週末にカミサンと二人で映画へ。
その前にカフェでランチを、と向かったお店は和風喫茶かと思いきや。
予想以上に素敵な茶の湯とそばのお店でした。
和風の落ち着いた建物。
立派な門が2つ並んでいる。ここが「喫茶処 あん庵」さん。
2014年4月オープンのお店です。
ちなみに「喫茶処」は「きっさこ」と読むそうです。
禅語の「喫茶去」に因んでそう読ませているらしい。
元々は中国語ですが、その解釈は・・・複雑なので省略。
開いている右手の脇門から入りました。
左手には立派な庭があります。
右手が母屋。数寄屋造りのとても落ち着いた雰囲気の建物です。
格子戸の向こうにはまさに茶室(数寄屋)があって、茶の湯体験ができるそうです。
では、お店に向かいましょう。
「喫茶処 あん庵」の行灯。
【まぼろしの渓流そば】なんてのがあって、蕎麦屋さんでもあります。
たたきに【喫茶処 あん庵】の大きな表札。
正面、框を上がったところ。
民芸風な置物や飾り物が展示されています。
奥には畳の座敷があります。
お店の方が出て来られて、こちらへどうぞ・・と案内されれる。
玄関から土間続きの部屋へ通されました。
暖簾が下がった奥の出入り口が厨房に通じているようです。
レジ前の棚にはスイーツが並んでいます。
さて、メニューを拝見。
へぎそばについて。
へぎそばは海藻をつなぎに使っていて、十日町から取り寄せている乾麺を使っている、と書いてあります。
つなぎに使う海藻とは「ふのり」です。
「へぎそば」は新潟県十日町市・津南町や小千谷市でつくられている、フノリをつなきに使った蕎麦で、「へぎ」という木箱に並べています。
「へぎそば」のルーツは十日町市の小島屋ですが、商標は小千谷と十日町・津南にあるなどは過去記事で。⇒喉越しの良いへぎそばをしっかりいただく
「へぎ」とは何かについては、山形県の「板そば」を含めて、過去記事をご覧ください。⇒ 「板そば」の由来:板そばが盛られていた木箱は何者なのか
渓流そばについて。
まぼろしの味と言われる貴重なそば。つなぎに山ごぼうの葉を使っていて、深山に自生する山ごぼうの入手が困難なため作り手がいない。
新潟県十日町市から湯沢町にかけての清津峡は平家の落人の里とも言われ、そこに伝わるのが、山ごぼうの葉をつなぎに使った「渓流そば」。入手が困難なのは、山ごぼう自体の入手というより、山ごぼうの葉から繊維を取り出す作業が非常に手間と時間がかかるために作られなくなっているということです。
山ごぼうの葉の繊維を使ったそばは、津南町大井平、長野県の飯山市富倉、山ノ内町須賀川など、いくつかの地域に残っているようです。
なお「山ごぼう」と書いてますが、正しくは「オヤマボクチ」で、詳しくは後述します。
めおと御前3300円。
渓流そばとへぎそば、天ぷら、デザートが2人分セットになったもの。
渓流そば、へぎそばと天ぷらのセット。
甘味は、白玉クリームあんみつ、白玉ぜんざい、わらびもちアイスクリーム、抹茶、コーヒー・紅茶。
あたたかいそばもあります。
2人で食べるから「めおと御前ね!」とカミサンがオーダーを決定。異論ありません。
へぎそばに使う「ふのり」と渓流そばに使う「山ごぼう」のサンプルが、窓際に展示してあります。
へぎそばのつなぎに使う海藻のフノリ(布海苔)。
渓流そばのつなぎに使う山ごぼうの葉から取り出した繊維。
こっちは山ごぼうの葉と実です。
「山ごぼう」について。
ヤマゴボウという名の植物は、根に毒がありますが、商陸という利尿作用のある漢方薬につかわれます。果実はブドウのような房になっています。
そばのつなぎに使われている「山ごぼう」は、そのヤマゴボウではなく、オヤマボクチ(雄山火口)という植物です。また根が食用とされている「山ごぼう」は、オヤマボクチに加えてヤマボクチ(山火口)やモリアザミ、オニアザミです。
オヤマボクチもヤマボクチもトゲ状のものが密集して花を保護していて、そこにクモの巣のような毛が生えています。その毛を集めて、火打石からでる火花を移す火口(ホグチ)にしたことが、「ボクチ」の名の由来です。
紙ナプキン、そして箸は黒いリユース箸です。
最初にお抹茶が出されました。
抹茶が出て来るとは知らなかったもので、ビックリです。
そうか、ここはそういうお店だったんですね。図らずもいいお店に入れました。
ズズっと抹茶をすすり・・・
羊羹を品よく(?)いただきます。
さらになんと、先付が並べられます。
キュウリとワカメの酢の物。
味卵。
カブとキュウリの漬物。
日本酒を1本いただきたいところです。
そして蕎麦。
へぎそばらしく、「へぎ」と呼ばれる木箱に盛られています。
釘を使わずに組まれた指物のへぎに盛られた2種類のそば。
白っぽいのがへぎそば、茶色が渓流そばですね。
へぎには【十日町名産 妻有そば】と書いてあります。
十日町市にある玉垣製麺所の「妻有(つまり)そば」です。妻有は十日町市、津南町を含む地名です。
では、お蕎麦をいただきます。
へぎそば。
ふのりを入れたへぎそば独特のつるつるした舌触りと粘りのある食感のおそばです。
渓流そば。
硬さがある田舎蕎麦で、蕎麦の香りがいいです。
そばを食べていると、天ぷらが運ばれてきました。
2人分の天ぷら。
えーっと、何の葉だったか忘れた。f(^^;)
シメジ天。
海老天。
カボチャ、ニンジン、ナスの天ぷら。レンコンもありました。
デザートの白玉ぜんざい。
ぜんざいの中に白玉だんごが2つ浮かんでいます。
ぜんざいの小豆が美味しい。
抹茶、先付、そば、天ぷら、デザートまでついて、2人で3300円はリーズナブルです。
カミサンも大変気に入ってます。
ごちそうさまでした。
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