サキペがサケに?-サケの語源(5)

サケの語源は、アイヌ語の「サクイベ」とか「シャケンベ」だという説を詳しく紹介しました。広辞苑、その編者の新井出、そして金田一京助という権威がその説を提唱しているわけ。多くのネット情報でも、そういう説明が多くあります。
でもそれらは間違いで、正確にはサケの語源のアイヌ語 sakipe は「サキペ」と呼びます。
ところが「サキペ」は、sak が「夏」のこと、 ipe が「魚」のことで、「夏の魚」という意味で、これは実は、サケ(鮭)のことではなくて、マス(鱒)のことなのです。

ネットの情報には、日本語(北海道)ではサケを「秋味(アキアジ)」というのにアイヌ語ではサケを「夏の魚」というのは変だ、などという意見もあります。
でもそう思うのは、アイヌはサケを「サキペ」と呼んだと誤解しているからです。

重ねて言います。アイヌ語のサキペは、サケのことではなくて、マスのことなのです。しかしどうしてそんな取り違えが起きたのか?

金田一京助は、アイヌが混用しているという説明をしています。それは本当なのかどうか、もう少しアイヌ語を見てみましょう。では、アイヌ語でサケはなんというのでしょうか?