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魯肉 [ 沖縄と食]

東坡肉に似た料理に台湾の「紅焼魯肉」があります。三枚肉の醤油煮込みのこと。読みは、北京語だとホンシャオルーローだけれど、台湾語だとアンシオローバーになる。その肉を刻んでご飯に乗せた「魯肉飯」というのも有名ですね。

「紅焼」というのは醤油煮込みの意味。おもしろいのは「魯肉」の方で、この字だけを見ると、魚料理みたい。でもそうじゃあなくて豚肉の料理なわけ。いったい「魯」とはどういうことかというと、ここがおもしろい。


「魯」という漢字の意味は「愚か、のろま」です。良い意味ではない。魯迅という作家の名前はここに由来している。しかしこれじゃあ「魯肉」の意味がさっぱりわからない。いったいどんな肉だって?
「魯」のもうひとつの意味は 山東省の昔の地名です。ということは山東省の料理だったのか?なんて思ってしまう。

 

実はそうじゃあないってことがわかった。
「魯」は「滷」の当て字なんですって。もともとは「滷肉」あるいは「紅焼滷肉」という料理なのに、その「滷」の字を「魯」に置き換えて使っているんだそうだ。「滷」も「魯」も、北京語の発音は「lu3」、台湾語では「lo2」で、発音は同じ。しかしもちろん意味は全く違う。

その「滷」には料理法の意味があって、「滷水」とか「滷汁」で肉や内臓を長時間煮込んむ料理のことになります。

じゃあその「滷水」は何かというと。
「鹵」は「塩」のことで、「滷」は「にがり」の意味。だから「滷水」はそれを溶かしたもの、そう!最近はやりの「にがり」。これで肉を煮る!
というのはウソ!

料理の場合の「滷水」「滷汁」は、「にがり」じゃなくて、煮込み用の付け汁です。黄酒(紹興酒)、醤油、砂糖、五香、葱、生姜、蒜を水に入れて長時間煮込んだ漬け汁のことだそうです。にがり汁じゃない。

「五香」について補足しときましょう。これは、まあ中国のミックススパイスなわけで、べつに5つとは限らずに数種のスパイスを混ぜたものです。スパイスの組み合わせは料理によって多少異なるようですが、共通して使われるのは陳皮(みかんの皮)、桂皮(シナモン)、丁字(グローブ)、山椒(あるいは胡椒)、八角あるいは茴香(フェネル)ということです。これらを粉にすると「五香粉」。台湾では五香をまとめた「滷包」がスーパーでも売られていて、それで煮込みがつくれるようです。

さて、そういうわけで醤油煮込み用汁の「滷汁」で煮た皮付き三枚肉が「滷肉」で、それに当て字されたものが「魯肉」ということです。
だからこれは煮込み系の東坡肉ですね。

なぜ東坡肉と呼ばれないのか? ここはわかりません。


 
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ルーローハンの謎を求めて

なるほど~。
「魯」が肉料理なのに魚字があてられている謎がやっとわかりましたw
まさか当て字だったとは、、。良い記事ありがとう御座いました♪

by ルーローハンの謎を求めて (2015-11-29 19:56) 

とんちゃん

> ルーローハンの謎を求めて さん
そう、「魯」は当て字だったんです。
先日の孤独のグルメ台湾編で、五郎さんが魚料理と思い違いしていました。
罪作りな当て字です。(笑)
by とんちゃん (2015-12-02 06:16) 

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