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アイヌ語源説-サケの語源(4) [ 北海道と食]

金田一京助のアイヌ語源説-サケの語原(3)

鮭(サケ)の語源について、「サケの語源(2)」では、国語界の大御所で広辞苑の監修者だった新村出の説、「サケの語源(3)」では、アイヌ語学者であった金田一京助(テレビにもよく出る金田一秀穂のおじいさん)の説を紹介しました。
どちらも、サケの語源はアイヌ語の「サキペ」が「シャケンベ」や「サケンベ」に転訛して日本語の「サケ」になったとしています。

ところが、夏の魚を意味するアイヌ語の「サキペ」は、サケのことではなくマスのことを意味する言葉なのです。それがなぜ、サケを意味する言葉になったんでしょうか?

 

■「サキペ→サケ」説の難点

新村出、そして彼が監修する広辞苑は、サキペ(夏の食物)→シャケンベ→サケ、あるいはサッカム(乾魚)→サッカ→サカ→サケという説を掲げています。また彼はサケ→スケと転訛したとも云っています。
ただし新村の原文では、サキペ(sak-ipe)を「サクイベ」、サッカム(sat-kam)を「サトカム」と誤って書いていますが、これが完全に誤ったアイヌ語です。

金田一京助は、サキペ(夏食、鱒)→サケンベ→サケ、チュクチェプ(秋魚、鮭)のチュク→スケ、というのが説を掲げています。

こうして「サキペ→サケ」説を2人の大御所が掲げているのですが、しかしこの説には重大な難点があります。「サキペ」は、サケのことではなくマスのことを意味する言葉なのです。なぜマスを意味するアイヌ語のサキペが日本語ではサケの名になったのか、です。

■金田一の説明

この点、新村は何も書いていません。しかし金田一はこの点について2つの違った説明を加えています。

1.「アイヌ語と国語」(1933年)では、「鮭と似ていて、外国などでも縷々一緒にされる鱒は、江戸でも区別せずに鮭と一様にシャケと呼んでいた」としています。すなわち和人が鮭と鱒とを区別していなかったことを理由としています。

2.「アイヌから来た言葉」(1956年)では、「8月の末から、もう早い鮭が上って来て鱒といっしょに網にかかる。これがやはり夏食<サキペ>と呼ばれる。」としています。すなわちアイヌ語でも鮭をサキペと呼んだ、という説明をしています。

前者では和人の側が鮭と鱒を混同していた、後者ではアイヌが鮭と鱒とを混同して呼ぶ時期があった、としているのです。混同した側が、以前は和人、後にはアイヌへと変化しているわけです。

これらの説明はどんなものでしょうか?それは次回にしましょう。


 
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転職の職務経歴書

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
by 転職の職務経歴書 (2013-04-16 12:45) 

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