さて、ドアを開けると・・・そこは沖縄です!
八重山群島のビデオが映っていて、石垣気分を満喫できる感じ。
店内は手前にテーブル席、奥の座敷に掘りごたつの席があります。
フロア係りの女性はウチナーンチュー(沖縄人)みたいで、明るくててきぱきしていて、感じがいい。
飲み放題のドリンク類。
◆オリオンビール中生
オリオン生ビール!やっぱり、そうこなくっちゃね。(*^0゚)v
飲み放題のビールはスーパードライ樽生なんですけど、最初の1杯だけはオリオンビールです。
◆前菜3種
左のお豆腐はモッチリ・ネットリした食感の「じーまみー豆腐」。
「じーまみー」とは落花生のことで、落花生の豆腐。
豆腐と言っても大豆から作るんじゃなくって、ンムクジ(さつま芋澱粉)から作ります。
胡麻豆腐が胡麻と葛(実際は片栗粉という名の馬鈴薯澱粉)から作るのと同じです。
右の卵焼きは、なにやら緑色のものが入っている・・・「アーサーの玉子焼き」です。
「アーサー」とはアオサの沖縄読み。
真ん中の料理はニンジンの炒め物。
「これ、ニンジンしりしりですか?」と美女のKさん。
ぉお!そうそう、これ、「ニンジンしりしりー」ですよ。
大根や人参をすりおろすことをシリシリー(すりすり)って言うんです。
以下、沖縄語入門講座です。
沖縄では落花生を「地豆(じまめ)」と言い、それを沖縄流に読むと「じーまみ」になるんです。
時豆を「じーまみー」と言ったり、アオサを「アーサー」と言ったり、沖縄の言葉は本土とはちょっと違っていますよね。
というのも、標準語の日本語には母音が5つありますが、沖縄語には母音が3つしかないせいなのです。
沖縄語には、「あいうえお」じゃなく、「あいう」の3つの母音しかないんです。
それで「え」は「い」に、「お」は「う」に、それぞれ言い替えてしまう。
すると・・・「じまめ」は「じまみ」に、「あおさ」は「あうさ」になっちゃう。
それが「じーまみー」とか「あーさー」になったんです。
「さつま芋澱粉」は「いも・くず」(サツマイモ・葛)が、「いむくじ」になって「うむくじ」に転じたんです。
◆刺身2点盛り
マグロとキンメの刺身。1人、1切れです。
◆島豆腐と海ぶどうのサラダ
海ブドウは沖縄独特の海草として有名でしょう。
プチプチとした食感が珍しく、「グリーンキャビア」なんて言われるそうです。
「クビレズタ」というのが和名ですって。
でもとんちゃんは、島豆腐にぜひとも注目してほしい。
沖縄の島豆腐は、いつも私たちが食べている柔らかい豆腐と違って、とっても硬い。そして旨い。
島豆腐は水分量が少なく硬いから、本土の豆腐より栄養価が高い。たんぱく質は本土の木綿豆腐の1.3倍、リン、鉄やビタミンB1、B2が多い。優れものです。
島豆腐は本土の豆腐と製法が全く違う、ってことを知ってほしいな。これは長くなるので、最後に書きます。
◆ざるもずく
モズクがドン!と置かれた。
沖縄ではモズクのことを「スヌイ」と言います。八重山では「スヌル」らしい。
そしてざるそば流のつけ汁。
モズクをそうめんのようにしていただきます。
・・・・あっ!これ、意外に旨い!
モズクっていうと、ほとんどモズク酢でいただくことが多いけど、沖縄ではこれを天ぷらにするんですよね。それが出てくるかと思ったら、意外な展開でした。
食用モズクの99%は沖縄産です。そしてこのモズクは石垣島からの直送だそうです。
モズクはヌメリ成分のフコイダインが身体にいいですもんね。
さて、料理の話はひと段落して、お酒のほうへ。
沖縄料理ですからやっぱり泡盛ですよね。σ(゚ー^*)
飲み放題の泡盛とダブりますけど、石垣島の泡盛リスト。
宮古島や与那国の泡盛。
◆宮の鶴
【昔ながらの製法にこだわった濃厚な味わいと確かなキレのある独特の風味が特徴】と説明があります。
◆玉の露
【八重山で一番の歴史を持つ蔵元。泡盛本来の甘さが特徴。】
泡盛って、これに限らず不思議な甘さがあるんですよね。そこが好きなんです。
◆於茂登(おもと)
【沖縄県最高峰の「於茂登岳」連山の天然水で造られた、芳醇な香りとまろやかな味わいの泡盛。】
写真は変り映えしないので載せませんけど、この後、よく目にする八重泉(2杯)、瑞泉、久米仙や請福(せいふく)、白百合をいただきました。
請福は【創業60年来石垣島で愛されてきた定番泡盛】上品な感じで、これ旨かった。
白百合は【甘みのある豊かな味わいに素朴で独特の風味】と説明がありましたけど、麹の強い香りが「独特の風味」になっています。初体験のとんちゃんは面食らいました。古酒だともっとマイルドらしいです。
◆グルクンの天ぷら(チリソース)
グルクン(和名タカサゴ)は沖縄県の県魚。そんくらい沖縄らしい魚です。
唐揚にして食べるのが一般的ですけど、ここでは天ぷらになっていて、しかもチリソースがかかっている。
こういう中華風の食べ方もあるんだな。
◆ラフティ
このお店では「ぷるぷるラフティ」として出ているものでしょう。
からしをつけていただきます。
油が抜けた脂身のところがプルプルで好きです。
ところでこの料理、「ラフティ」じゃなくって、「ラフテー」というのが本来の料理名だと思っています。
さっきの沖縄語入門講座に従うと「え」は「い」になるから「らふてぃー」になるはずと思うのは早計で、どうもそうじゃないらしいんです。
細かくは「ラフテーの不思議(2)」をご覧下さい。http://onhome.blog.so-net.ne.jp/2005-03-01
◆ゴーヤチャンプル
ゴーヤは苦さが刺激的で好きです。
チャンプルは「チャンプルー」と伸ばして言うのが普通です。
そして島豆腐が入っていないとチャンプルーとは言いません!
ご覧下さい、これにはしっかりと、島豆腐が入っています。
そして本来のチャンプルーには、豚肉が使われます。
しかしこのチャンプルーには、ランチョンミートが入っています。
「スパム」に代表されるランチョンミートは沖縄では「ポーク」と呼ばれて、沖縄ではよく食べられている食材。
ハムエッグならぬ「ポーク卵」や「ポークおにぎり」も沖縄では普通の料理で、チャンプルーもポークでつくられる。
しかしこのポーク、米軍が持ち込んだ食材で、はっきり言ってジャンキーです。
平均余命(寿命)が男女ともにダントツ一位だった沖縄県が、今では男は全国30位にまで凋落しています。
その元凶の1つはジャンクフード、はっきり言ってポークだと思います。
ちなみに島豆腐なしの炒めものは「タシヤー」と言うんです。
「そーみん(そうめん)チャンプルー」ってのがあって、好きなんですけど、あれは実は豆腐が入っていないので、「そーみんタシヤー」と言うのが正しいんです。
お店の人から、料理はあとご飯物とデザートになりますけど、まだ足りないようでしたら追加してください、とアドバイス。
じゃぁ、石垣島らしい料理をオーダーしましょうか?
石垣島と言うと「石垣牛」が有名です。
ハンバーグは高いかな?っていうか、重たいな。
◆石垣牛すじネギ焼き
ということで、これです。980円。
味がしみ込んだ牛すじにニンニクの風味とネギで、なかなかグッドです。
◆島魚のマース煮(塩煮)
沖縄の魚料理というと、グルクンの唐揚が代表でしょうけど、塩煮もうまいです。
沖縄では塩のことを「マース」と言います、だから塩煮がマース煮。
その日にある魚をマース煮にしてくれます。この夜はグルクンです。
白身の淡白な魚で、とんちゃんは唐揚よりもこのマース煮の方が好きです。
◆島ラッキョ
沖縄料理で酒のつまみとして、これははずせないと思います。
本土のものより香りグッと強い。
◆石釜のタコライス
ご飯物はジューシー(炊き込みご飯)かと思ったら、なんとタコライス。
まぁ、これも米軍占領以後の新しい沖縄の料理ですもんね。
面白いのは、タコライスが石焼ビビンバ流に石釜に入っていること。
ビビンバ流にマゼマゼしていただきあmす。チーズが溶けて、焦げにもなって、確かに旨い。
完全な創作料理です。
◆ソーキそば〆の「スープ」ということで、ソーキそばが出てきました。
ただし普通のソーキそばじゃないんです。
これはソーキ。
豚のアバラ肉を煮たものです。
ソーキも旨いけど、なんと言ってもスープがうまい。
沖縄のスープは昆布出汁がベースですが、ソーキそばの場合はソーキを煮たスープが加わるので、濃厚なスープになっています。
しかもこれは、石垣島産の魚ダシを加えてあるので、沖縄本島のソーキそばと違います。
この麺は、「沖縄そば」ではなく「石垣そば」です。
本島の沖縄そばは角打ち麺ですけど、石垣島のものは細めの丸い麺です。
◆ブルーシールアイス
お店の人が黙ってアイスを出したので、「これブルーシールですよね?」って確認しました。
青いアイスだからブルーシールって言うんじゃないですよ。
沖縄のアイスメーカーなんです。
今夜は刺し盛り以外はしっかり沖縄料理をいただきました。
泡盛の飲み放題ってのが嬉しかったです。
ごちそうさまでした。
最後に島豆腐の製造方法について
わたしたちが食べている豆腐の製法は「煮しぼり法」といって、すり潰した大豆(生呉)を煮てから熱いうちに漉して、おからと豆乳にわけ、豆乳にニガリ(凝固剤)を加え、型に入れて固めて出来上がります。
しかし沖縄の島豆腐の製法は「生しぼり法」といって、すり潰した大豆(生呉)を煮る前に漉しておからと豆乳に分け、その豆乳を煮てニガリ(伝統的方法では海水)を加えます。
中国あるいは朝鮮から日本に伝わった製法は生絞り法で、江戸時代までこの製法が使われていました。
それがなぜ煮絞り法に替わったのか?
まず、生の呉は硬いので搾るのに時間と手間がかかる。この効率の悪さから煮絞り法に替わったようです。
しかし、たんぱく質は熱すると固まりますから、生搾り法の方が豆乳に含まれるたんぱく質の種類や量が多くなります。
しかも煮絞り法では大豆の皮からの渋みが豆腐に移る。だから出来上がった豆腐を水に浸して渋みを抜きます。でも生絞り法の島豆腐は、その渋みがないから水に浸さず、熱いまま店頭に並べられます。
本土の豆腐は水に浸す。これは渋みだけでなく豆腐のうまみも流出させることになるから、それをしない生絞り法の島豆腐の方が旨くなる。
旨さということでは、凝固剤のこともあります。
島豆腐では本来は海水を使っています。海水を使うとその塩分(塩化ナトリウム等)が豆腐に残って、豆腐に塩気がつきます。現在では天然ニガリや精製されたニガリを使う方が普通です。
しかし本土のスーパーに並ぶ豆腐の多くは、ニガリ(塩化マグネシウム)ではなく、硫酸カルシウムやグルコノデルタラクトンが凝固剤として使われています。これらは同じ豆乳量からより多くの豆腐が出来上がるために使われているのですが、大豆の風味が損なわれます。
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