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古代レンコンと大賀ハス [食文化]

昨日の記事のネタだった「古代れんこん」のことです。
長くなったんで別の記事にしました。

なんで長くなったか?っていうと、ネット上の情報が混乱、誤解だらけだったもんで、正確なところを書いたらこうなりました。
レンコン話(離婚話じゃないよ!)としては興味深い内容もありますけど、楽しい記事じゃないので、あえて読まなくってもいいです・・・。(〃´o`)=3

「古代れんこん」について。

「庄や」でいただいた「古代れんこん」は、千葉県成田市の有坂さんが生産するレンコンの商品名です。

そのレンコンは、真っ白な色で、蓮根を割ると白いふわっとした繊維質の糸を引く。
味はシャキシャキ感だけじゃなくモッチリとした舌触り、ほのかに感じる絶妙な甘みがある。
庄やHPの「古代蓮根」の紹介:http://www.daisyo.co.jp/products/agriculture/28.html

これが古代のレンコンとどういう関係なのか?

実は、れっきとした「古代蓮根」なるものがあるのです。
千葉市にあった東大農学部の検見川農場で遺跡が発掘され、故大賀氏(当時関東学院大学教授)がその遺跡からハスの種3粒を発見し、そのうちの1粒の開花に成功しました。1951年のことです。
そしてそのハスは「大賀ハス」と命名されました。
wikipedia「大賀ハス」

そのハスの種は「2,000年前のもの」とネットで紹介されていますけど、正確に言うとこうです。
ハスの種の上方層で発掘された丸木舟のカヤの木が、3075年 +/-180年前のものと測定され、それより1000年新しいとしても、少なくとも今から2000年前のものである、とされたのです。
この2000年前は縄文時代だったのか弥生時代だったのか、という問題はとりあえずパス。

ちなみに種が「検見川の泥の中から」というネット情報もありますけど、それは誤り。
遺跡があった農場の「泥炭層」の中から発見されました。
種が川の泥の中にあったら・・・腐っちゃいますよ。(^^)

さて、この「大賀ハス」はまさに古代ハス
それから収穫したものが「古代れんこん」です!
・・・・ってことだとわかりやすいんだけど、全然違うんです。(;´ρ`)

ハスはレンコンじゃないから。
なんて勘違いしないで下さいよ。
蓮(ハス)の根が蓮根(レンコン)ですから、同じものですよ。

そうじゃなくって、大賀ハスの根茎は太くても4cmくらいで、しかも太いところが短いから、食用には向かないんです。食べられないこともないでしょうけど、商業的な栽培は無理です。
大賀ハスは観賞用にはなっても、食用じゃありません。

というわけで、古代ハスである「大賀ハス」と「古代れんこん」とは、直接的な関係は全くないんです。
”大賀ハスから古代れんこんが作られた”、みたいな情報がネット上で氾濫しています。
でもそれって、まるっきりの誤情報なんです。

じゃぁ「古代れんこん」ってナニ?

その前にまずは食用のハスについて。
現在、日本で食用に生産されているレンコンは、日本の「在来品種」、とはいえ実は鎌倉時代や江戸時代に中国から入ってきた品種ですが、それと明治以降に中国から導入された中国品種とがあります。
スーパーで普通に売られている、ずんぐりと丸い形のレンコンは、実はほぼ中国種なんです。
それに対して在来種は細長い形です。これはほどんど市場に出回っていない。
食感も違っていて、中国種はシャキシャキしているけど、在来種の方がシャキシャキ感がやや弱くて、粘りがあり、切ると糸を引くそうです。

れんこんの産地は、ブッチギリで茨城県が1位、そして2位が徳島県。
茨城県の品種は丸々とした「金澄(かなすみ)」系が中心で、徳島県などではやや細くて在来種と中国種の中間みたい「備中種」です。
この違いは、レンコンの食感に対する東と西の好みの違いからきているようです。
関東ではシャキシャキした食感のレンコンが好まれる。
それに対して、西日本ではネットリ、ホクホクな食感が好まれるそうです。

そして古代れんこん。

さて有坂さんは、昔食べた在来種のレンコンの味を作り出そうと努力したんですって。
そして10年の努力の後に完成したのが「古代れんこん」。
疑問なのはその種は在来種か中国種かってこと。
実は中国種なんです。
「古代蓮根」ができるまで。:http://ameblo.jp/kakisawa-aya/entry-11348259441.html

もしかしたら金澄系かもしれません(不詳)。
こうして有坂さんは、品種改良をしたわけではなく、栽培方法、土作りを研究されたのです。

そして有坂さんは、大賀ハスにあやかってその自らのハスに「古代れんこん」という商品名を命名したんだそうです。

有坂さんは、「庄や」HPのビデオで古代ハスのレンコンは食味食感がとてもいい、と言っています。
しかしそれ、大賀ハスじゃなくて、在来種のことじゃないかと思うんですけど、よくわかりません。


 
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