TVワカコ酒(2)焼き餃子 [ ワカコ酒]
徳間書店の『コミックゼノン』連載中のコミック、新久千映さん作の「ワカコ酒」。
OLの村崎ワカコちゃんが1人飲みするという飲兵衛には楽しいお話。
そのTVドラマ版が、BSジャパンで毎週木曜日の深夜に放映されています。
ドラマは2部構成。
前半部分は、テーマとなっている料理を実在のお店で食べる。
この部分のドラマの筋やセリフは原作に実に忠実です。
後半部分は、第1話では架空の店「逢楽(あらく)」でしたけど、第2話ではこれまた実在のお店での食事。
そんなドラマの内容とコメントを記事にします。
ただし、とんちゃん流にかなり偏屈にね。σ(゚ー^*)
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まずはドラマの内容から。
【前半部分】
◆焼き餃子
TVドラマの第2夜のテーマは「焼き餃子」。
これは原作のコミックでは第4話に登場します。
脚本・監督は久万真路氏。
その焼き餃子をいただくお店は、高田馬場にある「餃子荘 ムロ」さん。
食べログ:http://tabelog.com/tokyo/A1305/A130503/13019237/
ずいぶんと昔に、とんちゃんも行ったことがあります。
さてドラマでは、OL3人がランチを食べに出て・・・お店の前で立ち止まるワカコちゃん。
「餃子が食べたい。ものすごく。」 とお店を睨みつける。(空手女子の鋭い目力を見よ!)
でもこのあと会議があるから、と諦めることに。
ニンニク臭かったら、マズイもんね。
そこで夜になって熱烈的再訪です。
このお店の餃子には、ふつう、にんにく(玉入り)、チーズ(エダムチーズ入り)、カレー、紅(唐辛子入り)がある。
「いまニンニクを食べておかないと、損なような気がするから。」
と、「にんにくギョウザ2人前とビールで。」とオーダー。
さらに「ギョウザとビールはいっしょでお願いします。」と追加。
ドラマの進行にとってこのオーダーは実に重要なんですけど、それはまたあとで。
グラスにビールを注ぎながら、今夜の主役「焼き餃子」が焼きあがるのを注視。
さて、餃子が出来上がって、いよいよいただく。
「ひと口でいくのも捨てがたいが、(タレを)ちょっとだけつけて、かじってニンニクを感ずる。」
と、餃子を半分食べて・・
「ぷしゅー」
「たれの味よりニンニク味。ニンニクがいるうちにビール。」
と、ビールを飲んで・・・
「ぷしゅー」
「ビールがいるうちにギョウザ。」
「麦っ、ニンニクっ、麦がいるうちにニンニク。麦、ニンニク、麦、ニンニク。
誰に強制されたわけでもないのに、この流れを止めるタイミングがつかめん。
これぞ無限ループのぎょうざ・ワールド。
ニンニクがいるうちにビール、ニンニク、麦、ニンニク、麦、ニンニク、麦、ニンニク。」
と、ここでカレシのヒロキからメール。
「今どこ?一緒にご飯してもいい?」
「わたしゃ今日明日、だれにも会わないって・・・言っ・・・てないけど。」
と言いながら「だめ」と返信。
太字部分が原作にあるもの。
ドラマは原作とほぼ同じセリフなんですよ。原作より「麦、ニンニク」が多い。
でもね、これでいいのか!っていうのがとんちゃんの意見。それはまた後ほど。
◆焼き餃子に合わせる酒
このドラマはワカコちゃんのひとり飲み。
「食い」だけじゃなく「飲み」も重要。
今回は、餃子とビールの無限ループになりました。そのビールは・・・これ!
サントリーのプレモル。
このお店のデフォルト・ビールがこれなんです。
◆ビールは餃子といっしょで?
さっき指摘したように、ワカコちゃんは「ギョウザとビールはいっしょでお願いします。」とオーダーしました。
みなさんに聞きたい!
餃子をオーダーしておいて、ビールを出すのは餃子が出来るまで待ってね、って言いますか?
とんちゃんは絶対に言わない。(キッパリ)
餃子が出てくるまでビールを飲ますにガマンする、なんて飲兵衛はこの世に存在しない!
でしょ?
ワカコちゃんは、飲兵衛として考えられないオーダーをするんですよ。
しかもこのセリフは原作にないもの。
そんなセリフをなんでワカコちゃんは言うのか?
実はこのセリフはドラマの進行上、とっても重要だからなんですよ。
餃子が出てくるまでビールをじっと我慢するのが、なんで重要なのか?
答は、原作どおりのセリフのため、です。
なぜかというと・・・
普通は餃子が出来上がる前にビールが出てきますよね。
そしたら、ワカコちゃんは、ビールを飲んで・・・「ぷしゅー」ってなっちゃうよね?
でも原作では、最初の「ぷしゅー」は、餃子を食べてからなの。
そうなるためには、餃子が出来上がるまでビールに待ってもらうしかないのよ。
かくして、原作に忠実な進行にするために原作にない発言をする、という逆説的脚本になったってわけ。
でも実は、原作では餃子を食べる前にジョッキのビールを飲んでるんですよ。「ぷしゅー!」なしで。
【後半部分】
今回の2軒目は、実在のお店。南池袋にある「ダルマ」さん。
http://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13149222/
食べログに、まだ誰もレビューを投稿していないという、まさに隠れ家的なお店です。
◆いかと里芋の煮物
ここでワカコちゃんが食べる料理は「いかと里芋の煮物」
原作では24話のテーマです。
ワカコちゃんが料理をオーダーするシーンがなく、料理が運ばれてくるところからドラマが始まります。
ワカコちゃんはイカを食べて・・・
「煮物っていいなぁ。イカとさといもの相性ばっちりの煮っころがし。
うん、うん、うん。
食感はタコの方が好きだけど、イカの売りは味だよね。
常温のお酒でいつもたべたい日常のぜいたく。」
「ぷしゅー。」
「イカとさといものカップル。イカが彼女で、さといもが彼氏。
主に味を出しているのは彼女なのだけど、彼氏を口に運んでも彼女の存在が感じられる。染み込んでる。
イカの味とさといものぬめり。丁寧に下ごしらえされ、時間をかけて煮てあるんだろうなあ。」
と、お酒をもう1口飲んで。
「ぷしゅっ。」
この独り言も原作とほぼ同じ。
原作では「イカが彼女で、さといもが彼氏」なんて言わずに、あくまでも「イカ」「さといも」として語られています。
この後、カップルが「おいしい」と言っているのは、このイカと里芋のことみたいなので、これは「お通し」なのかも。
あるいは番組最後のお店紹介にあるように、このお店はおまかせコースだから、勝手に料理が出てくる、ということなのかもしれません。
どちらにせよ、なぜこの料理が出てきたのかが理解できるようなドラマにしてほしかったな。
◆料理に合わせた日本酒
料理が運ばれてくる前に、一升瓶が置いてありますが、ラベルは見えません。
この日本酒をチョイスするシーンがないのはドラマとしてどうなんでしょうか。
そのお酒がこれ。
石川県中能登町にある御祖酒造の「遊穂(ゆうほ)」純米酒。
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さて、次はとんちゃん目線の重箱の隅をつつく細部コメント。
◆餃子屋の店員は微笑む
餃子屋のお店の人たちが、ワカコちゃんが食べている様子をニコッとしながら見ています。
※お店の人は俳優さんじゃなくて、実際のお店の人なので、表情が硬いですけど・・・
店主も、おかあちゃんも、おにいちゃんも、みんなニッコリするの。
なんでそんなシーンが続くのか?
実はこれ、原作のまんまなんです。
原作のおばはん、ニッコリしてるでしょ?だからなの。
◆「にんにく餃子」語られず
ワカコちゃんはこのメニューをみて、
「いまニンニクを食べておかないと、損なような気がするから。」と言う。
これ、原作のまんまの独り言なの。この「ニンニク」は餃子と同義。
ドラマでは、メニューに「ふつう」と「にんにく」とがあって、「にんにく」餃子の方をチョイスしたみたいに見える。
原作のセリフが、うまいことはまってます。
ところがここが問題だと思うんですよ。
このお店の「にんにく餃子」がどんなものか、全然説明がないんだな。
このお店は、オーダーを受けてからその場で餃子を作り始めることが紹介されます。
そして餃子を包んで焼くところが画面に出てきます。
餃子を包むシーン。
これが、にんにく餃子を包むシーンなんです。
皮にのった餡の真ん中にあるかたまりが何かわかるでしょうか?
これニンニクなんですよ。
こんな大きなニンニクの1片を餡といっしょに包んだ餃子。これが、このお店の「にんにく餃子」なんですよ。
そして出来上がったその「にんにく餃子」をワカコちゃんが半分かじったところのシーン。
半分になった餃子の中が映されます。
餡の中央に大きなニンニクがあるでしょ!
こんな感じにニンニクがゴロンと入っているんですけど、そのこともまたセリフでは一切、語られない。
原作に忠実なセリフのおかげで、このお店独自の「にんにく餃子」には全く触れない。
「大きなニンニクがホクホクして、ニンニクの旨さが普通じゃない!」とかさ、このお店独自のニンニク餃子を語るセリフがあってもいいんじゃないかな。っていうのが、とんちゃんの感想。
◆にんにくなしの餃子あります
このお店の餃子には「ふつう」と「にんにく」があって、ワカコちゃんは「にんにく餃子」をオーダーしました。
「にんにく餃子」は、いま紹介したように、ニンニクがゴロンと入っている。
こんなのを人に会う前とか、会議の前に食べちゃマズイよね。
でもね、じゃぁ「ふつう餃子」のニンニクはどうなっていると思いますか?
ニンニクが普通に入っている?
・・・じゃないの。
「ふつう」には、ニンニクは入っていないの。
そもそも中国の餃子にはニンニクは入ってない。それが「ふつう」なのね。
ってことは、このお店の「ふつう」を食べれば、会議の前でもノープロブレム!
だから、午後に会議があるからといってランチに餃子を食べるのを諦める必要はなかったのだ!
そうするとランチで餃子を諦めるっていうストーリーが成り立たなくなる?
でも、ワカコちゃんたちはこのお店が初めてで、そんなこと知らなかった、という設定ですから。
もし知っていても、ワカコちゃんはニンニクを欲していたんだから、ってことですから。
そういうわけで、餃子荘ムロの「ふつう」と「にんにく」、両方とも言葉では紹介されませんでした。
実在のお店で、実在のメニューと料理を使ったことがドラマに活かされていないんじゃないかな。
◆焼き餃子の姿
餃子荘ムロさんのカウンターで、グラスにビールを注いだところで、出てきた餃子。
にんにく餃子2人前。
均一にキツネ色に焼きあがって、しかもきれいに並んだ餃子たちですね。
素敵なビジュアルです。
ワカコちゃんが餃子を半分食べたところで、その背後に見える餃子も同じものですよね。
ところが!
その直後、餃子&ビールの無限ループに入ったシーンでは・・・
えらくバラバラに並んだ餃子たち。
実は、焼きあがった餃子をワカコちゃんに渡すシーンではこうなの・・・
整然としてない。これでしょ!
ランチに食べたい・・・と想像するシーンでの餃子もこんな感じ。
きれいに並ばない餃子たち。しかも焼き色も均一じゃない。
っていうか、これがこの店の普通の餃子じゃない?
さっきビールとならんだ美しい餃子は、かなり厚化粧してたんじゃないでしょか?
ここも演出ですかね。(^^)
◆いただきます
第1話では、ワカコちゃんはお酒を1口、あるいは2口飲んでから「いただきます」(合掌)としていました。
今回はどうでしょうか。
焼き餃子では・・・「いただきます」なし。
そういう余裕がなかったのかもしれません。
後半のお店では・・・
しっかり「いただきます」(合掌)してます。心に余裕があるんですね。
でも、お酒を口にするまえに「いただきます」です。
ってことは定型はないってことかな・・。
第1話と第2話では、脚本・監督が違うからかな。
◆カレシとの関係は?
第2話のドラマには1つのテーマがありました。「カップル」です。
1軒目の店では、デレデレしたカップルの男性が「やっと、餃子を食べられるような中になったんだな。」と言う。
2軒目の店で、カップルの男性が「たまにはこういうの作ってくれよ。」と言っていうの。で、女性が店主から作り方を教わる。
ワカコちゃんはというと、
1軒目では、「今どこ?一緒にご飯してもいい?」というカレシのメールに「だめ」と返信。
しかし2軒目の店の帰りに、カレシからかかった携帯に、「煮物好き?」なんて聞くの。
でもね原作では、カレシとの回想で・・・
「煮物とごはんサイコー!」というカレシに、ワカコちゃんは「マジ!!」と切れるの。
「ちゃうよ、煮物は常温のお酒と・・」とカレシに異論ありなの。これって、塩焼きと同じ対応だね。
「たまにはこういうの作ってくれよ。」「うん、美味しい煮物つくれくれるように努力するね。
「煮物好き?」(じゃぁ、今度、つくってあげるね)」
なぁんていうストーリーは女子向きなのかな?
あるいは、そうあってほしい、っていう男の願望かな?
単なる飲兵衛のあっしからは、お店に合わせたオリジナルな食いと飲みのワカコちゃんの独り言をもっと聞きたかったな。
やっぱり深いですね~、ドラマに対する厳しいチェックも愛情からでしょうか(笑)
ムロさん、行かれたことあるんですね。
後半のだるまさん、キレイなおかみさんに触れられていないのが意外(爆)
by 式守錦太夫 (2015-01-20 23:40)
> 式守錦太夫さん
愛情感じてます。(笑)
第1話と第2話では脚本・監督が違っているので、違った進行になったように思います。
だるまさんの女将さん、美人でしたね。
実際のお店の人が登場するところが、このドラマの新しいところですね。
by とんちゃん (2015-01-22 07:27)