めしばな刑事タチバナ:第4話 カップ焼そば大捕物(その2) [ めしばな刑事タチバナ]
【この記事、アップし忘れていました!】
テレビ東京の「めしばな刑事タチバナ」。
第4話は「カップ焼きそば大捕物」。
昨日の続きです。
今回は
◆熱い語り:「ペヤング」「一平ちゃん夜店の焼そば」
◆立花流レシピ
◆タチバナの主張
さて、大衆迎合「U.F.O.」の対極に立つのが「初期の味付けを守り続ける「ペヤング」」なのだ、と原作ではタチバナが語っています。
しかしその「ペヤング」の語りは、タチバナではなくペヤング派の韮沢課長です。
今回はその熱い語りを紹介しましょう。
◇韮沢課長「ペヤング」を熱く語る
まずタチバナが「ペヤング」が東日本ローカルだと説明します。
まずはじめに、カップ焼きそばの現状を確認しておきましょう。
基本的にこの世界には、不動の3強があります。その中でも俺が知る限り、売上げデータの一位はほぼ常に日清の「U.F.O.」。
(韮沢)なんでペヤングじゃないんだ。
うちの近所のスーパーじゃ、一番並んでるぞ。
それには理由があるんです。
実は、ほかの2大ブランドと違って、マルカ食品の「ペヤング」は、ずっと東日本ローカルだったんです。
いまじゃ西日本でも発売していますが、基本的に名古屋より西は”非ペヤング圏”です。
課長、落ち込む必要はないと思いますよ。裏を返せば、ローカルなのに全国区のライバルと肩を並べるねんて、どんだけ支持が熱いんだって話しでもあります。
では次は、韮沢課長に「ペヤング」を語ってもらいましょう。
(タチバナ)課長、ペヤングの魅力を一言で言うと?
一言でいうとだな・・・郷愁かな。
そして口当たりの柔らかいアッサリとしたソース味。
お湯を入れた途端、揚げた麺独特の香りがプーンと漂ってくるんだ。
揚げた麺独特の香りとアッサリ感がもたらす郷愁。
立ちそばのボソボソ感やフライ麺の袋入りラーメンに通じるものがある。
ここが原作者のカップ焼きそば観だと思います。
本来のカップ焼きそばとは、これだ!って。
それはそうとして、韮沢課長はペヤングの食べ方をさらに熱く語ります。
ペヤングを最もおいしく食べる、その方法は・・・
それは・・・麺が柔らかくなるその前に、
気合いを入れて・・・短時間で食べる!
こうして、私はだいたい1分ぐらいで一気に食べきる。
(タチバナ)しかし課長、あれはさすがにきついでしょう。
(タチバナ)2玉分入った「超大盛」。あれだとさすがに麺が柔らかくなってしまうんでは?
ふっふっふっふっふっふっ。ドあほうめ。
「超大盛」を最もおいしく食べる、その方法は・・・
さらに気合いを入れて・・・倍の速さで食べる!
こうやって私は「超大盛」でさえ、1分強で食べきってる。
(タチバナ)ペヤング派のガードは堅いか。
結局、食い方の話しになっちゃって、しかもなんだかムチャクチャです。(笑)
◇タチバナ「一平ちゃん夜店の焼そば」を熱く語る
さて、タチバナのオシ焼きそばは「一平ちゃん」。
断っておきますが、俺とアイツはもはや「ちゃん」づけの間柄ではありません。
俺は親しみを込めて彼をこう呼びます・・・「一平」。
もうかれこれ20年近くの付き合いになるからなあ。
俺は3強クラスは等しく好きです。
まぁ、このあたりは説明が難しいんですが。
今夜はポン酒で一杯やりながら焼き鳥を・・・なんてつもりが、なぜかビニール袋には・・・一平。
また別の日、お腹を気にして今日はポテサラで・・・なんて考えていたのに・・・・一平。
無意識の選択と言いますか、原因ははっきりわかっているんです。
例の小袋だよ。
カップ焼きそば革命ともいうべき、その衝撃的なアイテム。
その名も「からしマヨネーズ」。
麺の表面を一気に乳化させ、瞬時にただよう刺激臭。
この登場でカップ焼きそばの概念がひっくり帰ったんだ。
しかもこのからしマヨには「ジェットノズル」なる切り口を搭載し、そこからマヨをビュービューと出せて、しかもそれに「マヨビーム」なる名前をつけ、快感と煽る。
これにはまらずして、なににはまるというのだ。
まさに一片食べたらやめられない。
あ、あとこれは余談ですが。
最近、ビームで焼きそばをデコレートする「マヨビームアート」が静かなブームです。
さて、この熱い語りもほぼ原作そのままです。
違っているところの1つは、つい「一平」を買ってしまうところ。
ドラマで「今夜はポン酒で一杯やりながら焼き鳥を・・」のところは
原作では「今夜は焼酎で一杯やりながらシメに「ペヤング」を・・」なんです。
「焼酎」が「ポン酒」に、「ペヤング」が「焼き鳥」に替えられている。
そして「お腹を気にして今日はポテサラで・・」のところも
原作では「今の「U.F.O.」の味の着地点を確認しようと・・・」なんです。
ここでも「U.F.O.」が「ポテサラ」になっている。
別のメーカーの製品の名を出すのは、メーカーに気が引けたのかな?
ここで1つ面白いネタを。
1つめの台詞の言い換えで、「焼酎」が「ポン酒」になってますよね。
なんで酒の種類まで替えたのか?
この場面でタチバナが飲むのは「純米大吟醸」の日本酒です。
実はこの「純米大吟醸」の日本酒が曲者なのですよ。
この続きはまた後日にいたします。
原作と違っているところのもう1つは。
「マヨビームアート」
これは原作には全然出てこない。
でもここはこれでスルーします。
◆立花流レシピ
◇納豆マヨネーズ焼そば
焼きそばのちょっと変わった食べ方が披露されます。
ヘルシーアレンジを加えたらどうですか。
「焼きそばに納豆まぜてもいいじゃない」。
レシピは超簡単。
焼きそばに納豆とマヨを入れて混ぜる。
いままでにないヘルシー食感が味わえます。
ただし、人と会う前は要注意です。
これ、きっと旨いぞ!
この焼きそばの銘柄はわかりませんが、マヨネーズは「一平」のマヨビームじゃないですね。
で、このネタは原作にないです。(たぶんないと思う。)
そのせいで、あまり語りがないんです。
原作にないとしたら、このレシピはどこから出てきたネタなのか?
森山直太朗さんが、カップ焼きそば&納豆というのをテレビで披露したそうで、このネタが広がっています。
ここらあたりから拾ったネタじゃないでしょうか。
◇焼そばパン
朝に俺はコッペパンに焼きそばをはさむパンアレンジもよくやりますよ。
この場合のおすすめは、サッポロ一番の「オタフクお好みソース味焼きそば」です。
ソースに野菜や果実の甘みがあるため、パンの相棒に最適です。
絶妙な惣菜感が出ます。
このネタも原作にはありません。
でも原作とまったく無関係じゃないんです。
第79ばな「スパゲティパン」で「焼きそばパン」が登場するんです。
パン屋の調理パンの中で、「スパゲティパン」は絶滅危惧種だけど、弟分の「焼きそばパン」は存在感がある、というようなことで登場するんです。
その「焼きそばパン」が、焼きそば繋がりでドラマに登場したんでしょう。
不思議なのは、なんでサッポロ一番の「オタフクお好みソース味焼きそば」なのか?ってこと。
わたしはこう考えています。
前回「U.F.O.」のところで、原作にあった、ソースにかつては広島の”オタフクソース”を使っていた時代があった、という部分がドラマではカットされたってことを指摘しました。
せっかくのオタフクソースをいつのまにか使わなくなった「U.F.O.」め・・。
という思いがあるんじゃないでしょうか。
そこでこのタチバナレシピで、わざわざオヤフクソースを名指しで出した。
これは「U.F.O.」への当てつけだろう。
なんてね。(笑)
◆タチバナの主張
タチバナの主張は、U.F.O.とペヤングの対決で察しがついたことと思います。
初期の味付けを守り続ける「ペヤング」。
郷愁を誘うような揚げた麺の香りとアッサリ感。
ここが原作者のカップ焼きそば観だと思います。
本来のカップ焼きそばとは、これだ!って。
立ちそばのボソボソ感やフライ麺の袋入りラーメンに通じるものがある。
第2話「袋入りラーメン大捜査線」で、タチバナは「フライ麺の油がスープにしみ出すのがうまい」と主張しました。
もどし湯で中華スープをつくる「やきそば弁当」は、これをとことん突き詰めた、究極のスープです。
ローカル焼きそばの「やきそば弁当」をタチバナが強力に支持するのには、こうした理由があるんです。
こうして見てくるとタチバナは一貫して保守派です。
だとすると、タチバナはペヤング派なんです。
しかし原作でもドラマでも、タチバナは「一平ちゃん」派。
ここは仕方がないところ。
大衆迎合のU.F.O.は副署長に任せたとして、原則堅持の「ペヤング」はやはり韮沢課長に任せるのがいいですから。
とすると、タチバナの役は「一平ちゃん」しかない。
ところで、そんな保守派からすると、焼きそばのマヨネーズっていうのは、あり得ないトッピングです。
この問題については、原作では厳しく追及されています。
そしてタチバナが応えます。
韮沢課長「そもそも屋台の焼きそば屋はマヨネーズなんかつかないぞ。」
・・・好みの分かれるポイントゆえに、保守系ファンからはマヨものは”邪道”扱いされます。
が、そこについてはいっておきたい。
そもそもカップ焼きそば自体が本物の「焼いた」焼きそばに対しての”邪道”でしょと・・・。
カップ焼きそばはハナから特別枠なんです。
からしマヨを否定するのは、怪奇派レスラーに襟を正せ、と説教するようなものでしょう。
一平のスタンスは一貫してヒール・・・確信犯ですよ。
支持層の属性ははっきり分かれています。
ペヤングは「原理主義」、U.F.Oは「ノンポリ」、そして一平は・・・「中毒」です。
「焼かない焼きそば」自体が邪道だって!
いや実は、タチバナの言いたいことはそうではないんです。
カップ焼きそばについて、原作ではさらに論じられます。
第38、39ばなは「世界の即席焼きそば その1、2」で、タチバナは世界の「焼かない焼きそば」を紹介する。
タイ、インドネシア、シンガポール、ベトナム、フィリピン、インド・・・
ドラマでは被疑者が紹介した、アメリカでは袋入りラーメンを湯切りして食べる方法も、原作ではタチバナが紹介する。
たしかに即席麺は日本の発祥だが、そこから勝手に独自方式の”焼かない焼きそば”を生み出した国がたくさんあるんだ。
”焼かない焼きそば”には本能的に世界中の人々をつき動かす力がある。
そんな”焼かない焼きそば”ジャンルにおける最高峰は・・・やっぱりブッチギリで我が国だった!
「焼かない焼きそば」は邪道なのではなく、世界的な新ジャンルなんだ。
これがタチバナの主張です。
保守派、しかも原理主義の主張を貫くタチバナが支持するのは、ペヤングと焼き弁です。
しかし世界的な新ジャンルの流れの中で考えると、また別の境地も開けてくる。
なかなか複雑な関係です。
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