに旨い 酒奏居肴家 季酒@福山市 [ 中国・四国]
広島県福山市での夜。
「魚・魚」さんで少し飲んでから、もう1軒。
事前にチェックしたお店がいくつかあったんですけど、どうもいまひとつ。
吉田類さんが立ち寄った「自由軒」さんがある小路。
自由軒に入ってみましょうか?
とその小路に気になる店を発見。
とんちゃんじゃなくて、同行者の発見です。
タープが下がってモダンな店構えだけど、縄暖簾が下がっていて、銘居酒屋の雰囲気じゃないですか!
「酒奏居肴家 季酒」さん。
かなり凝った店名ですけど、なんだか酒も肴も旨そうに思います。
いや、実際に大当たりの店だったんです。
1階はカウンターのみ。2階、3階には座敷があるそうです。
カウンターの一番奥には常連風の客が1人います。
その手前の席に座りました。
カウンターの奥に立つご主人はずいぶんと若い。
しかし板前の姿で凛としたたたずまいです。
その回りに若い人が2人キビキビと働いていて、ちょっと緊張感のある板場です。
皿やリユースの箸がきちんと重ねて配置されていて、ご主人の気の配り方が推察されます。
さて、メニュー。
「ほぉ、自家製〆サバなんていいねぇ。」と話したら・・
隣に座っていた常連風のお客さんが「それもうないんです。」とアドバイス。
常連さんかと思ったそのお客さんは、実は出張で福山に来ているのだそうです。
近くの酒屋で酒を買って、小さくて魚と酒が旨い店はないかと尋ねたら、ここを教えてもらった、とのこと。
ここのご主人は楽しい人だし、色々と教えてくれるから、酒は何がいいか尋ねるといいよ、などと教わる。
ともあれ、キンメダイの刺身(680円)とタチウオの刺身(580円)をいただくことにする。
日本酒はリストにあるのが定番酒。
まずは天寶一の純米をいただきましょう。
日本酒の料金は、480円と680円という分かりやすい設定。
山口県の獺祭純米大吟醸も680円で、かなりリーズナブルは料金です。
◆天宝一の特別純米酒
地元福山市にある蔵元「天寳一」のお酒です。
さっきの店でいただいた普通酒が余りにも味わいがなかったので、ちゃんとしたのをいただこうと思います。
「福山。」という銘の天寳一は特別な製品みたいなんだけど、ちゃんと確認しませんでした。
皿の上に升に入ったコップが置かれ、一升瓶から酒が注がれる。
コップから溢れ、升から溢れそうになるところまで、酒がしっかり注がれます。
これで680円ってのはかなりコスパが高い。
値段を気にしないでお酒を飲んでもらうために、こんな料金設定にしているんです、とご主人。
してお味ですが・・・これはもう、しっかり旨い。(*^▽^*)
口当たりはいいけど芳醇です。
◆お通し
お通しは絹ごし豆腐の上にイクラがのっている。
シンプルだけど旨い。
カウンターの端に置かれた冷蔵庫に一升瓶がいくつも入っている。
◆刺し盛り
白い太刀魚と赤いキンメダイ。
太刀魚は脂が乗っているけどスッキリした感じ。キンメダイはマッタリして、皮付きのところは炙ってある。
隣の客が「これ美味しかったんですよ。」と小さな器を差し出す。
器の中に、ほんの少し食べかすが残っている。
「これ、鯛の酒盗なんです。」
「えっ?鯛の酒盗ですか?」
「ちょっと味見してみませんか?」
じゃぁ、お言葉に甘えて・・・器に僅かに残るものを箸でこそげとって・・・食べてみる。
おっ!これはうまい!w(*゚o゚*)w
これメニューにあるんですか?
ありますよ、とそのお客さんがメニューを示すと、確かにある。
「これ、もらえますか!」
「鯛の酒盗ですね。」とニッコリと微笑んだご主人がこちらを見て確認する。
◆鯛酒盗
塩加減がきつくなく、たま甘い味付けにはなっていない。
薄味の辛口で、実に酒に合うように出来ている。
「これは旨い!どこかで売っているんですか?」
「これを作っているのは1人だけで、それを分けてもらっているんです。たぶん売ってないです。」
要するにこの店に来ないといただけない、ってことです。
◆亀齢 辛口純米 八拾
東広島市西条の亀齢酒造のお酒。
精米歩合が80%だから八拾です。
普通酒でも75%程度ですから、80%というのはかなり低い。敢えて低くした低精白酒です。
杜氏は西垣昌弘さん。
芳醇な辛口の酒で、旨い。
精米歩合が低いから米の旨みが出るのでしょうが、しかし雑味がなくてクリア。
この酒は「中生新千本(なかてしんせんぼん)」という、主食用だけど酒米にも使われる広島産の米を使い、しかも精米歩合が低い。
そこからこういう酒を造るのですからすごいことです。
香川県琴平町にある蔵元・丸尾本店は「悦凱陣(よろこびがいじん)」という有名な酒を造っています。
かつてその杜氏をしていたのが西垣信道さんとその息子の西垣昌弘さん。
1997年に西垣親子が亀齢酒造に移り、2012年からは昌弘さんが杜氏に就いているそうです。
◆神雷 新酒会タンク直結純米原酒
とんちゃんじゃなくて、同行者が選んだ酒で、定番の日本酒リストには載っていません。
広島県神石高原町にある三輪酒造のお酒。
醸造米は千本錦。兵庫県産の酒米として有名な山田錦に中生新千本をかけた作られた広島県の酒造好適米です。
去年の暮れに醸造して、秋を待たずに醸造年度内に瓶詰めするのを「新酒」と言いますが、これは4月に行われた新酒会用に瓶詰めされたもののようで、かなり珍しいものです。
カウンターの目の前に珍しい香辛料が並んでいるの気になっていました。
これはいったい何の意味ですか?
面白いから置いているって。(*^▽^*)
左から「レモスコ」が2つ。(ヤマトフーズ製)
瀬戸内産広島レモンを海人の藻塩を使った香辛料で、赤色がハバネロ(!)、黄色が青唐辛子入りです。
真ん中が、Hachi(ハチ食品)製のハバネロ入り激辛一味。
その右が、祇園はた源製の祇園わさび七味。
そして右端が、黄金唐辛子(鷹の爪の10倍辛い!)を使った祇園味幸製の「祇園七味」です。
「よかったら使ってみてください」って言われても、使う対象がない。
舐めてみようかと思ったけど、酔ってこの手のものを舐めると後で大変なことになる、という経験があるから、今回は舐めない、と英断しました。(;´ρ`)
いろいろ教えていただいた隣のお客さんは先に帰りました。
日本酒を2杯飲んで、わたしらもここらで仕舞いにしましょうか。
この店を出て、並びにある「自由軒」さんを覗いたら、満席で入れない。残念。
ここらでホテルへ戻りましょうか。
ごちそうさまでした。
最後にメニューを掲げておきます。
こちらのお店も良さそうですね
by taka (2014-07-13 15:04)
> takaさん
偶然見つけたお店ですけど、イチオシです。
by とんちゃん (2014-07-14 05:59)
はじめまして。
埼玉に住むNと申します。
初の福山出張にあたり、良さそうな店を
ネットで探していましたら、こちらのブログに出会い、内容に惹かれましたので
昨日行ってきました。
上の階は満席、運良く空いたばかりのカウンター席にすわることができました。
新鮮な魚、焼きに揚げ物、どれも美味しく
地元のお酒もまた旨い。
記事に書かれていた通りでした。
行って良かったです。
ありがとうございました。
ちなみに、自由軒を覗いてみたら、やはり満席でした。
by N (2014-12-23 17:04)
> Nさん
お役に立てて幸いです。
ここは小さな店なのですぐに満席になるんでしょう。
若いご主人がとっても勉強熱心で、客への対応がまたいいお店ですもの。
席が取れてよかったですね。
仕事は仕事として、夜はこういうところで楽しく酒を飲めたらうれしいですよね。
ちなみに、ブログの記事は食べログにアップしていますので、レビュアーから「とんちゃん」を選ぶと、過去の記事の検索が楽です。
by とんちゃん (2014-12-24 06:09)