ラフテーは「臘火腿」か-ラフテーの由来(3) [ 沖縄と食]
ラフテーの語源をまだ考えている。
「ラフテーの由来(1)」では、ラフテーの語源は「臘火腿」だという説を紹介し、しかし意味からすると、「ラフテーの語源は、「臘火腿」じゃなくて「臘腿」なのじゃないだろうかと思う。」と結論した。
しかしそれに続けて「臘は北京語では「ラ」だけど、「ラフ」と言ったかもしれない。(中国語の方言)」なんて書いた。
なんだかはっきりしない書き方をしているのは、まさにあんまりはっきりわからないことがあったからだ。(汗)
というのは・・
「臘火腿」と「臘腿」は、北京語ではそれぞれ la hou tui (らほぅとぅい)と la tui (らとぅい)になる。「らほぅとぅい」なら「ラフテー」に近いけど、「らとぅい」じゃあ「ラフテー」にはならない。だから発音からすると「臘腿」説は成立しない。
ところが、沖縄に伝わったのは北京語じゃなく広東語だったらどうなるか・・・
実は、「臘火腿」と「臘腿」は、上海語では lak hu tee (らっふてー)と lak tee (らっくてー)になるし、広東語だと laap fo teui (らぽてぅぃ)と laap teui (らぷてぅぃ)になる。
上海語や広東語だと、「臘火腿」も「臘腿」もかなりラフテーに近いのだ。
「臘腿」説が成り立つ可能性が出てくる。しかしあんまり自信がない。
しかし「ラフテーの不思議(2)」ではラフテーの元の発音を次のように考えた。
「「ラフテー」は、もとは「ラフタイ」、「ラフタエ」「ラフトエ」というような発音だったかもしれない」。
そういうことだと、北京語の「臘火腿」(ラホトゥイ)が語源ということもありえる。
こうなると、発音からは「臘火腿」の方が当てはまりがいい。こうして発音から攻めると、出発点に戻ってしまった。
しかしどうも変なのは、「臘火腿」という言葉が中国語にはない(らしい)のだ。
しかももっと変なことに気づかないといけない。
「ラフテーの由来(2)」に書いたように、ラフテーの材料はなにか?ということだ。
ラフテーはトンポーローと同じく、生の豚肉を使う。
そうなのだ、火腿とか臘腿とかのような、ハムではないのだ。
「臘火腿」とか「臘腿」とかを語源だとする説は、この材料の違いを無視している。
もしもそれらが語源だとするなら、
1.かつてラフテーはハムを材料にしていたが、いつのころからか生肉を使うようになった
2.もともと生肉を使っていたのだが、ハムを使う料理の名前が転用された
のどちらかの歴史があったことになる。
ありえそうなのは1だろう。
すなわち、沖縄に「臘火腿」とか「臘腿」というハムを使った料理が伝わり、それをラフテーと呼んだ。その後に生肉を使う料理が伝わり、その料理が元来のラフテーと入れ替わった。
後から伝わった料理が、いわゆるトンポーローだろう。
コメント 0