福島の記事を書いているときに、汚染土の中間貯蔵施設の建設受け入れのニュースがありました。
福島第一原発が立地する大熊町、双葉町に建設するというもの。
それへの感想は最後に書きます。


福島県 は、県東部の太平洋側の浜通、中央部の中通、西部の会津に分けられます。
東日本大震災で、浜通り地区は津波による甚大な被害を受け、中通りと浜通りは原発事故の影響を受けました。
その浜通北部にある飯舘村に行きました。

飯舘村は、汚染度に応じて「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」が設定されています。

帰還困難区域は、「5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある、現時点で年間積算線量が50ミリシーベルト超の地域」であり、引き続き避難が継続される。この区域では、住民の一時立入りの際にはスクリーニングを確実に実施し、個人線量管理や防護装備の着用を徹底する。
居住制限区域は、「年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、住民の被ばく線量を低減する観点から引き続き避難の継続を求める地域」であり、帰還に数年以上を要するとみられる区域で、住民の一時帰宅(宿泊禁止)、通過交通、インフラ復旧など公共目的の立入りは認められている。
避難指示解除準備区域は、「年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認された地域」で早期帰還を目指す地域であり、主要道路における通過交通、住民の一時帰宅(宿泊禁止)は柔軟に認められている。また、一時的な立入りの際には、スクリーニングや線量管理などの防護措置は原則不要となっている。

 

飯舘村役場前。
ここは居住制限区域で、年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがある区域です。
なので、役場の機能は福島市に移転しています。

役場の前にモニタリングポストがあります。

0.72マイクロシーベルト/時です。
ってことは、年間6.3ミリシーベルト。おや、意外に低いです。(◎_◎;)

このモニタリングポストが示す値の低さは、すでに問題になっています。

モニタリングポストでの計測結果はネットで確認できます。
 福島県放射能測定マップ(福島県):http://fukushima-radioactivity.jp/
 全国及び福島県の空間線量測定結果(原子力規制委員会):http://radioactivity.nsr.go.jp/map/ja/area2.html

上記のサイトで、現在の空間線量を確認してみると。
 飯舘村役場:0.489μSv/h(年間4.28mSv)
しかしすぐ近くのモニタリングポストは
 いいたてスポーツ公園:1.384μSv/h(年間12.12mSv)
 飯舘村立飯舘中学校:1.536μSv/h(年間13.46mSv)

飯舘村役場前の値は、3分の1程度しかない。
こんなわけで役場前のモニタリングポストの値はかなり低い
これはどう見ても変です。

こんな話を聞きました。
このモニタリングポストの設置時に周囲が丁寧に除染された。
地面の石畳は、目に詰まった土を自衛隊の隊員が歯ブラシで掃除した。

そんな除染をしたからここだけ空間線量が低いんでしょう。
もちろんその周囲の線量は高いから、下がりきるわけではありません。
いったいこのモニタリングポストは何を測っているんでしょうか。
そういうわけで、このモニタリングポストの測定結果は全く役立っていません。

トイレタイムに立ち寄ったJAの直売所。もちろん今は使われていません。

村内を見て回りました。

住宅の周囲の除染が行われています。

剥ぎ取った土や雑草は黒いフレコンバッグに詰められる。

飯舘村の農地のほとんどは「作付再開準備」の区域に指定されています。
それでいま農地の除染作業も行われています。

剥ぎ取った土は黒いフレコンバッグに入れられる。

おや、酪農地帯でよく見かける光景に似ています。
刈り取った草がロールになっている。牛のエサにする・・・わけじゃない!
除染のために除草した草を、こうして丸めて、やはりフレコンバッグに入れるのです。

これは刈った草をビニール袋に入れてあるのだと思います。

草刈作業をしている人がいます。

きっとこの農地の農家でしょう。たった一人で黙々と作業をしているようです。
自宅に居住できず、現在は米の生産もできませんけれども、こうして除草して農地として利用再開する準備をしているんですね。
ほんとにお疲れさまです。

大量のフレコンバッグ!
田んぼの隅に仮置きされています。

山のように積み上げられているフレコンバッグ。  
ここが仮置き場。ここにフレコンが集められます。

土は3段、草などは5段に重ね、その上に遮蔽用に1段重ねるそうです。

これは仮置き場の準備。

これまた広い仮置き場が整地されています。
ここにフレコンの山が築かれるんでしょう。(〃´o`)=3

飯舘村の農地のほとんどは「作付再開準備」の区域に指定されていますから、作付再開に向けた実証栽培が実施されています。
水田から米への放射性物質の移染率はかなり低いのですが、安全な米作りの実証が行われているようです。

これがその水田だそうです。

実際に作付けして、セシウムが米から出れば、全袋検査でチェックできるので、米の安全性は確保されます。
市販されている福島県産米は安全です。

しかし空間線量が下がらなければ居住中、作業中の農家の被曝問題が生じる可能性があります。
除染がどの程度成功するのか。やはり大きな課題です。

 

福島の記事を書いているときに、汚染土の中間貯蔵施設の建設受け入れのニュースがありました。
福島第一原発が立地する大熊町、双葉町に建設するというもの。

今日の記事で紹介するように、県内では各地で仮置き場に汚染土が山積みになっています。
その量は全体で2千万立方メートル、東京ドーム13~18個分という。
それをどうやって中間貯蔵施設に運ぶのか、大きな課題です。
3年で全ての汚染土を10トントラックで運搬するとすると、1日2千台のトラックが必要になる。
運搬ルートやフレコンバッグの耐用年数も問題になっています。

福島県知事はそれを最終処分地にしないように要求し、国は県外最終処分の案を示しています。
しかしそんなことが本当に可能なのでしょうか。別の場所が本当に見つかるのでしょうか?
中間貯蔵施設が建設される場所の住民は、用地が買収されれば「帰還困難」ではなく、帰還不能になります。
買収ではなく借地する場合でも今後30年以上帰還できなくなります。
いずれにせよ「帰還」は実際上不可能になるわけです。
そうなることを見越して、とりあえず「中間」ということにしているんでしょうか。