【閉店】独りでたのしむおでん屋 竹生@九段 [ 東京飲みある記]
Nさんが馴染みのおでん屋に連れて来てくれた。
靖国神社南門近くの路地に、まさにひっそりとあるお店です。知らなければ通り過ぎるでしょう。
そこが、おでんと季節料理の『竹生』(ちくぶ)です。
木戸を開けると、店内は小さなカギの手のカウンターのみ。
10人入れば一杯になるそのカウンターはいつも常連で占められるそうで、一見さんには入りにくい店です。
そのカウンターの奥に、上品な年配の女将が静かに立っています。
和服の上に白い割烹着の姿。割烹着ってわかりますか。主に着物にかけるエプロンの一種です。
そんな姿の女将が守る小さなカウンターで常連客が語らう店なんて、昔のドラマに出てきそうな感じで、そんな設定の中に自分いることに不思議な落ち着きと、大人の雰囲気を感じます。
しかも私にとっては、もう何十年も前にこの世を去った祖母がいつも和服と割烹着でいた姿を想い出させる女将を観ていると、まるでタイムスリップしたかのように、懐かしく心地良い。
店にメニューは特になくて、カウンターに並ぶ大皿の季節理とおでん。
瓶ビールを注文すると、なんとサッポロの黒生が出てきました。
道産子の私は感激です。
適当に女将が酒のアテを出してくれます。
まずは枝豆。しっかり生の枝豆を茹でたもの。だから旨い。
この時期にもう枝豆があるだぁ。沖縄産かな・・・。
それから生の白魚。(シラウオじゃなくて、シロウオ(素魚)かも?)
噛み締めるとほどよい苦味があって、やっぱりこれは日本酒に向きます。
そのあと菜の花の芥子和え(だったかな)が出てきました。
写真を撮ろうとしたら、なんと電池切れ。それで、これ以後、何が出ていたか思い出せません。
日本酒に替えました。
Nさんがひれ酒がいいよというので、お願いしました。
熱燗を注ぎ、蓋をしてしばらく置いてから、蓋を開けると、フグのヒレの香ばしく濃厚な香りが酒の香とともに昇ってきます。
残しておいた白魚をアテにしながら香しいひれ酒を呑むと、酒がさらに進みます。
日本酒は菊正宗だったかな。
その後も酒のアテが出たはずだけど、記憶にないです・・。
呑み干したひれ酒の湯飲みに、熱燗を追加してもらいました。
そしていよいよ、おでん。
大根、豆腐、ガンモ、昆布をお願いしました。
出汁は鰹と昆布だけでとってあり、それに薄口醤油という関西風。さらりとして旨い。
食べている途中で試しに写真を撮ったら、なんとか1枚撮れました。
某証券アナリストさんが、ブログ(http://www.fujine.org/archives/50772625.html)でこの店を「珠玉のおでん」として紹介していますが、まさにそうです。
追加の熱燗をもう1杯いただいて、おでんももう1皿いただきました。
店名の「竹生」は女将の名が由来とか。
笙子さんとおっしゃるんです。「笙」とは、雅楽などで使う管楽器です。
その字の冠と下をわけて「竹生」としたそうです。
九段に衆院議員宿舎(千代田区富士見2丁目)があったからでしょう、かつては政治家がよく顔を出していたそうです。
その九段宿舎は、耐震基準に満たないため取り壊しが決まり、2008年に閉鎖されて、今は空き家です。ところが2010年になって、それを衆参共用に建て替える話がある。もしも実現すると、また政治家が立ち寄るかも。
私は政治家には会いませんでしたが、常連風の男性が他の客と酒を呑んでいました。落ち着きがあってそれでいて親しさを感じるその人が帰った後で、女将がケー○デンキの社長さんだと教えてくれました。
あらまあ。我が家では、以前はヤマ○電機で買っていたんですけど、あるときからケー○デンキに完全に切り替え。値段もあるけど、店員の態度、買った後のサービスが全く違うから好きなんです。修理なんかを頼むサービスカウンターの大きさは雲泥の差ですよ。本社が水戸にあるのもいい。
なんてことを話したら、じゃあ次回は紹介しますね、なんてなったりした。
それはともかく、そんな感じで語り合える女将がとてもいい。
こんな店で独り静かに酒を呑むような大人に憬れる。いや私もそういう大人になってきたようです。
でも今日のところは、誘ってくれたNさんと明るく楽しいYさんと3人で、ワイワイと呑みました。
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