披露宴と祝賀会:北海道の習慣 [ 北海道と食]
昨日の記事にしたTVドラマ版「ワカコ酒」は、大学の同級生の結婚披露宴がメインでした。
披露宴のスピンオフで北海道の「披露宴」を今日の記事にします。
◆結婚披露宴
親戚で行われる結婚式の後に、親戚に加えて知人・友人らを招いて催す宴会が披露宴。
新郎新婦の連名か新郎新婦の父親の連名で、親族、友人・知人、恩師や職場の上司・同僚、両親の友人・知人などを招待します。
招待制なので、招待された人はご祝儀袋に入れてたご祝儀を会場受付で渡します。
ご祝儀は、親族なら5~10万円、恩師・上司なら5万円、友人・同僚なら3万円が相場とか。
しかも2万円や4万円等の偶数は「割れる」数なので無礼になる。
会場での席次は主催者である両親や兄弟は末席(入り口側)に座るというスタイル。
そして披露宴の出席者には、新郎新婦から「引き出物」と呼ばれる品物が贈られる。
◆結婚祝賀会
ところが北海道ではこうした披露宴ではなく、「祝賀会」が開催されるんです。
披露宴と何が違うかと言うと・・・
招待制ではなく「会費制」というのはご存知かも。
宴会の進行自体は今では披露宴とほとんど同じ。
でも披露宴と違うところがいっぱいあります。
参考:「冠婚葬祭は合理的!?」http://pucchi.net/hokkaido/knowledge/kankonsosai.php
・主催者
まず主催者は、新郎新婦や父親の連名ではなく、新郎新婦の友人や職場の同僚を中心に結成した数人の「祝賀会発起人」が主催者。
その発起人会あるいは発起人が連名で案内状を出します。
・会費制
招待制ではなく会費制で、会費が案内状にしっかり記載されています。
会費は各人約1万円前後。切りよく1万円じゃなく、8千円とか1万3千円とかいろいろ。
会費なので親戚も知人もこの金額に差はありません。
そしてご祝儀は基本的にありません。(ただし、親戚や親しい友人が別途、金品を渡すことはあります。)
・領収書
出席者は、会場入口でその会費を受付担当の人に支払います。
「会費」ですから、祝儀袋などに入れないで、財布から現金を出して受付担当者に渡します。
ご祝儀袋に入れて出すと・・・その場で袋から現金を出してしまいます。
北海道以外の方々は、これに一番驚かれるかと思います。
そして会費を渡すと、しっかり「領収書」をくれます。
たいていは「式次第」の最後に「領収書」と書かれた部分がついた、領収書付き式次第になってます。
・服装
案内状には「平服」でと書いてあって、黒い礼服を着る必要はありません。
男性は普通のスーツで出席します。
・宴会の規模
知人たちが新郎新婦を祝う会ですから、案内の範囲は非常に広い。
出席者数が100人から数百人になって、芸能人並です。
会費が安い分、多くの人を集めやすいということでしょう。
・席次
主催者は発起人で、新郎新婦の家族は祝われる側ですので、家族は会場の最前列(上席)に座ります。
その次が親戚、上司で、発起人が末席に座ります。
・司会進行
宴会は主催者である発起人が中心となって進めます。
新郎新婦入場前には発起人代表の挨拶があります。
・料理
会費の範囲内での宴会です。
以前は会費が安くて卓盛りの中華ということが多かったですけど、最近は会費が上がって和洋中のフルコースが多いようです。
・引き出物
会費制ですから、引き出物は高くない。1000円程度のものです。
・決算
いただいたお金は、ご祝儀なら新郎新婦へ渡すのでしょう。
しかし発起人が集めた会費ですから、新郎新婦を介さずにホテル等の会場に直接に渡します。
新郎新婦は、見積額と想定の会費の差額を事前にホテル等へ支払います。
いかにも北海道らしい合理的なやり方と思います。
こうした独特の結婚式スタイルは、1955年から開始された「新生活運動」の影響のようです。
全国の婦人会や青年団が冠婚葬祭の簡素化や封建的因習打破、衣食住の合理化に取り組んだのが「新生活運動」。
経済的負担を軽くするために冠婚葬祭を簡素化した会費制の「結婚祝賀会」が勧められ、それが北海道では定着したんです。
とはいえ、宴会の内容は内地(北海道では本州以南をそう呼びます。)の披露宴と似てきていています。
以前は1万円以内の会費が普通でしたが、会費の金額が高くなってきて、その分、料理の質も上がってきた。
発起人が企画や段取りを全て行うというやり方も減って、新郎新婦が企画し、ホテルが取り仕切るというやり方が都市では多いようです。
ホテル側が仕切るわけですから、だんだんと料金を上げて内容をグレードアップする、ということになるのでしょう。
とはいえ内地のように友人で3万円、というレベルとは格段に違っています。
そうそう「領収書」というと、北海道では葬式の香典にも領収書を発行しますよ。
札幌在住のりかです。
最近の結婚式は、会費が16,000円というのが
主流になりました。高いです(^^;)
葬儀でも「領収書」を頂きます。
本州ではありえませんね。
by りか (2015-10-20 22:30)
> りかさん
最近の祝賀会の会費はしっかり高いですよね。
まぁ、ご祝儀に2万円包むよりは安いけど・・・。(´ρ`)
領収書は葬儀も含めて今でもありますか。
内地(北海道以外)の人にはビックリでしょうね。
北海道では親類ではなく町内会の人たちが葬儀を行い、香典の受付をしますから、間違いのないように領収書を発行する習慣ができなんだと思いますよ。
by とんちゃん (2015-10-22 06:29)