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台湾の歴史と宗教 [ 台湾旅行]

日本仏教の宝覚禅寺、そして道教儒教の日月潭文武廟を観光して、台湾の宗教文化に少しですが触れました。
そこで今回は、台湾の宗教と歴史について簡単に記事にします。

台湾の宗教は、道教が多く、キリスト教や仏教もある。
「内政部統計年報」(2013年)によると、道教51%、仏教19%、プロテスタント25%、カトリック12%など。
道教が最も多く、意外にプロテスタントが多い。
でも道教は、仏教、儒教と融合していて、それまで含めると仏教や儒教がとても広まっています。 

そんな台湾の宗教事情を知るには、まずは、台湾の歴史を知ることが必要です。
台湾の歴史は、大陸の歴史とは全く異なっているからです。

◆台湾の歴史


16世紀まで:先住民

taiwan.jpg
wikipedia「台湾原住民」より)

台湾には漢民族ではなく、先住民が暮らしていました。(台湾では「原住民」と呼んでいます。) 

先住民はオーストロネシア語族とされます。彼らは台湾から南下し、フィリピン、インドネシアなど太平洋各地に拡散したと考えられていて、台湾がそのルーツらしい。

台湾住民の98%は漢民族ですが、55万人(2%)の先住民族が暮らしています。
台湾政府が認定する先住民族は16部族で、主に「高山族」とも呼ばれる中央の高山地帯から東側にかけて暮らす民族です。
その中の1つ、サオ族(邵族:Thao)が今も日月潭に住んでいる人たちですが、その数は800人を切っています。
上記以外に、「平埔族」と総称される諸民族がいて、平地に住んで漢民族と雑居・同化が進んだ人たちです。

 

台湾を最初に発見した西洋人は、16世紀中期のポルトガルでした。

ポルトガル船が台湾近海を通過した際、船員が偶然水平線に緑に覆われた島を発見し、その美しさに思わず「Ilha Formosa」(ポルトガル語で「美しい島」の意味) と叫んだことから、台湾に「フォルモサ」の名称が付けられました。
そしてヨーロッパに台湾の存在が紹介されます。

 

1624~1662年:オランダ領有

当時、大陸では明の時代ですが、台湾にはその勢力は及んでいなかった。
そこで台湾南部をオランダが領有します。
オランダはプランテーション経営のために福建省、広東省沿岸部から漢民族を労働力として移住させます。
この間(1626~1642年)、台湾北部をスペインが領有しますが、オランダに駆逐されます。

 

1662~1683年:明鄭政権

1644年、大陸では明が滅んで清になります。
明朝の皇族・遺臣達は「反清復明」を掲げて南明朝を興しますが、1661年に滅亡します。
しかしその勢力であった鄭成功の軍勢が台湾に来て、1662年にオランダを駆逐します。
その結果、台湾では、明朝系の鄭政権が統治します。

 

1683~1895年:清朝編入

清朝が鄭政権を攻撃し、1683年に台湾を制圧して、台湾は清朝に編入される。
台湾が大陸の政権の支配下に入るのは、このときからです。
そして大陸の福建省、広東省から多くの漢民族が移住する。
このとき広東省東部から客家人と呼ばれる人たちが移住している。

清朝時代の19世紀半ば、ヨーロッパ列強諸国の勢力が進出します。
そして1858年に、ロシア・アメリカ・イギリス・フランスと清が締結した天津条約によって、台湾でも、台南の安平(アンピン)港や基隆港が開港されます。

 

1895~1945年:日本統治

1895年、日清戦争に清朝が敗北し、下関条約によって台湾は日本に割譲され、日本統治が始まります。 
日本統治は第二次大戦の敗戦時まで継続します。
その間の1912年に、大陸では清朝が倒され、中華民国が成立します。

 

1945年~:中華民国

ポツダム宣言受諾で台湾は中華民国に返還されます。
しかし1949年、国共内戦を経て、中華人民共和国が成立します。
大陸から放逐された中華民国政府(蔣介石総統)は、南京から台湾に移転します。
このとき中国各省から支配層を中心に台湾に逃げ込みます。
台湾では、それ以前からの台湾人を「内省人」と呼び、戦後に大陸から流入した人たちを「外省人」と呼んで区別しています。

 

一党独裁・世襲制・終身議員の政治から民主化へ

台湾に移った蔣介石は、台湾に戒厳令を敷いて言論や政治の自由を制限し、一党独裁政治を行います。しかも総統(大統領)は、蒋介石死後にその息子の蒋経国に移り、世襲制でした。

立法院は日本の国会に相当し、議員は直接選挙で選ばれる、また国民大会は総統・副総統の選挙・罷免権も持ち、各県・市等の代表によって選出される、ということになっていました。
しかし実際には、台湾移転後には戒厳令が敷かれ、選挙が行われないために、台湾移転前に選出された議員が、その後も議員でいつづける終身議員・万年議員となっていました。
したがって国会は、台湾選出ではなく、大陸選出の議員がほとんどを占め続けた

こうした政治状況のため台湾人を中心にして、民主化を求める運動が続けられました。
そして1987年に蒋経国が戒厳令を解除、1996年には台湾人出身の李登輝が一党独裁を排して、やっと民主制に移行しました。

 

◆台湾の宗教

先住民が信仰していた宗教がありました。

以上のような歴史の中で、台湾に大陸や西洋から人が来て、各種の宗教が伝わります。

道教は、漢民族が持ち込んだもの。
17世紀のオランダ領有期や清朝期に、福建省や広東省から移住した漢民族によってもたらされました。
道教は台湾人の生活に大きな影響を与えていて、仏教や儒教とも習合しています。

仏教は、18世紀に観音信仰として台湾に入って来ます。
清朝期の福建省からの移民によって伝わった道教と融合した仏教でした。
日本統治時代には、日本仏教の8宗14派が渡来します。
そして戦後は、中国共産党が宗教を弾圧したため、大陸から多くの仏教関係者が台湾に逃れてきました。この仏教は道教と融合していないものです。

キリスト教のうちプロテスタントは、オランダの領有から始まります。
イギリスが熱心に布教し、当初は先住民、さらには移住して来た漢民族へ布教されました。

カトリックは、天津条約締結後にスペイン人宣教師が高雄に来たのが最初。
戦後、中華人民共和国が成立し、大陸系中国人(外省人)のカトリック信徒が台湾に逃れて来たことの影響が大きいようです。

こうして道教、儒教、それと融合した仏教、純粋な仏教、プロテスタント、カトリック、さらには様々な宗教が台湾にはあります。


 
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