本郷6丁目にあるレトロなカフェでランチをいただきました。
交差点の角に、シャッターが閉まった建物。
果物店「万定」があったところ。
神田の果物店「万惣」で働いていた初代が、東大病院の見舞客のために1915年(大正3年)にここに開いたお店です。
そのお隣が目指すところ。
「万定フルーツパーラー」さん。
果物店「万定」が、その隣に開いた手絞りジュースを提供する喫茶店。
1934年(昭和9年)開店だそうです。
1923年に関東大震災があってから約10年後。
1929年世界恐慌、1931年満州事変、1932年五・一五事件、1936年二・二六事件。
そんな時代に誕生したカフェが今も生存している。
レトロな建物。
木造2階建て、1階が店舗、2階が住宅という、店舗兼住宅。
2階正面の壁(ファザード)に鏝絵みたいなデザインが描かれている洋風の建物。
関東大震災後に建てられた看板建築です。
【カレーとハヤシ 天然ジュース】の行燈。
果物店が立てた天然ジュースを出すカフェ。
そのカレーライスやハヤシライスが学生の評判になった。
ガラスドアの脇にサンプルケースがあります。
曇ってよく見えませんが・・・
【味で定評 カレーライス ハヤシライス】のステッカーが張られたガラス戸を押して、店内へ。
店内は、もう、戦前レトロそのもの。
半円形のカウンターがモダンです。
そして2人掛けのテーブル席。
お年を召した上品なマダムがいらっしゃいます。
入って右側には4人掛けのテーブル席もあります。
そして極め付きのレトロはこれ。
1934年開店当時から使っているレジスター。
お金の単位が「Yen(円)」の右に「Sen(銭)」がある。
これが今でも現役なのです。
さて、メニューは壁に掲げられています。
右が先頭ではなく、左がトップの並びです。
カレーライスにハヤシライス。
カレースパゲティとハヤシスパゲティもあります。
【手絞り天然ジュース】も健在です。
カレーライスをオーダーです。
お冷。そして昔ながらに、紙ナプキンに包んだスプーンが置かれます。
◆カレーライス
お皿の半分にライス、半分にカレーが盛られている。
このお店の美学ですね。
カレーの色はこげ茶色です。
カレーは粘度が低くシャブシャブした感じ。
スパイスが効いたカレーです。
意外にスパイシーなカレーとライス。
小麦粉を炒めて、野菜をペースト状に煮込んだ、本格的なカレー。
英国スタイルと言っていいんでしょうか。
大正時代からあるカレーですね。
食堂によくあるおふくろの味カレーとは全く違うカレーがここにある。
ルーに使ったスパイスや溶けた野菜の痕跡がお皿に広がる。
古典芸術的なカレーでした。
◆珈琲
せっかくなのでコーヒーもいただきました。
シュガーポットは、懐かしい形です。
昔の喫茶店は、こうだったなぁ・・・
美味しいカレーライスとコーヒーで、懐かしい気分に浸れました。
ごちそうさまでした。
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