西鉄福岡駅近くで昼飯処を探した。新天町北通りを歩いていたら、うどん屋を発見。

 

博多ごろうどん。
とりあえずここにしよう、ってことで入ったのだけど、これがなかなかよかった。
博多に住んでいたことがあるKさんに教わって、ゴボウ天うどんを注文。

出てきたのは関西風のうどん。その上にゴボウの天ぷらが乗っている。
この「ごぼ天うどん」は、博多の名物だそうです。
これは珍しいなぁと思っていると、「ごぼうが太い」と言って、Kさんが驚いている。
へー、そうなの、と初体験の私は感心するしかない。

このゴボウ天は、斜めにスライスしたゴボウが1つ1つ分かれて天ぷらになっている。
店によっては、短冊状に切ったゴボウだったり、笹がきに切ったゴボウをかき揚げにしていたりするようです。

うどんを食べると、これがまた驚き。
うどんが柔らかいのです。

「博多のうどんは柔らかいんだよ。」とこれまたKさんのコメント。
こんな柔らいうどんは好き嫌いがあるでしょうが、この柔らかさに慣れた人は、これが懐かしくなるそうです。
実は、博多うどんが食べたくて、Kさんはうどん屋に入ったようです。
タモリ曰く「博多のうどんに、コシはいらない。」とのこと。
この柔らかさには謎があるように思います。(後述)

ここのお店のうどんの汁は、化学調味料を使っていないとのこと。
それもあってか、汁は美味しいです。

後でわかったことですが、ここのいち押しメニューは「助六うどん」みたいです。
ごぼうのフリットが付いてきて、それをうどんに乗せて食べるそうです。

この店の2階は、「もつ鍋居酒屋」になっていて、日中はうどん屋、夜は居酒屋が開店しているようです。
居酒屋は、しょうゆ味、みそ味、しゃぶ味の3種類の鍋がセレクトできるとのこと。
うどん屋も含めて、経営主は、アメフト日大フェニックスの主将だった楢崎五郎という人。
地元に帰って店を始めたそうです。紹介記事はここ
以前は「助六うどん」という店名だったそうで、それが経営主の名をもじった店名に変わったみたいです。

博多うどんが柔らかいのは、うどんを十数分から二十分もの長い時間茹で、さらにその後、数時間お湯の中に置かれることも多いためらしい。
なぜそうなっかた、について色々な説があるみたいです。
 初期のうどんはそもそも粉をこねただけの柔らかな麺だった
 温かい汁を絡めるために柔らかく調理した
 商人町らしくせっかちな人間が多いため、茹で置きが広まり、結果的に緩いうどんになった
など(日本コナモン協会:コナモザイク(コナモン図鑑)「博多うどん」wikipedia「うどん」

しかし見落とされている点があるように思います。
原料である小麦との関係です。

うどんは、もともとは当然ですけど国産の小麦粉でつくられていました。
現在では日本めん用に開発されたオーストラリア産のASW(オーストラリア・スタンダード・ホワイト)小麦が主原料です。
国産に比べて、名前のように白い、タンパク質含有量が高く、したがってうどんに打つとグルテンが多くコシの強く、そしてツルツルしたのど越しの麺になります。
これに対して国産小麦粉は、灰色がかった色でタンパク質含有量が低い。

ASWはタンパク量が多いから水分量の調整が容易で(タンパク質が多いと吸水性が高く、水が多くてもダレにくい)、打ちやすい。しかも安かったために、メーカーはASWを歓迎した。
さぬきうどんのように、腰が強くてツルツルしたのど越しのうどんは、ASWで作られます。
国産小麦は一般のうどんの原料として、ASWに混合して使われるようになりました。

逆に言うと、国産小麦だけでつくった昔のうどんは、現在普通に食べられているうどんより柔らかかったはずです。
言いたいことが想像できますよね。
ASWを使っていながら、昔のように柔らかいうどんを食べようとすると、長い時間お湯に入れてやや伸びた状態にするのがよいということになります。
博多うどんは、むしろ日本古来のうどんの歯ごたえを残しているうどんだ、ということかもしれません。
初期のうどん云々の説は、「もともと柔らかかった」ことを指摘している点では当を得ているように思います。

こう書くと、国産小麦ではコシのある美味しいうどんが出来ないみたいに見られそうなので、説明しておきます。
近年、国産小麦の品種改良が進んで、香川県のさぬきの夢2000、北海道のキタホナミ、九州のチクゴイズミなどが生産され、腰の強いうどんにできる国産小麦が出てきています。
さらにはラーメンやパン用のグルテンの多い強力粉も登場しています。
輸入小麦はポストハーベスト農薬の問題もあり、こうした国産小麦を使ったうどんや麺が出回ることを歓迎します。

■食べログ: 博多ごろうどん

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