◆「めしばな」のネタ
さて、最初はドラマに出てくる商品を紹介します。
第1話の「立ち食いそば」で登場するお店とメニューは、以下のものたちです。
店 | 紹介メニュー | 原作 |
富士そば | カレーかつ丼 天ぷらそば、春菊天そば、コロッケそば | 第1ばな |
ナポリタン | 第20ばな |
冷やしつけトマトそば、揚げたこ焼きそば ミニお好み焼き風紅しょうが天丼セット さんまかば焼き丼セット | - |
梅もと | 薬膳天そば、天丼セット まぐろ丼セット、とろろ丼セット | 第9ばな |
越後そば | ちくわ天そば、かき揚げそば、山菜そば | - |
吉そば | えび天そば、特製吉そば | 第11ばな |
ゆで太郎 | きつねそば、肉そば、もりそば大もり | 第10ばな |
いわもとQ | かき揚げそば、天ぷらセット大盛り | 第11ばな |
嵯峨谷 | もりそば、小あじ御飯セット、あじ御飯 | - |
原作ではどこで登場するかも書いてみました。
原作の第1ばな「カレーかつ丼」と第9~12ばなの「立ち食いそば大論争 その1~4」、第20ばなの「立ちそば店のナポリタン」が元ネタになっています。
しかしご覧のように、ドラマに出てくるものには、原作にはないネタがいくつかあります。
その反対に原作にはあるのに、ドラマでは出てこないものもあります。
第12ばなに少し登場する「かめや」や「笠置そば」がドラマでは出ませんが、重大なのは、第1話で重要な役割を持って登場する小諸そばの「小諸そば」です。
韮沢課長とタチバナとが立ち食いそばのバトルをする中でのこと。
タチバナが「じゃぁ、お聞きします。課長の今の一番のお気に入りはどこの何そばですか。」という切り込み。
それに対する韮沢の回答は・・・。
ドラマでは越後そばの「ちくわ天そば」です。
しかし!
原作では小諸そばの「小諸そば」なのです。
原作では、店名を冠した「小諸そば」がいったいどういうものなのかを捜索する韮沢課長のめしばなが語られますが、もちろんそれもドラマではカット。
でもなぜ小諸そばを取り上げなかったのか?
「山かけ」がいけなかったのか?(「小諸そば」は山かけなんです。)
取材拒否か?なんてツッコミもありそう。
このことは、次回、考えてみます。
ここではとりあえず、制作上の理由があったのだろう、ということにしておきましょう。
◆タチバナの熱い語り
さて、このドラマで面白いのところは、タチバナの熱い語りじゃないかと思います。そのうち今回は2つだけ紹介します。
◇タチバナ、梅もとの「薬膳天そば」を語る
食べたときの感じが実にリアルです。
ドラマは原作での語りをかなり忠実に再現しているので、ここではその両方を示してみましょう。
( )の中はドラマの台詞で加えられた部分、取消線は原作から削られた部分です。
ここから1駅離れたところにある立ち食いそばの偉大なる老舗「梅もと」の「薬膳天そば」350円。
<五島らとの会話>
こっちの薬膳は(いわば)「かき揚げ天」のバージョン2。
(そいつはなぁ)衣の中身がちょっと違うんだよ。
タマネグ、にんじん、ネギ、にんにく、クコの実、あとはたぶん・・・松の実も入っている。
つゆにじゅわっとつける(、そうする)と、まずにんにくの香りと衣の油分がつゆ全体にしみ(わたっていく。)出してだなぁ、(そして)ほおばる(。すると)モチャっとふやけたクコの実が口の中(を・・・)でほぐれていく・・・。
ときどき舌の上にころがってくる松の実の食感が、また、たまらん。
まるで中国4000年の彼方に時空移動したような・・・。
というほどではないが、うまいことに間違いはない。
店によって値段は若干違うが、わずか300円台で”薬膳”と名のつく料理がたべられるのは、梅もとぐらいのもんだろう。
<五島・村中の会話>
(例えるなら、中国4000年の彼方に時空移動させてくれるそば。それが梅もとの名作、薬膳天そばだ。)
原作の語りがほとんど再現されているのがおわかりかと思います。
でも、こうやって両方を書くと煩雑なので、以下ではドラマの台詞だけにして、原作と大きく違う部分についてコメントすることにしますね。
◇タチバナ、富士そば「カレーかつ丼」を語る
タチバナの熱い語りをもう1つ紹介します。
第1話は、立ち食いそばがテーマなのですが、「そば」ではなくって、なんと「カレーかつ丼」という珍妙なメニュー。
しかもそれは、タチバナが城西署に飛ばされた原因となったメニューなのです。
やられたね・・・。ここまで堂々としてるとは・・。
例えるなら・・・茶褐色の大海原に浮上した・・・幻のカツ大陸・・・。
甘口のそば屋専用カレーと作り置き路線に進化したソフトカツ・・・。
個々に見れば専門店とは正反対のベクトルにも関わらずかかわらず、見事に調和していやがった。
・・・いや調和というのも少し違う・・・。
互いに邪魔せずに”共存”している。そう言った方が正しいな。
この場面を見てカレーかつ丼を食べたくなった!
かどうかは、どっちでもいいですけど。(笑)
新たなメニューの出現を前にして、突撃せずにはいられない、フードファイター・タチバナ。
その戦いと戦果の熱い表現、といったところでしょうか。
第1話では、さらにタチバナが本来の立ち食いそばとは何か?を論じるんです。
そこのところは明日に回します。