店内に入ると、フロア係りの女性がカウンター席を案内します。
メニューのトップは「厚みかつ丼とそば」です。
丼物は、穴子天丼、海老天丼、大山とり親子丼。
マグロたたき丼、スパイシーカレーもあります。
美味しそうなものがいっぱいあるけど、まずはウリの「厚みかつ丼とそば」をオーダーです。
ここの十割そばは、手打ちではなく機械製麺、しかもトコロテン式に生地を押し出して作る押し出し製法による麺です。短時間(30秒)で麺が仕上がるので、カツ丼の出来上がりを勘案して、蕎麦を製麺しているようです。
その麺の製法については最後に簡単に紹介しましょう。
◆厚みかつ丼とそば
店名入りの箸袋から割り箸を取り出して・・・いただきます!(合掌)
蒸籠にもられた十割そば。
細切りの四角い麺で、灰色の麺の中に黒い星があります。
麺だけつまんでみました。
シコっとした硬い麺で、ツルリとしたのど越し。蕎麦の香りがあります。
蕎麦粉にはグルテンが含まれていないので、うどんのようにねばりのある腰(コシ)はありません。蕎麦のコシとはなにか、についていろいろ議論はあるようですが、普通は「硬さ」のことを言っているのでしょう。
薬味は、ワサビにネギ、そして柚子の皮。
2021年4月から、もりそばの薬味に柚子の皮を添えて提供しているそうです。
そば汁は、節の香りが強い出汁で、醤油は辛くない。
出汁は宗太鰹節、イワシ節、サバ節、ムロアジ節を使っているそうで、だから本鰹メインの柔らかい香りではなく、節の出汁感が強い汁になっています。
蕎麦の香りを引き立たせるには、出汁の香りが強すぎる感じもします。
そばを食べ終えたころに蕎麦湯が入ったポットを出してくれました。
蕎麦湯は、普通は蕎麦のゆで汁ですけど、中村麺兵衛では蕎麦粉をお湯で溶いて蕎麦湯を作るので、一定の濃度になっているそうです。
そのおかげで、薄すぎず、濃過ぎず、適度な濃さの蕎麦湯になっています。
さて、カツ丼。
これがかなり変わってる!
普通のカツ丼は、トンカツを卵でとじたものですよね。
でもこのカツ丼は、トンカツの上に卵が乗っている!
「とじかつ丼」ではなく「とじないかつ丼」だそうです。
最近、流行りはじめたそうですね、卵でとじないカツ丼が。
トンカツは確かに肉厚。そして細目のパン粉を使った薄くてサクサクの衣。
このサクサク食感を残すために、カツを卵でとじていないそうです。
卵が乗った部分は、カツ無しの「玉子丼」風です。
さて、このお店で興味深いのは薬味です。
卓上に2種類の七味唐辛子があります。
1つは通常の七味唐辛子。
そしてその隣に【MIYOKO】と書かれた七味唐辛子。
なんと、筑波山の名産品【みよこの七味】ですよ!
「みよこの七味」は、筑波山の老舗おみやげ屋「神橋亭」店主、渡辺美代子さんが手作りした七味唐辛子。筑波山の特産「ふくれみかん」の皮を使った七味唐辛子です。
この七味唐辛子は、牛久店と土浦店だけだと思います。
山椒や柚子とは違った、柔らかな柑橘系の香りがする七味唐辛子です。
シコっとした硬さとやや香る十割そばは、それなりに美味しいです。
押し出し式製麺機で作る、安い十割そばのお店はずいぶんと増え、ひとつのジャンルになってます。でも押し出し式製麺機では、太くて硬い十割そばは作れない。田舎蕎麦好きには残念です。
節の香りが強い汁、卵と分離した「とじないかつ丼」は、それぞれ美味しいけど、好みが分かれるかな。
ごちそうさまでした。
最後に、中村麺兵衛の十割蕎麦についてすこし。
厨房に十割蕎麦の押し出し式製麺機が設置されています。
筒の先から、生地をトコロテン方式に麺状に押し出し、適当な長さでさっと切り、直下の茹で釜で30秒茹でると、出来上がりです。
この製麺機は、タニコー(株)が製造し、システム・ワン社が販売する「十割そば製麺機しこしこ」。「嵯峨谷」なども同じ製麺機を使用しています。この製麺機を導入すれば、システム・ワン社が製麺のトレーニングをしてくれて、2週間ほどで十割蕎麦が作れるようになるらしい。
中村麺兵衛は、特注の蕎麦粉「麺兵衛NO.1」を使って蕎麦を作っています。ニップングループのそば粉メーカー松屋製粉(栃木県)が製造するそば粉です。
牛久店の開店にも花輪が贈られています。
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