福島県浜通りのいま～相馬市 [３．１１以後]
福島県 は、県東部の太平洋側の浜通、中央部の中通、西部の会津に分けられます。
東日本大震災で、浜通り地区は津波による甚大な被害を受け、中通りと浜通りは原発事故の影響を受けました。
その浜通り北部にある相馬市に行ったときの様子を紹介します。
相馬市で津波被害が一番ひどかったのは、松川浦の南にある磯部地区です。
磯部地区の死者・行方不明者は２５０人で、相馬市全体の半数を超えています。
相馬市には震災後に何度か伺って、津波被災とその後の状況について記事にしました。
1.震災被害の復旧はまだまだ続く：http://onhome.blog.so-net.ne.jp/2012-09-14-1
2.津波の傷跡と復旧：http://onhome.blog.so-net.ne.jp/2013-02-24
3.松川浦と原釜地区：http://onhome.blog.so-net.ne.jp/2014-02-22-7
1.はその磯部地区の様子、2.と3.は相馬市の松川浦周辺での津波被害の様子を中心に記事にしています。
今回は1.に引き続いて磯部地区の様子を紹介します。
被災前は田んぼが広がり、海岸には磯部地区の集落がありました。
集落の北側は松川浦の松並木でした。
そこに津波が襲いました。
赤い部分が津波の遡上範囲、青い部分は家屋の多くが流されたところ、磯部地区です。
集落の家屋は流され、津波は海岸から3キロほど奥までの広い範囲の田んぼにまで浸水しました。
被災前の磯部地区の集落の様子です。
津波によって集落は壊滅してしまいました。
ここで亡くなった方が２５０人もいる、ということに心が痛みます。
磯部地区は「災害危険区域」に指定されて建築制限があるため、市街地の復旧は全くされておらず、その様子はそのときとほとんど変りません。
集落の西側には田んぼが広がっていますが、そこは浸水して黒くなっています。
農地は被災程度が低い西側から順次復旧が行われています。
その写真の「＋」のところ周辺の現在の様子を紹介します。
水路にかかった橋のガードは津波で破壊されたまま。
周囲の農地は、ガレキと堆積した土砂・ヘドロが撤去された段階。
除草はされていますが、まだ農地の復旧はされていません。
田んぼだったところに下りてみると・・・
小石やガラスの破片など細かなガレキがいっぱいあります。
まだこんな状況が広がっていて、まだ農地として使える状況ではありません。
さらに南へ行って、南相馬市との境。
蛇行する赤い線が水路で、ほぼそれが市境です。
写真は被災前のもので、赤い部分が浸水域です。
毎年除草されているようで、この程度の雑草が茂っています。
立派な施設が建っていました。
排水機場です。
干拓から用水機場設置までの歴史を記した石碑。
津波で流されたのでしょう、かなり痛んでいます。
この辺りはかつては八沢浦という水深1m程度の入り江でした。
そこを干拓し、さらにポンプで排水することで、農地として十分に活用することができるようになった。
という歴史が石碑に刻まれています。
ポンプで排水する、ということは農地が水面下にあるためです。
だから津波によって水没してしまい、このポンプを復旧したおかげで、水没した農地がまずは地表に出てきた、ということでしょう。
脇にあった水門はまだ壊れています。
この地域では、農地の復旧と合わせて圃場整備を行う予定のようです。
事業が早くに進展することを祈ります。
しかしそうして復旧された水田で米を作っても風評被害が大きい。
福島の米は放射能に汚染されているから買わない、安く買い叩くという状況が続いています。
福島県産の米は全袋検査が行われていて、市場に出回っている米は安全です。
放射性物質による汚染が深刻な地域は他県にもあるのですが、そのコメ全てを検査する、なんてことは行われずに市場に出ています。そっちの方がよほど危険だと思います。
このことについては、別の機会に記事にしたいと思います。
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