岩手県陸前高田市に泊まったときのこと。
宿泊先は広田半島の民宿。
陸前高田市は東北大震災で甚大な被害を受けたところですけど、広田半島では、半島の両側にある3キロ離れた2つの湾に津波が押し寄せ、それらが陸地で合流してぶつかり合い、巨大な水柱となって低地部分の家々を押し流してしまった。
これを明治三陸津波以来、「水合い」と呼んでいる。
このため、湾同士がつながって、半島が本土から分断された「島」になってしまい、半島の住民はしばらく孤立状態になってしまった。
泊まったところは「民宿 志田」さん。http://www2.plala.or.jp/shidamaru/
家の中に「志田丸」の大漁旗が飾ってありました。
宿のご主人自らがこの持ち船で毎朝出漁して獲った新鮮な魚介類をいただくことができる。っていうんで、期待してやってきました。
部屋はシンプルです。6畳の和室でした。
夕食は午後6時から。
広きな部屋で、宿泊全員が大きなテーブルを囲んでいっしょにいただく、というスタイルです。。
今夜の夕食です。いっぱい並んでいるぞぉ!
まずは、生ビール。
ビールを飲んでいるとご主人がやってきて、話しかけてきます。
客人とお話しするのがご主人のもてなしであり、また楽しみでもあるのだと思います。
さて、いただいた料理です。
サンマ。
温かいうちに食べちゃいましょう。
でもサンマをいただきながら、とっても気になっていたのがあるんです。
毛ガニ。
夏場の毛ガニは「水ガニ」と呼ばれて、毛ガニは身が入っていなくて美味しくないけど、とご主人は説明された。
とはいえ、毛ガニは毛ガニ。今朝獲れたという、まさに新鮮なカニ。
確かに身が詰まってはいないけど、でも身はちゃんとうまいですよ。
ビールの次は日本酒にしましょう。
だって、刺身があるんだもん。
お酒は陸前高田市の酒蔵・酔仙です。
酔仙酒造も津波で醸造施設の全てを失った。
いまは大船渡で酒造りを始め、陸前高田への復帰を目指しているそうです。
カツオとヒラメの刺身。その横には貝。
ヒラメの刺身。うんまい。
カツオも新鮮でうまい。
この貝は「ケツブ」という巻き貝。
ツブの仲間だけど、貝全面に毛が生えているので「ケツブ」よ呼ばれるらしい。
正式名称は「アヤボラ」。
そのケツブの刺身。コリコリした食感がいいです。
マツブに比べるとネットリ感が少なくて、アッサリした味。
でもとんちゃんは、かえってこっちの方が好きかも。
ケツブの酢の物。
これもどうぞ、と出されたケツブのバター炒め。
これはなかなか旨い。
実はこのケツブ、この浜の漁師からは厄介者扱いされて、獲れても海に捨てていたそうです。
震災後にこの民宿に泊まったある居酒屋チェーンの社長が、これに目を止めて、仕入れることにしたそうです。
それ以来、「四十八漁場」(よんぱちぎょじょう)のいくつかのお店に定期的に魚やケツブを送っているそうです。
確かに「四十八漁場」のぐるなびのページには、民宿志田さんのご主人・菅野さんのキリリとした写真が載っています。
ケツブは、貝が小さいことと、味が薄いのが理由で、この浜では捨てていたんでしょう。でも北海道などではしっかり食用にされています。
刺身もいいけど、調理すれば十分に食べられますよ。
ドンコのなめろうですって。
ドンコは、そのまま、あるいはつみれにして、ドンコ汁にするのが普通。
なめろうにするのは、ここのオリジナル。
どれどれ・・・あっ、これ、うまい!
こりゃまた、酒が進んじゃうよ。
もっと味噌が利いていてもいいかな。
煮魚はカレイ。
身が厚くて、きっと大きなカレイです。
野菜の煮物。切り昆布がたっぷり。
茎わかめ。
丼に入った味噌汁が出てきました。
ん?これは?
やはりどんこ汁です。
どんこって、白身だけど脂がのった感じで、かなり旨い。
ドンコのキモ。
地元の魚介がいっぱいで、大満足です。
お腹いっぱいになったんで、ご飯は食べずに、デザートのぶどうをいただいた。
部屋に戻って、昼間に買った日本酒をいただきました。
津波の被害にあった酔仙のお酒。
オール岩手純米酒「Rise Up, KESEN」
水、米、酵母菌、麹菌など原料全てを岩手産にこだわった純米酒。
米は岩手県産米、」酵母は岩手オリジナル清酒酵母の「ゆうこの想い」、岩手初オリジナル麹菌の「黎明平泉」、岩手の水、そして南部杜氏。
優しい味の純米酒です。
ごちそうさまでした。
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