佐賀県ご当地ちゃんぽんを東京でいただく 伊万里ちゃんぽん@虎ノ門 [ 東京ランチ]
一昨日の記事は「東京で博多うどん」というテーマでした。
本日の記事は「九州のご当地ちゃんぽんを東京で」というテーマ。
いずれも九州B級グルメを東京でいただく、というものです。
「ちゃんぽん」というと、長崎が本場です。
その本場長崎ちゃんぽんにインスパイアーされた「ご当地ちゃんぽん」があるのをご存知でしょうか。
長崎県小浜町(現雲仙市)の「小浜ちゃんぽん」、滋賀県彦根市の「近江ちゃんぽん」や愛媛県の「八幡浜ちゃんぽん」など。
なんと!
「全国ご当地ちゃんぽん連絡協議会(全ちゃん協)」なんてのがあって、「ワールドちゃんぽんクラシック(WWC)」を開催している。イオンモール幕張新都心に「ご当地ちゃんぽん研究所」を開店して、ご当地ちゃんぽんが提供されている。
なお、沖縄の「ちゃんぽん」は全く別の料理です。
九州内の佐賀県では「北方ちゃんぽん」あるいは「雄武ちゃんぽん」があります。
しかし佐賀県内では、地名よりも店名を冠した「井手ちゃんぽん」が圧倒的に有名です。
前置きが長くなりました。
その「井手ちゃんぽん」から派生したちゃんぽん専門店が虎ノ門に開店したので、食べに行きました。
「伊万里ちゃんぽん」さん。
2014年5月に五反田で開店しましたが、ビルが取り壊されたため2016年10月に閉店し、12月にここに移転オープンしました。
お店の前にメニューの立て看板があります。
メニューは、ミニ特製ちゃんぽん(税込900円)、ミニちゃんぽん(料金不明)、皿うどん(税込900円)。
「ミニ」しかない、ってのが不思議ですが、その謎は後ほどわかります。
【小ライス無料!】です。
カレーライスとのセットメニューがあります。
ミニミニちゃんぽん+ミニカレー(税込800円)、ミニちゃんぽん+ミニカレー(税込900円)。
ここで1つ予習。
伊万里ちゃんぽんの本家「井手ちゃんぽん」と「長崎ちゃんぽん」とは、どこが違うのか。
スープが、長崎ちゃんぽんは鶏ガラ主体なのに対して、「井手ちゃんぽん」は豚骨ベース。
麺が、長崎ちゃんぽんよりやや細い。
具は、長崎ちゃんぽんのように魚介類がなく、豚肉と野菜など。
調理方法は、ラードを用いて具を野菜を炒め、隠し味に醤油を加える。
そして長崎ちゃんぽんはスープで具と麺を炊くが、井手ちゃんぽんはラーメン同様に麺を別に茹でる。
理由は長崎ちゃんぽんより細い麺だからです。
そんな「井手ちゃんぽん」から派生した「伊万里ちゃんぽん」をいただきましょう。
なお、井手ちゃんぽんと伊万里ちゃんぽんの歴史は最後に書いておきます。
お店に入るとすぐに券売機があります。
「皿うどん」は細麺と太麺があります。
「+小ライス」の食券もあります。
おや、ミニちゃんぽんとミニ特製ちゃんぽんには、「麺抜き」と「麺増量」があります。
麺抜きも麺増量も料金が同じ、ってのは面白いですね。
券売機の上に各メニューの麺と具材の量が掲示されています。
ミニちゃんぽんの麺は150gで、「ミニ」とは言いつつ、しっかり普通の1人前の麺量です。
そこに具材が、「ミニちゃんぽん」は330g、「ミニ特製ちゃんぽん」は440gもあります。
皿うどんは、細麺の「パリパリ麺」が70g、「太麺」が220g。具材は両方とも440gあります。
店内は手前にテーブルが1卓、そして長いカウンター席。
カウンター席のお客さんたちの後ろに立って順番を待ちましょう。
壁には夜のメニュー。
料理は300円台で、こいつは夜もいいかもね。(*^^*)
しばらくして「奥へどうぞ」と案内されました。
奥には座敷があって、8人が座れる大きな座卓がありました。
ほほぉ、ここで宴会って手もありそうですよ。
◆ミニちゃんぽん
皿の上に丼が置かれていて、中華料理っぽいですね。
ちゃんぽんの具は豚肉、ナルトにシイタケ、モヤシ、キャベツ、ニンジン等の野菜。
魚介類は入っていません。
卓上にある薬味たち。
胡椒、酢、ハバネロ入り激辛スパイス、そして醤油じゃなくてソース。
なんでソース?
と思われるかもしれませんが、これは皿うどん用。
皿うどんにはソースをかけて食べる、というのが長崎の常識なんです。
逆に、皿うどんには酢、なんてのは長崎では非常識です。
今回はちゃんぽんなので、胡椒をかけます。
佐賀県では、ちゃんぽんにもソースをかけるらしいのですが・・・今回はしない。
細かな胡椒です。
粗挽きの黒胡椒みたいのがよくないかな?
ともあれ、いただきましょう。
スープは白濁した豚骨スープ。
乳化した豚骨スープは旨味がありながら、実にマイルドです。
ふむふむ、これは旨いです。
麺はちゃんぽん風の極太麺だけど、ちゃんぽんよりは細い。
食感は、カンスイの効いたラーメンではなく、うどんっぽいちゃんぽんです。
小ライス付きにしました。
ラーメンライス風にちゃんぽんを食べながらライスを食べました。
スープに投入するとか、もっと他にの気の利いた食べ方があるかもしれません。
いや、そもそも小ライスではなく「麺増量」の方がいいかもしれない。
長崎ちゃんぽんとは違ってますけど、「井手ちゃんぽん」と同じく、かなり旨いです。
「井手ちゃんぽん」ならぬ「伊万里ちゃんぽん」の選択、ってのもありそうです。
ごちそうさまでした。
「井手ちゃんぽん」と「伊万里ちゃんぽん」の歴史を簡単にご紹介します。
⇒井手ちゃんぽんの歴史:http://www.ide-chanpon.co.jp/history.html
⇒伊万里ちゃんぽんの歴史:http://www.asobigasaki.com/chanpon/?page_id=140
上記の2つは、内容が微妙に異なっているので、推測を交えて整理しました。
(間違っているかもしれません。)
初代・井手精市郎は、昭和7年(1932年)から大阪で丼物の修行をした。
第二次世界大戦のため、昭和17年(1942年)に生家のある佐賀県杵島郡大町町へ疎開。
(このとき、中州にあった「千里十里食堂」で働いたのではないだろうか?)
昭和24年(1949年)、北方町に「井手商店 千里十里(ちりとり)食堂」を開店。
当時のメニューは、丼物、弁当、仕出し、かき氷に加えてちゃんぽん。
ちゃんぽんは、初代が長崎で食べたものをもとにアレンジしたもの。
杵島郡の大町町や北方町は炭鉱(1969年に閉山した杵島炭鉱)の町で、野菜たっぷりでボリュームあるちゃんぽんは、炭鉱夫に大変気だった。
店主の名を冠した「井手ちゃんぽん」と呼ばれていた。
昭和55年(1980年)に、二代目・井手日出男の時に「井手ちゃんぽん」を店名とした。
このとき会社名を「有限会社千十里(ちどり)」にしたのかも。
同じころ日出夫の姉が佐賀県伊万里市に「伊万里井手ちゃんぽん」を開店。
2006年にそれを「伊万里ちゃんぽん」と変更。
そしてその子が東京で開業したのが今回訪問したお店です。
前編「井手」に統一していただけるとうれしいですね。
by 井手 (2017-06-16 18:36)
> 井手さん
ご指摘ありがとうございます。
井出→井手に変更しました。
by とんちゃん (2017-06-17 05:39)