#59185; Photocuisine(在日フランス大使館HPより)
「パン」はフランスパンではなく、パン・ド・ミ(pain de mie)というパン、日本でいう食パンでつくります。
それをカリカリのトーストにする。
「ベシャメルソース」はホワイトソースを牛乳で溶き延ばしたもので、それにチーズを加えると「モルネーソース」になるそうです。
そのベシャメルソースをぬっても、表面はカリカリしている料理のはずです。
だからベシャメルソースは表面ではなく、元々はハムやチーズを挟む内側に塗ったのかもしれません。
いや、元々のクロックムッシュにはソースはかかっていなかったのかもしれません。
クロックムッシュとベシャメルソースのことは、疑問があるのですが、ひとまず置いて、先へ進みましょう。
◆クロックムッシュ、半熟目玉焼きを載せるとクロックマダム
(croque-madame,roque-monsieurより)
クロックムッシュの上に目玉焼きを盛り付けたものがクロックマダム。
しかも固焼きの目玉焼きではなく、目玉がトロトロの半熟目玉焼きを載せます。
しかしなぜ目玉焼きを載せるとムッシュがマダムになるのか?
wikipediaは、食べるときに音がして上品ではないので男性専用とされた、という説を紹介しています。
しかし皮の硬いフランスパンを食べるとパリパリ音がしますよね。
フランスパンの音は上品だけど、トーストの音は上品ではない・・・なんてことはありえない。
目玉焼きを載せたところが女性が帽子をかぶっているところに似ているからという説もネットにあります。
でもこういうのは、いかにも後付け、という説明です。
この説では、マダムの意味は説明できても、ムッシュの意味は説明できないからです。
◆クロックムッシュとクロックマダムの関係
ムッシュとマダムの違いは何か?
とんちゃんの仮説を提示します。
それはカリカリという音ではなく、食べ方の違いです。
クロックムッシュは手づかみで食べることができるけど、クロックマダムはナイフとフォークを使わないと食べにくい、という指摘があります。
「クロックムッシュは手づかみで食べられそうですが、目玉焼きをのせるとナイフとフォークを使うしかなさそうです。」(クロック・ムッシュとクロック・マダムの違いは?)
「ムッシュは手づかみで食べますが、マダムはそんなはしたないことはできないし・・・ でもムッシュのように食べてみたい♪そこでマダムのため、そもそも手で食べられない皿に乗った料理にするために玉子を乗せたという説があります。」 (サンドウィッチ)
とんちゃんは、こう考えました。
クロックムッシュは、サンドイッチと同様に手づかみで食べていた料理だ。
カフェーでコーヒーを飲みながら、ホットサンドを手でつまんでカリカリと男らしく食べようぜ、ご紳士!
ってわけでクロック・ムッシュと呼んだ。
手づかみがフランス人にとって「男らしい」と感じるかどうかはわかりませんが。(^^)
そこに半熟目玉焼きを載せると・・・手づかみでは食べられず、ナイフとフォークを使って食べます。
男のようにカジュアルに手づかみではなく、女性はお上品にナイフとフォークを使う。
それをクロックマダムと呼んだ。
ナイフとフォークを使うことが「上品」だとか、「女らしい」とフランス人が感じるかどうかもわかりませんが。(^^)
こういう食べ方の対比が、ムッシュとマダムの違いになっているんだと思います。
◆クロックムッシュとベシャメルソース
ここで改めてベシャメルソースについて、こんな記事があります。
「クロックムッシュは焼きあがりにベシャメルソースやモルネーソースなどをかけたり、またソースをかけてからグラタンにして食べることも多いが[、クロックマダムではソースをかけることは稀である。」(croque-madame,roque-monsieur)
これは意外な指摘です。クロックマダムにはベシャメルソースをかけない。
もしもホントにそうだとしたなら・・・
クロックムッシュからクロックマダムが出来たとすると、クロックムッシュにかけるソースをクロックマダムではかけないのはなぜか?
実は、元々はクロックムッシュにもソースはかかっていなく、それに目玉焼きを載せてボリュームアップされてクロックマダムが誕生した。そいうことじゃないでしょうか。
その後、クロックムッシュももっとボリュームアップさせよう、ってんでベシャメルソースをかけた。
そんな順で両方の料理が発展したのではないでしょうか。
要するに、元祖クロックムッシュは、ベシャメルソース無しだった。
◆クロックムッシュはイギリス由来
クロックムッシュは、フランスパンではなくイギリスパンに似せた「パン・ド・ミ」を使うことからして、かなり変わった料理です。
そのパン・ド・ミというパンについて。
パン・ド・ミのミ(Mie)とはフランス語で中身のことで、皮を食べるバゲットに対して、「中身を食べるパン」という意味でこの名前がついているそうです。
イギリスパンを真似てフランスで出来たパンで、フランスパンみたいに皮が厚くないけど、でもイギリスパンや日本の食パンよりは皮が厚いらしい。
「フランス人はあまり食パンをたべません。まったくないと言うこともないのですが、パン屋では片隅に置いてあるだけで、日本のようにふっくら柔らかいものがあまりないんです。クロックムッシュは例外のようなものなのでしょう。」(クロック・ムッシュ)
なぜクロックムッシュには、そんなパン・ド・ミを使ったのか?これがそもそも不思議です。
クロックムッシュは、1910年にフランスのオペラ座近くのカフェで作られたとのこと。
そのカフェの主は、イギリスに行ってイギリスのホットサンドを食べて、それをパリで再現したのではないか。
これがとんちゃんの仮説です。
◆とんちゃんの仮説
イギリスのトーストは、日本の厚切りトーストとは真逆で、薄切りパンをカリカリに焼きます。
そのカリカリトーストでつくったイギリスのホットサンド。
それに真似て、カリカリトーストにハムとチーズをはさんで、紳士のみなさん、手づかみでカリカリたべようぜ!と売り出したカフェーがあった。それがクロックムッシュ。
その後、誰かが、クロックムッシュに半熟卵を載せてナイフとフォークで食べる料理をつくった。それをクロックマダムと呼んだ。
そういうふうに想像するのですが、いかがでしょうか?