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めしばな刑事タチバナ:第1話(2) [ めしばな刑事タチバナ]

テレビ東京の「めしばな刑事タチバナ」の第1話「立ち食いそば大論争」について。

今回もまずは、タチバナの熱い語りを見てみましょう。
そしてさらにタチバナは、本来の立ち食いそばとは何か?を主張します。

◆タチバナの熱い語り

◇タチバナ、吉そばの「えび天そば」を語る

タチバナが立ち食いそばで韮沢課長とバトルになり、それぞれイチオシの立ち食いそばを推します。
韮沢課長のイチオシは打ちたて茹でたて・シコシコ麺の越後そば「ちくわ天そば」
それに対してタチバナのイチオシは吉そばの「えび天」なのです。

タチバナが吉そばを推す理由が実に面白い。

答えは”とくに変わったことをしていない”ということなんです。
いうなれば、地に足の着いた昔ながらのスタイル。
愛情を込めて、あえてこう云わしてもらいましょう・・・フワッフワ感
あのフワッフワ感こそが、立ち食いそばの醍醐味なんだよ!

シコシコ感ではなく、立ち食いそばはフワッフワ感だって!
そうそう、立ち食いそばって確かにそんな感じだ、って思いませんか。

◇タチバナ、吉そばの「えび天そば」をさらに語る

タチバナがさらに、そのフワッフワ感のあるそばの感動を語る。

酒を飲んで終電まぎわに駅にたどりついたとき、飛び込んでくる吉そばのあかり。
そして、頼んで数十秒で出てくるよろこび。
お、えび天もいいなかと思いついても、180円の追加料金で、待ち時間はゼロ。

そばがスッと胃に落ちていく。
もちろん終電にも間に合う。
神に感謝だね。
フワッフワがなせるこの感じこそが古き良き立ち食いそば道



タチバナの主張

シコシコ麺を推す韮沢課長に対して、フワッフワ麺を推すタチバナ
原作ではここで、立ち食いそばのコンセプトにかかわる本質的な問題をタチバナは論じます。

そもそも立ち食いそばは「そば屋」なのか?

ドラマでは「フワッフワがなせるこの感じこそが古き良き立ち食いそば道」と語ります。
しかし原作にはこの台詞はなくて、代わりにタチバナがそば屋の歴史的系譜を紹介してくれます。

江戸時代の中期から江戸でそばが流行しだしたけど、利用方法にあわせて次第に「そば屋」二分化されていった。
1つは現在の「そば屋」に通じる、店舗で打ちたて茹でたての「もり」「ざる」のそばを食べるスタイル。
もう1つは、仕込んで置いたそばに汁をかける「かけ」のスタイル。
そして後者が立ち食いそばに繋がっていった。

だから本来の立ち食いそばは、 フワッフワなのだ
それが古き良き立ち食いそば道なのだ、と。
だから、シコシコしたそばを出す「本格風立ち食いそば」は本来の「立ち食いそば」ではない!と主張するのです。

なかなか確固たる根拠を持った立ち食いそば論です。

じゃぁ、打ちたて茹でたてのシコシコ立ち食いそばは、どうしたらいいんだ?
タチバナはそんな本格風を否定するわけではなく、ジャンルが違う、として論を進めます。
原作では、それを昔ながらの「立ち食いそば」といわゆる「そば屋」の間に生まれた新しいジャンル、「新本格立ちそば」と命名します。1980年代に登場する「新本格ミステリ」にあやかった命名です。

◇原作とドラマの違い

原作ではいま書いたように、シコシコ麺の立ち食いそばを「新本格立ちそば」という新ジャンルだと言います。
でもドラマではそこまでは言っていないんです。
「本格風立ち食いそば」とだけ云っています。
ドラマはここんところは、サラっと流しているんですね。

それよりももっと決定的な違いがあります。
ドラマでは本来の立ちそばの食感を「フワッフワ感」と云っています。

しかし、原作では違うんです。

ボソボソ感

と、よりハッキリと言っています。
シコシコじゃない、あのボソボソ感こそが「本来の立ち食いそば」なのだ、というのです。

なぜ「ボソボソ感」じゃなくって、「フワッフワ感」にしたか。
五島がいみじくも言う感想「ボソボソ・・・ダメそうじゃないですか。」に尽きるでしょう。
あまりにもイメージが悪いですもんね。(笑)

それからもう1つの違い。
ドラマでは「本来の立ち食いそば」派のタチバナに対して、韮沢課長は「本格風立ち食いそば」派の設定です。
ドラマでは「フワッフワがなせるこの感じこそが古き良き立ち食いそば道」と語ったタチバナ。
これに対して、韮沢課長は「お前の言っていることは懐古主義にしかすぎん。」と切り捨てます。

しかし原作では、そうじゃないんです。
原作では、タチバナの「立ち食いそばと言えば、このボソボソ感こそがうまさなんだ。」という語りに、韮沢課長はこう応えます。
「口の中でモハっと頼りなくほどけていくあの感じ!私にとってはあれが立ち食いそばそのものだ。」と力を込めるのです。
韮沢課長は古き良き立ち食いそばが好きなんです。

実はドラマでも原作でも、タチバナが梅もとの薬膳天そばを語った後で、 韮沢課長が「梅もとでセットを頼まないヤツはモグリだ。」と言います。韮沢課長は梅もとボソボソそばが好きなんです
だから「お前の言っていることは懐古主義にしかすぎん。」は言い過ぎなんじゃないかな、って思います。

 

◆立花流レシピ

ドラマでは毎回、紹介される商品をタチバナ流に調理して食べる「立花流レシピ」が披露されます。

ただし第1話には「立花流レシピ」がありません。
というのも立ちそばだから、料理に手を加えないで食べるからです。
しかし独特の食べ方が出てきますので、あえてここでは「レシピ」として紹介します。

◇本格風立ちそばの楽しみ方

「シコシコそば」の評価を聞かれたタチバナが、シコシコそばの面白い楽しみ方を熱く語ってくれるのです。

正直、あの本格シコシコそばに、これは立ち食いそばなのかと動揺していた時期もありましたが。
しかし最近、いい楽しみ方を発見しました。

それはテイクアウト

すべての店舗でできるかどうかはさだかではありませんが、実際俺は、ときどきゆで太郎を持ち帰ります。
仕事上がり、”銭湯でひとっ風呂浴びてからの蕎麦屋で一杯”を家でやるんです。
もりそばが大盛で360円っていうのは、魅力でしょう。

こういうとき俺は酒を攻めます。
そばの味を極限まで味わい尽くすなら、ポン酒の純米大吟醸。

店で飲むようなみみっちい飲み方はしません。
ワンカップの空きコップに雑にガット行って、バシッと行きます。
で、大盛りそばを乱暴にガシッ。

ちなみに本格的な七味や柚子七味を揃えておくとさらにグレードが上がります。
老舗の蕎麦屋が屋号入りで販売しているヤツでもいいですし、やげん堀や八幡屋礒五郎といった有名ブランド物で迎え打つのもありですね。

うーん、こういう使い方もあったのかぁ!
かなり感心してしまう立ちそば店の使い方です。
ちなみに日本酒の銘柄は、ドラマではよくわかりませんが、原作では「酔鯨」です。

もう1つ大事なことがあります。
茹でたそばですから、持ち帰りは時間との戦いです。

家までの道は走るくらいじゃないといけません。
しかも運動した後だから、てっとり早くしっかり酔える。


あはははは!
タチバナさん、必至で走ってる!
五島くんがツッコミをいれるように、運動部系のノリですね。(笑)

画像で見るように、タチバナはジャージを着て、銭湯の道具もりそばを持って走っている。
ってことは家に帰ってから、銭湯に行って、その帰りにソバを買ってるんですね。
銭湯帰りに、ゆで太郎で大もりそばを買って家に帰る。
それができるところって、どこだろう・・・。

ちなみに原作では”銭湯でひとっ風呂浴びてから”の部分がありません。
銭湯の話しは、ドラマのオリジナル。
原作では「仕事上がりに蕎麦屋で一杯」なんです。

原作だと:仕事上がりに「蕎麦屋で一杯」を家でやる。風呂はその後で入る。
ドラマだと:仕事が上がって、銭湯の風呂に入ってから「蕎麦屋で一杯」を家でやる。

要するに、一杯やってから風呂に入るか、風呂に入ってから一杯やるか、の違いですね。
風呂先派か、飲み先派かってことです。
家に帰った亭主に「ご飯にしますか?お風呂にしますか?」って奥さんが聞くのと同じこと。

で、原作は飲み先派、ドラマは風呂先派ってことです。

さて、あなたはどっち派でしょうか?

 

☆小諸そば消失の謎

前回書きましたが、原作にある「小諸そば」がドラマでは出てこないんです。
「本格風立ち食いそば」として、原作で韮沢課長が推したのは、小諸そばの「小諸そば」でした。
ところがドラマでは、その小諸そば(店名の方)のことが一切出てこないのです。
これはなぜなのか?

ちょっと推測してみました。

小諸そばが取材拒否
・・・なぜ拒否かはわからんけど、もしもそうだとしたら、理由としては簡単だね。

脚本家が小諸そばを嫌い
・・・さすがにそんな理由じゃないよな。

小諸そばの「小諸そば」は山かけだから
・・・本格風立ち食いそばは、打ち立て、茹でたて、そして揚げたてがウリだから、天ぷらが必須だ、ってのは理由としてありえる。でもそれならば、小諸そばの「かき揚げ天」にすればいいのになぁ。

小諸そばは「本格風立ち食いそば」じゃない
・・・鋭いツッコミ。(笑)
ここ、もう少し掘り下げましょう。

茹でたてを売りにする各店が、立ち食いそばとして開店した時期を比べてみましょう。
ゆで太郎1994年、笠置そば1994年、越後そば2003年、いわもとQ2003年、嵯峨谷2005年なんですけど、小諸そばは1974年とかなり古い。
新興勢力の「本格風立ち食いそば」ではなく、それとは別格だってこと。
同じくドラマに出なかった新宿想い出横丁の「かめや」も1970年代らしく、これも古い。
旧勢力の一部ってこと。

もう1点、「茹でたて」について。
客が注文してから茹でるのが、本来の茹でたてでしょう。
しかし小諸そばは、客の入りを見ながら、茹で置き時間が短くなるように茹で置いているんです。
だから「本格風立ち食いそば」とはちょっと違う?

とまぁ、いろいろ考えてみましたが、本当のところはよくわからん、です。(笑)


 
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なゆ

あー、空腹で読んでいるとお腹がなっちゃいそうです(~_~)

by なゆ (2013-05-23 17:32) 

とんちゃん

> なゆさん
真夜中にこのドラマを観ると、我慢ができなくなりますよ。(笑)
by とんちゃん (2013-05-28 05:53) 

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