めしばな刑事タチバナ:第5話 名古屋めし包囲網(その1) [ めしばな刑事タチバナ]
「めしばな刑事タチバナ」の第5話は「名古屋めし」でした。
脚本:田口佳宏、監督:宝来忠昭です。
今回も以下のことを紹介しましょう。
◆「めしばな」のネタ
◆タチバナの熱い語り
◆立花流レシピ
◆タチバナの主張
今回のテーマは原作とはほとんど関係なくて、ほぼ全編がオリジナル。
ということはこれまでのように、原作との関係について書くネタがない。
だから簡単に済まそうと思ってました。
ところがいざ記事を書き始めたら、気になることが色々と出てきてしまった。
しかもそれはオリジナル故のことなんです。
というわけで、当初の予定より大幅に長くなってしまったので、今回も2日に分けます。
名古屋麺については明日に回して、今日はそれ以外の名古屋めしについて書きましょう。
◆「めしばな」のネタ
紹介されたネタと原作とを比べましょう。
ジャンル | 店名 | メニュー | 原作 |
味噌カツ | 矢場とん | みそかつ丼 わらじとんかつ 鉄板とんかつ | - |
手羽先 | 世界の山ちゃん | 幻の手羽先 | - |
風来坊 | 手羽先唐揚げ | - | |
あんかけスパ | スパゲッティハウス ヨコイ | ミラカン | - |
からめ亭 | ミラカンスパ | - | |
スパゲッティハウス チャオ | ミラカン | - | |
パスタ・デ・ココ | 特製パリチキ ミラカン なつかしのナポリタン | - | |
台湾ラーメン | 味仙(みせん) | 台湾ラーメン | - |
新京 | ベトコンラーメン | - | |
信長ラーメン | ナパームラーメン | - | |
味噌煮込みうどん | 寿がきや食品 | みそ煮込うどん | 第65ばな |
カレーうどん | 鯱乃家 | カレーうどん | - |
うどん錦 | カレーうどん | - | |
若旦那21 | ころとカレーうどんのセット | - | |
シマダヤ | 「長持ち麺」和風カレーうどん | 第33ばな | |
喫茶店 | コメダ珈琲店 | シロノワール | 第30ばな |
みそカツサンド サマージュース みそカツサンド | - | ||
支留比亜珈琲店 | モーニングセット カルボトースト | ||
コンパル | モーニングセット エビフライサンド | - |
ご覧のように、今回は原作のネタがほとんど使われていない。
ほぼドラマのオリジナルのネタです。
原作に出てくるのは、次の3つだけなんです。
・寿がきやの「みそ煮込みうどん」は第65ばなの「麺'sワールド その2」で出てきます。
・シマダヤ の「長持ち麺 和風カレーうどん」は第33ばな「袋入りカレーうどん」で登場します。
・有名な「コメダ珈琲店」の「シロノワール」は第30ばな「パン&アイス」で登場します。
さらにくわえるなら、「若旦那21」で紹介される「ころ」は、第80ばな「コロうどん」で登場します。
けれども、そこで紹介されるお店は「長命うどん」というチェーン店で、「若旦那21」は登場しない。
ということで、今回のテーマは原作とは関係がない、実にオリジナルのドラマなんです。
そしてもう1つ。
原作で登場するお店は、いつもはチェーン展開しているような、どこにでもあるお店です。
たとえば「長命うどん」みたいな名古屋のローカルチェーン。
しかし今回のドラマで登場するお店は、そうではなくて、ほとんど独立系です。
こういうお店の選択方法もドラマオリジナルです。
そのために、今回のドラマは名古屋の身近めしグルメツアー風になっています。
◆タチバナの熱い語り
◇タチバナ「名古屋めし」めしばなに突入
タチバナが自首してきた参考人と「矢場とん」の話しをした後に、「名古屋めし」のめしばなに突入していく。
よし、この際、名古屋めしについて掘り下げるのも悪くないなあ。
(五島)いや、でも。事件に関する供述がなにも・・。
そんなものは後だ!
参考人への尋問そっちのけで、五島にこう怒鳴ります。
このトンデモ発言、実は原作に元ネタがあるんです。
タチバナファンならご存じかも。
第2ばな「牛丼サミット その1」の終わりのあたり。
振り込め詐欺の実行犯がタチバナを気に入って「あらいざらいぶちまけてやるよ」と言った後のこと。
被疑者が「初めて牛丼食って感動したもんな。最初に行ったのが「牛友チェーン」って店でな、出所(で)たらまた食いてぇな。」と言ったとたん、タチバナの目の色が変わる。
牛友チェーン!?
話しを続けるぞ、供述は後にしろ!!
と怒鳴るのです。
これが元ネタでしょう。
おっと、これは「語り」じゃなかったですね。
◇タチバナ「手羽先」を語る
では、手羽先を語ってもらいましょう。
手羽先は名古屋めしを代表する料理の1つだ。
中でも(世界の)山ちゃんの「幻の手羽先」はスパイシーで癖になる味でな。
まあ、名古屋じゃ知らぬ者はいないだろう。
そしてもう1つ有名な店がある。
(参考人)風来坊ですか?
あの甘辛い秘伝だれで食う手羽先たるや・・・
調子がいいときなら軽く30本はいける。
これでおしまい。
あれー!この語りだけで終わりですか?
語って欲しいことが、もう少しあったんだけどなぁ。
よし、ではとんちゃんが語りましょう。
◇とんちゃん「手羽先」を語る
ってんで、ドラマに登場した手羽先ついて、とんちゃんが解説します。
・元祖手羽先は風来坊
まず「風来坊」は店名に「元祖手羽先」を冠しているんですよ。
実際のところ手羽先の元祖は風来坊なのです。
でもこのことはドラマでは触れていませんね。
・ドラマに登場する店
ドラマで出てきたお店は
「世界の山ちゃん」は田町三田口店
「風来坊」は銀座店、です。
「世界の山ちゃん」は東京にも多くの店舗がある。
画面をよーく見ると、行灯に支店名が見えます。
「風来坊」は2010年オープンの品川店が東京初上陸。だから東京ではあまり知られていない。
現在、都内には2店舗のみ。品川店と2012年にオープンした銀座店です。
・「風来坊」と「山ちゃん」の手羽先のちがい
手羽先の味の違いはタチバナが語っていましたね。
どっちが旨いかは好みの問題。
しかし2つの手羽先の違いは、味だけじゃないんです。
ご覧下さい、形が全然違いますよね?
「山ちゃん」は手羽先全体を揚げている、
でも「風来坊」は手羽先の先っぽの部分はカットしているんです。
ここが違います。
それから「風来坊」はゴマを振ってありますよ。
・手羽先の食べ方
手羽先の食べ方には流儀があるんですよ。
タチバナはちゃーんと流儀に従って食べている。
だけど、2つのお店では食べ方が違うんです。
いま今見たように、手羽先の形が違うせいで、食べ方が違ってくるんです。
「山ちゃん」の場合。
L字になった手羽先を両手で持って、関節をブチッと折る。
そして身の部分をカパっとくわえて・・・
骨だけをスルリと出すと、口の中には手羽先の肉だけが残る。
「風来坊」の場合。
手羽の先っぽがないので、残っている関節の部分を持って、関節をボキッとちぎり取る。
そこから先は、山ちゃんと同じ。
骨だけスルリと出す。
こんなところまで、語ってほしかったなぁ。
ぅおー!うまそー!
◇村中巡査「シロノワール」を語る
喫茶店のモーニングも名古屋名物の1つ。
そこからコメダ珈琲店の「シロノワール」に話題が移ると・・・
村中巡査が白昼夢を見ているかのように語り始める。
シロノワールは傑作です。
熱々のデニッシュパンの上にソフトクリームをのせて、シロップを添えただけというシンプルな構成ながら・・・
それゆえに初めて食べたときは、目からウロコでした。
冷えたソフトと熱いパンのコントラスト。
それはまさに、白と黒の奇蹟。
白と黒(ノワール)だから「シロノワール」なんです。
村中巡査が語っている内容は、原作でタチバナが語ることとほぼ同じです。
「シロノワール」は第30ばな「パンとアイス」に登場しますよ。
城西署の婦警たちでつくる「甘味部」は、原作ではカフェでスイーツを食べる会なんですが。
その部会第1回会合が、コメダ珈琲店でシロノワールを食べる会なんです。
モーニングが終わる11時以降には、ドリンクに豆菓子がついてくるという話題も、そこでチラっと出てきます。
◆タチバナの主張
今回はタチバナの主張はありません。
これまでもそうでしたけど、タチバナの主張は原作でははっきりと出てきますけど、ドラマでは流しています。
今回は、ほとんどがドラマオリジナルだから主張もない、ってところでしょう。
◇タチバナの「名古屋めし」論
「主張」はないんですけど、「名古屋めし」とは何かをタチバナが語ります。
そもそも名古屋めしってのは・・・名古屋を中心とした中京地区が発祥だったり、そこから発展した料理のことだ。
そんな名古屋めしの最大の特徴は、味が濃厚ってことだ。
最初の定義は、「名古屋めしとは、愛知県名古屋市を中心とする中京圏が発祥の、もしくは中京圏で発展した食事の総称である。 」というWikipediaの定義をそのまま使っています。
そしてその名古屋めしの特徴をたった一言、「味が濃厚」でかたづけています。(笑)
ここはWikipediaの「名物、八丁味噌に代表されるようにいずれも味付けが濃い傾向がある。」を使って、しかも断定している。
まぁ、味が濃いのも1つの特徴ですね。
名古屋の味が濃いのは、八丁味噌に慣れ親しんでいるからですね。
しかしこの定義のせいで、実は重大な問題を1つ引き起こすんです。
その先は、明日にしましょう。
◆なぜ「名古屋めし」なのか。
最後に、なぜ今回のドラマのテーマは、原作にない「名古屋めし」になったのか?
さっぱりわかりません。o(^▽^)o
と言いつつ、ちょっと憶測しますと・・・。
今回のドラマの脚本は田口佳宏さんの担当です。
その田口さんは岐阜県出身。
岐阜県の南部、岐阜市あたりなんかは、もう完全に名古屋文化圏なんです。
それで原作のいくつかのネタをアレンジ、さらに大幅にオリジナルをくわえて「名古屋めし」を演出した。
なんてね。
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