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上野千鶴子氏講演をドタキャンした山梨市の回答で面白がる [雑記]

3月18日、山梨市で在宅医療や介護をテーマにした上野千鶴子氏の「ひとりでも最期まで在宅で」という講演会が開催されました。

これだけなら特別な記事ではないのですが、この講演会、とんでもないドタバタがありました。ご存じの方も多いでしょう。
市長の命令で開催がドタキャンされ、それがまた撤回されて予定通り開催、という事態になったのです。
この事件は新聞でも記事になりました。

そのドタキャンの理由がなかなかに面白いので、記事にしておこうと思います。

ドタキャンまでの経緯、中止の理由とそれへの反論、そして上野氏の意見はご本人のブログに書かれています。
「山梨市講演会中止について ちづこのブログNo.64」(3月15日):
http://wan.or.jp/ueno/?p=3857

ドタキャンまでの経緯はこういうこと。
講演依頼を2013年秋に受け、今年3月初めから講演会出席の募集が始まった。
ところが、今年2月に山梨市長に就任した望月清賢市長が3月5日に講演中止を決定し、担当者からその旨、上野氏にメールがあった。
しかし上野氏は、こういう重大なことを1本のメールで通知するのは不適切だから市長名の公文書がほしい、と要求したところ、3月12日に担当者とその上司計3名が上野氏を訪問した。

で、講演中止の理由ですが。
上野氏のブログによると、市長からの公文では「市民の皆様から様々なご意見」とあるだけで、市側は明確に言っていないようです。

上野氏はブログで、こう書いています。

「メディアの取材が入り、新聞報道からわかったことは、「市民の皆様から様々なご意見」とは、⑴メールが10本、他にブログ、twitter等での上野への批判発言、⑵上野の過去の発言が問題にされているとのこと。内容は朝日新聞連載コラム「悩みのるつぼ」の2012年12月8日回答分の「性欲の強い中学生」への回答であること、⑶あとから追加された情報は他にも『セクシィギャルの大研究』『スカートの下の劇場』などの著書があること、だそうです。」

メディアの取材、新聞報道というのは、この朝日新聞の記事でしょう。

によると・・・上野さんのツイッターやコラムでの発言を例に「公費で催す講演会の講師としてふさわしくない」という意見が約10件メールなどで寄せられた。
例示されたのは、読者の悩みに答える朝日新聞のコラム「悩みのるつぼ」で、少年の性欲の悩みに対し、異性とのつきあいについて上野さんが答えた2012年12月8日付の回や、「セクシィ・ギャルの大研究」「スカートの下の劇場」などの著書タイトル。」
「朝日新聞」3月14日19時52分:http://www.asahi.com/articles/ASG3G3FZ5G3GUZOB002.html

中止の理由はつぎの3つ。
 1.メール10本、ブログ、twitter等での上野への批判発言
 2.朝日新聞のコラム「悩みのるつぼ」2012年12月8日での回答
 3.「セクシィ・ギャルの大研究」「スカートの下の劇場」などの著書タイトル

 

1.メール10本、ブログ、twitter等での上野への批判発言

「メール10本」これが市への直接のクレーム、「市民の皆様から様々なご意見」です。
「ブログ、twitter等での上野への批判発言」は、市へのクレームではなく、ネット上でのことで、講演依頼時点でわかっていたこと。

3万人以上の市民がいて、そこからたった10本のメールがあったから講演会中止、とは余りにもお粗末な決定です。

しかし実際のところ、これが中止の理由なのでしょう。
望月市長はこの2月に就任したばかり。それで10件のクレームに動揺した、ということなのでしょう。
とても未熟な感じがします。(〃´o`)=3

 

しかし「ドタキャンの理由がなかなか面白い」としたのは、このことではありません。

2.朝日新聞のコラム「悩みのるつぼ」2012年12月8日での回答

これがinterestingtという意味で面白い。
このコラムで「性欲が強すぎて困ります」という15歳の男子中学生からの質問に上野氏が回答しているのです。
これが過激で面白い。

「ぼくの悩みは性欲が強すぎて、今年受験だというのに、エッチなことばかり考えて勉強が手に付かないことです。・・・毎日、自分で処理はしているのですが、どうしても本物の女の子の体に触れてみたくてたまりません。このままいくと、欲望に負けてしまい、夜道などで衝動的に女性を襲ってしまわないかと怖いです。・・」

という質問へ回答がなかなか過激で、面白い。(*^▽^*)
ネットで回答部分の切り抜きが紹介されています:http://p.twipple.jp/AFOiv

「経験豊富な熟女に、土下座してでもよいから、やらせてください、とお願いしてみてください。」

たったこれだけを取り出すのは不適切なのですけど、結論はここですから。

中学生にこんなこと言っていいのかよ!
とビックリですけど、しかしよく読むと、親切に回答しています。

このコラムが問題だ、という市の指摘に対して、上野氏はブログでこう書いています。

「(4)過去の発言」のやり玉にあげられているのが「悩みのるつぼ」の回答。「熟女にお願いしなさい」という回答のどこが問題なのでしょうか。「依頼」であって「強制」ではありませんし、「相手のいやがることはぜったいにしないこと」それに「避妊の準備も忘れずに」と書いてあります。淫行条例に違反するという指摘もありましたが、中学生に性交を禁じる法律はありません。成人が児童(18歳未満だそうです)に「みだらな行為」をすることは禁止されていますが、中学生が大人に「お願い」するのを禁じることはできないでしょう。15歳といえば昔なら元服の年齢。妻を娶ることもできました。この回答を問題視するひとたちはまさか「結婚まで童貞を守りなさい」とは言わないでしょうね?」

質問と回答の全文は、上野著『身の下相談にお答えします』 (朝日文庫) にあるようです。
他の回答も含めて読んでみたい。(*^▽^*)

身の下相談にお答えします (朝日文庫)

身の下相談にお答えします (朝日文庫)

  • 作者: 上野千鶴子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/05/08
  • メディア: 文庫

 

3.「セクシィ・ギャルの大研究」「スカートの下の劇場」などの著書タイトル

こっちの方は、滑稽という意味で面白い。

たぶん「スカートの下の劇場」というタイトルが良からぬことを連想させたんでしょう。(*^▽^*)
「スカートの下の劇場」とは、女性の下半身のことではなく女性の下着についての歴史研究なのです。
この点、上野氏はブログでこう解説しています。

「いずれも実証研究にもとづいた、そうは見えないけれど学術書です。『セクシィギャルの大研究』はCM写真の記号論的研究、『スカートの下の劇場』は下着の歴史研究です。」

 

混乱を招いた望月清賢市長は、講演会の冒頭で「今回の講演会は紆余曲折があり、ご迷惑をおかけして大変申し訳なく思っています」と陳謝したそうで、それはそれで潔い。
これからは、落ち着いてしっかり市政を担当していただきたいと思います。

スカートの下の劇場 (河出文庫)

スカートの下の劇場 (河出文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1992/11
  • メディア: 文庫
セクシィ・ギャルの大研究―女の読み方・読まれ方・読ませ方 (岩波現代文庫)

セクシィ・ギャルの大研究―女の読み方・読まれ方・読ませ方 (岩波現代文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/05/15
  • メディア: 文庫

 
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式守錦太夫

私もこの問題、大笑いしながらことの推移を見守っていました(爆)
「悩みのるつぼ」自体が大好きで、性欲の強い中学生も覚えています。
でも18日の講演会を行ったとの報道はほとんどなかったんですね。
問題提起し、紆余曲折の末に開催したのなら、その報道もあってしかるべきと思いました。

たしか3月15日の朝日「天声人語」で、この問題を取り上げています。
斜に構えたすっごくオモシロいコラムでした。
「上野千鶴子はケンカも上手」という内容だったと。
過去記事で検索できると思うので、ぜひ読んでみてください。
by 式守錦太夫 (2014-03-22 01:13) 

とんちゃん

> 式守錦太夫さん
講演会当日の3月18日の天声人語ですね。
上野氏のケンカの仕方、ブログ記事での市長へのボールの投げ方の旨さ、というのはおっしゃるとおりです。

全然違う内容ですけど、実は上野氏にはちょっと思うところあるんです。
先日、タガメ女のことを記事にしましたが、タガメ女はカエル男を「搾取」している、と紹介しました。
実はフェミニズムの大御所上野氏は、男が女を「搾取」している、と指摘しています。
「タガメ女」論は、表面上は上野氏と真逆の指摘をしているのです。
両者の関係はもう少し勉強してから・・・と思っていて、それが思うところなんですけどね。
by とんちゃん (2014-03-23 06:09) 

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