「近江兄弟社」は、905年に滋賀県八幡商業学校に英語教師として赴任してきた建築家W・M・ヴォーリズが創業した会社なんですって。
ヴォーリズはYMCAの活動家で、日本にはキリスト教の伝道の目的で来ていたんです。
その会社が、1944年の社名変更で「近江兄弟社」になったんです。
イエス・キリストを長兄としてキリストを信じる者は兄弟姉妹となる、という思想から「兄弟社」と命名されたようです。
ちなみにwikipediaでは「人類皆兄弟」からだ、と説明しています。
宗教を越えて「人類皆兄弟」なんていう安易な思想は、キリスト教にはありません。
「人類皆兄弟」はキリスト教じゃなくって、笹川良一のものですよ。
資料館の中には、ヴォーリズのことが色々と展示されている。
そして「メンターム」。
【「メンターム」の誕生】が掲示されている。
補足しながら説明しましょう。
近江兄弟社は、アメリカのメンソレータム社の「メンソレータム」を日本で販売したんです。
そしてその後、国内製造までするようになったんです。
そのおかげで、日本中で「メンソレータム」が有名になりました。
略して「メンタム」って呼ばれていました。
しかし1974年に同社は事実上倒産して、「メンソレータム」の販売権も返上してしまった。
そして翌1975年に、メンソレータムの製造設備を活用して塗り薬を製造・販売する。
ところがその商品名はもはや「メンソレータム」ではなく、「近江兄弟社メンターム」となったんです。
実は倒産した翌1975年に、「メンソレータム」の販売権をなんとロート製薬が取得していたのです。(同社は1988年にメンソレータム社本体を買収してしまう。)
だから近江兄弟社は、「メンソレータム」を使うわけにはいかず、その略称として商標登録していた「メンターム」を使うことになったわけです。
だから現在、「メンソレータム」を販売しているのはロート製薬で、かつてメンソレータムを製造販売していた近江兄弟社はそれによく似た「メンターム」を販売しているのです。
こうして「メンソレータム」と「メンターム」とのややこしい関係が出来上がってしまったんです。
両者の成分はどう違うのか?それはわかりません。
資料館の大きなケースの中に、すごい数の薬が並べられている。
「メンソレータム」時代に日本で販売されていた類似品ですって。
いやはや、すごい数です。
大手のメーカーのものもあります。
いろいろと驚くことがいっぱいで、興味深い資料館でした。