TVワカコ酒(4)ざる豆腐(その2) [ ワカコ酒]
徳間書店の『コミックゼノン』連載中のコミック、新久千映さん作の「ワカコ酒」。
OLの村崎ワカコちゃんが1人飲みするという、飲兵衛には楽しいお話。
孤独のグルメ・女ひとり飲みバージョンって感じ。
そのコミックのTVドラマ版が、BSジャパンで毎週木曜日の深夜に放映されています。
飲みのつまみとなる料理が、各回のテーマです。
1月29日放映の第4話のテーマは「ざる豆腐」。
原作では第7話に登場する料理です。
そのドラマを飲み食い中心にコメントします。
(放映後、ずいぶん経って、ネタが古いですけど。)
記事が長くなったんで2日に分けています。
昨日は、ドラマの構成と女子会、そしてロケのお店について記事にしました。
過去3話は2部構成になって2品以上の料理をワカコちゃんが食べていたのに、この第4話では20分間のドラマでたった1品のつまみ、「ざる豆腐」しか食べない。
その一方で彼女とは全く見ず知らずの女子たちの女子会の時間が長い!
ところが!
この女子会はしっかり原作に沿っている、と昨日書きました。
◆ざる豆腐
そんなわけで、ドラマと原作を比べてみます。
太字の部分は、ほぼ原作と同じ部分です。
ワカコちゃんの独り言はざる豆腐のこと、女子会の話題は彼氏との相性です。
【おすすめメニュー】の「ざる豆腐」を勧められる。
このざる豆腐のメニューはドラマ用の特別製。でも右側のメニューはお店の本物。
ワカコ「これで、ざる豆腐をお願いします。あつかんも。」
女子「まー、合う、合わないは、あるよね。」
女子「自分にはさー、こーいう人!って分かってるつもりだけど。つきあってみたら、なんか違うとかね。」
女子(中略)
店主「薬味はお好きなものをお使い下さい。いろいろ楽しめますんで。」
と、まさにいろんな薬味が出てくる。
ワカコ「あちち」 ・・・と徳利から猪口に熱燗を注ぎ
熱燗をひとくち・・
ワカコ「ぷしゅー」(その1)
女子「慎重に選んでるの?」
女子「選んでる、選んでる。」
ワカコ「わたしは選ぶよ、慎重にね。付け合せのことだけど。」
「はじめは塩、オンリー。」
ワカコ「いただきます。」
「豆腐の味がよくわかる。」
ワカコ「ぷしゅー。」(その2)
「大豆でできているんだのう・・。」
女子「わたし、リョウタ(前カレ)とは全然ケンカしなかったの。」
女子「ウソ、1回も?」
女子「けんかしない=(イコール)気が合うだと思ってたけど。」
女子「あー多分違うよね。」
女子「そうそうなのよ。」
女子「本気じゃなかったから怒れなかったんだなあって。」
ワカコ「おつぎは、ゆずこしょう。」
女子「ぶつかって初めてわかるってことあるじゃん。」
女子「そうなの、そこなんだよね。けんかして、けんかして・・・」
女子「そこがわかるようになったわけ。」
ワカコ「うんうん、口の中で豆腐とゆずこしょうがぶつかりあっている。」
「辛いから豆腐が丸い。」
ワカコ「酒盗。」
酒盗をそのままいただいて・・・
ワカコ「つまみ×つまみたぁ。」と、熱燗を一口。
「なんだか贅沢だねえ。」
ワカコ「ぷしゅー。」(その3)
「酒がすすむわい。」
ざる豆腐に酒盗をのせて食べる。
ワカコ「なんだか盛り上がるわい。」
女子(中略)
女子「どれだけ一緒に盛り上がれるかってのも大事だけど、でも結局最後はさ・・・。 最後はやっぱり、落ち着く相手!がいいよね。」
ワカコ「最後はやはり。」
・・・とネギとカツオブシ、そして醤油。
ワカコ「うん、これ。熱燗がなじんで、すごくおさまりがいい。」
店主「最後にお醤油って方、多いんですよ。」
ワカコ「人生で最初に覚えたお豆腐の味ですものね。そういえば、大豆+大豆だ。あうわけだ。」
「わたしには、このオーソドックスな組み合わせがいちばん。
いろいろ試してみなければわからない。」
仕事で落ち込んで、このお店にめぐり合ったことを思い出して、熱燗を一口。
ワカコ「ぷしゅー。」(その4)
女子(中略)
女子「そー思えるのも寄り道したからかな。なんかトシだよね。」
(略)
確かに原作に沿っている。
そこにドラマオリジナルのセリフを少し加えて、セリフはいい流れになっているね。
----------------------------------------
次からは、とんちゃん目線の重箱の隅的コメント
◆改めて「ざる豆腐」
今回のテーマの「ざる豆腐」って、どんな豆腐のことでしょうか。
木綿豆腐や絹ごし豆腐をザルに盛ったものが「ざる豆腐」。
・・・・なんて思ってはいないですか?
全然、違うんです。
豆腐は豆乳にニガリなどの凝固剤を加えて作る、ってことはご存知と思います。
そうして凝固剤を混ぜた豆乳を、そのまま固めて水にさらすと、水分の多い絹ごし豆腐になります。
凝固剤を加えて凝固したものを崩して、豆腐に取り込まれなかった水分や油を除いた凝固物を型箱に入れて圧力をかけて、水にさらしたものが木綿豆腐。
木綿豆腐の凝固物をそのまま器に盛ると「寄せ豆腐」、それをザルに盛ると「ざる豆腐」です。
◆ぷしゅーの連発
ワカコちゃんは、お酒を飲んだときとか、料理を食べた後に「ぷしゅー」と言うのが特徴。
ただしそれが、1品の料理に対して、1回しか言わないのが普通なの。
ところが!今回は連発なんです。
ワカコちゃんがざる豆腐を食べるときのセリフを書きましたけど、全部で4回も「ぷしゅー」してます。
他の回は、ドラマが2部構成になっていて、前半と後半で1回づつだから、全部で2回。
今回はその倍も「ぷしゅー」しているわけ。
ワカコちゃんの「ぷしゅー」がかわいいから、悪くはないですけど。
ただし原作の「ぷしゅー」は1回のみ。
ドラマの2番目の「ぷしゅー」が、原作と同じ「ぷしゅー」です。
◆吉田類化するワカコちゃん
ワカコちゃんの飲み方は、女性らしくて、なかなか艶っぽい。
ところが今回、かなり違うスタイルを発見!
ワカコちゃんが、酒盗をつまんで熱燗を一口飲んだときのこと。
「つまみ×つまみたぁ・・・なんだか贅沢だねえ。」
と江戸っ子風に独り言したときの格好を見て!
酒を飲んだ猪口をちょっと持ち上げて、「うーん」という顔をする。
これ誰かに似てませんか?
吉田類の飲み方そっくり!(*^▽^*)
これ、絶対に真似している!
◆ドラマのテーマとストーリー
今回のテーマの料理は「ざる豆腐」。
ざる豆腐と薬味との相性に関するワカコちゃんの独り言が、女子会での男性との相性の会話にダブってくる、というのが原作でのストーリ。
それをドラマでも踏襲しているのは先ほどみたとおり。
ところがドラマでは、これにさらにもう2つのストーリーがかぶさっています。
その1つが、ワカコちゃんの会社でのこと。
顧客リストが、どこにファイリングされているのか分からなくなって、大わらわ。
これ、きっとファイリングの相性・組み合わせを絡めたかったのでは?
そして「相性のおさまりのいい」ファイリングを係長に提案することをワカコちゃんが決意するってわけ。
もう1つは、ワカコちゃんの迷子。
ワカコちゃんは住宅街に迷い込んで、迷子になってしまったせいで、お店を発見するという設定になっている。
なんでワカコちゃんが迷子になるのか?
会社でファイルが探せなかった、ファイルが迷子になっている。
あるいは、ワカコちゃんがファイルの中で迷子になった。
それをワカコちゃんの迷子に引っ掛けたんじゃないでしょうか。
ざる豆腐と薬味←相性→男女の仲←相性→ファイリング←迷う→ワカコちゃんの迷子
今回の脚本・監督は久万真路氏。第2話「焼き餃子」のときと同じです。
第2話は「カップル」が全体のストーリーのテーマになっていて、今回の「相性」とよく似ている。
女子向きのテーマで全体を1つのストーリーにする、っていうのが好きな脚本家・監督なんでしょうね。
コメント 0